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69話 牛鬼
しおりを挟む「牛鬼様の可能性が高いかもしれないな。」
「牛鬼?」
「あぁ。血肉への執着がすごいと聞いたことと、未だに鬼人族で牛鬼様を宿したことはないことから、そうだと思うぞ。」
「そうなのか。すまないが、そっち方面の知識には疎いんだ。どうすればいいと思う?」
「うーん、そうだなぁ。とりあえずは自分が乗っ取られないようにした方がいいよ。鬼は強力な力になり得るけど、我が強い方が多いから自身の心や身体が弱いと乗っ取られる。それで、死んでいった奴らをみたことはある。」
「ということは、鬼が宿ること自体より鬼をコントロールする方が難しいってことか。」
「あぁ、そういうことになるな。」
「ね、ねぇ、少し聞きたいんだけど、どうやって制御するの?」
相斗は心配そうに三鬼に聞いた。
「うーん、これと言ってのはないな。使っていれば慣れると思うな。だが、感情的になって我を忘れて使うと乗っ取られる可能性が上がる。」
「つまりは心に隙を作らなければ何とかなるかとしれないってことか。」
「まあ、そういうことだ。」
「どういたしますか。三鬼のやつが集落へと人を入れたそうで。」
「何、聞くところによるとその人間は鬼腕を持っていると。」
「それも、片手な。牛鬼様を宿してるってことらしいぞ。」
「嘘をつくな。鬼人族ですら宿らなかった伝説の鬼じゃないか。」
「まっ、あくまで三鬼の予想だからな。」
「人に鬼が宿ることなんてないんだ。とりあえずは様子見ようぜ。おいたをするようなら、止めればいいしな。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「そうなのか。じゃあ、鬼腕を強くするには血肉を吸収する以外の方法はないのか。」
「まあ、鬼族っていうのがそういう種族だったから仕方ないよね。」
鬼は古来から生物を殺し、それを喰らい強くなっていった種族である。
しかし、それらの度が過ぎ生命に悪影響を及ぼすとされ、世界中の種族が結束して鬼というのを撲滅し始めた。
その歴史から鬼の血が入った鬼人族は怪訝され苛まれてきたのである。
「今日は楽しかった。やっぱり、冒険ってのはしてみるものだ。人が鬼殺しと呼ばれているが、全員が全員そういうわけではないということが分かった。頭では分かっていたつもりだが、こうして見て見ないことにはわからないものだ。」
「こちらこそだ。鬼の中にはいい者もいるとは信じていたが、こうも早く会えるとは思ってもいなかった。」
「本当にそうだよね。色々とありがとう。」
「まあ、だけど大半はみんなのことは歓迎してないけどね。今外にいるやつみたいにさ。」
ドゥン
みんながいる三鬼の家は壊された。
「三鬼、てめぇはどういうつもりだ。人なんていれてよ。」
「そう怒るな兄者。あいつは我らの中でも底知れぬ阿呆だ。いちいちやることなぞに口出ししていればきりがない。」
「あのデカいだけのが牛頭様を宿している阿で喋りがうるせぇのが馬頭様を宿している吽だ。」
「鬼を宿しているのか。それにしても、兄弟2人で阿吽の呼吸ってか。」
「阿吽、今回は引いとけ。俺もこいつらがやつらと変わんなかったら殺ってたさ。だが、タケルとアイトは違ったぜ。今は俺の客だ。それでも、来るってんなら来いよ。客人に傷は付けさせねぇよ。」
三鬼は二人の前に出て阿と吽にそう言った。
「なんか、守られるってのも悪くは無いな。」
「確かにね..........ってそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」
相斗は焦って前に出て言った。
「僕たちは鬼腕についてを教えてもらうためにきただけで、危害を加える気はありません。それに、もうここから出ていくので喧嘩はやめてください!」
「人が何を言っている!我ら同胞にした仕打ち忘れると思うか!!」
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