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74話 飼い慣らし
しおりを挟むドンッドンッ
「連携がなってない。息はあっているが攻撃の詰めが甘い。」
健は傭兵や騎士団と訓練をしていた。大半の選抜組は体術より剣術を練習している。
「やっぱり、あの人すげぇな。なんだかんだ3時間動きっぱなしで1回も休憩してないし、息すら切れてないぞ。」
「本当に人間なのかなタケルさんは。」
「まあ、でも、それくらいじゃないとキング様やブリオンナイトへは届かないってことだな。」
「(まぁ、こっちは22年間岩を殴り続けていたからな..........)」
話が聞こえていた健は心の中で昔を思い出した。
「健、よくやるねぇ。」
「まあ、身体をなまらせないためにもいい訓練になる。余裕ぶってはいるが、少しきつくはなっているな。」
「3時間で少しキツいは十二分に化け物だよ.....。」
「確かにな.....。」
「アイトは何をやってるんだろうね今頃。」
「さあな。あいつの事だから、魔物ですら倒すのを躊躇っていると思うぞ。」
┈┈┈┈┈一方その頃┈┈┈┈┈
「ったく、こっちの気も知ってよね。」
グシャグシャ
「あ、ありがとうございます!あなたは命の恩人です!何かさせてください!」
「いえいえ、大丈夫です。こちらも魔物を倒す大義名分がほしかったところでしたので。」
"困り人Lv2"
困り人Lv2・・・困っている人と普通の人よりも遭遇しやすい。そして、助けると何かしらの報酬を貰える。
「私はスペクトルの一つの街の領主の娘で今から王都へ向かう途中なのです。」
「へぇ、お嬢様なんだね。」
「それで、貴方様に護衛をしてもらいたいのですが.....もちろん、報酬は払います!!」
「ごめんなさい。してあげたいのはやまやまなんだけど、うちの親友が怒っちゃうんだ。「なんで、帰ってきたんだ!目的は果たせたんだろうなぁ!」って怒った顔でさ。だから、申し訳ないけど護衛はできない。」
「そうですか。」
貴族の娘は悲しい顔で言った。
「でも、安心してよ。僕が通ってきた道には魔物はいなかったし、危険じゃないからね。それに、また機会があればきっと会えるからね。その時は君の街を案内してよ。」
「わかりました!任せてください!本当にありがとうございます!」
「いえいえ。」
相斗が先へ行こうとすると
「お名前は。」
「相斗だよ。」
「ありがとうございます、アイト様!」
「っとと、危ない危ない。クイーンさんから貰ったこの布がなかったらこいつが血肉を喰らってるところがバレるところだった。そしたら、健にまたドヤされたんだろうな.....。」
全てを隠す布・・・触れているものの一部あるいは全部を隠すことが出来る魔道具
「それにしても、やっぱり強くなった気がするな。あんなに弱い魔物でも強くなるんだな。命を無闇に頂くのは心が痛いから、これから長くなりそうだな。」
しかし、そんなことは無かった。
今回の一件により相斗のスキル"困り人"がLvが3になったことにより、一時間に一組、魔物や盗賊に襲われているシチュエーションに遭遇した。
それをことごとく倒すこと3日。
"鬼腕(右)Lv3"
かなり強くなっていた。
「調子はいいぞ。最初に比べたら操作性も悪くないし、少しまだ慣れないけど大体感覚は掴めて引っ張られることはなくなった。」
相斗も鬼の扱いになれてきていた。
「それにしても、健のやつ覚えてろよぉ。こっちは頑張ってるのに、健はぬくぬくと温かい環境で戦ってるんだろうなぁ。」
今度は相斗の予想が外れた。
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