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43話 ジャック

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「キング、どこ行くの?」

「書庫だよ。

 ジャックは基本的にはそこにいる。」


 2人はキングの後ろについて行った。


 そして、少し歩くと他とは少しばかり異様な空気を放つ場所へと着いた。


「ここ?」

「あぁ、そうだ。」


ガチャ


 扉を開け、そこに入ると目の前にはたくさんの本棚にいっぱいの本があった。


「何この本。「黒竜の倒し方」って本があるよ。」

「こっちは「魔物の適切な処理の仕方~初級編~」ってのもあるぞ。」



「何しに来た、小僧ども。」

 どこからか一人の老人の声がした。


タッタッタッ

 3人はゆっくり老人の近くまで歩いていった。

「久しぶりだなジジイ。」

「誰が来たかと思えば、尻の青いガキではないか。」

「その後の小僧どもは見たことがないのぉ。

 じゃが、面白いのぉ。」


 現れたのはローブをつけ、杖を持ち、帽子を被り、髭の生やした片眼鏡の老人だった。


「あなたがジャックさんですか!」

「そうだ。」

「今日はジャックさんの知恵を少しばかり借りに来ました!」

「ほぉ、ガキとは違い丁寧な言葉使いだ。」

 ジャックは少し相斗に関心した。


「そっちの無愛想なのは.....」

「僕は相斗でこっちの無愛想なのは健と言います!!」

「それで、早速ですが"この世界の人たちを強くする"にはどうすればいいですか?」

「また、面白いことを言う小僧じゃ。」


 ジャックは少しばかり考えた。


「具体的には?」

「大体、30年以内にに出来る限りの結果を出したいです。」

「それなら、"勇者"を作るしかないのぉ。」

「民は勇者という大きな存在の一声で鼓舞され、命すら捧げる。

 わしら四天王なぞと呼ばれているが、勇者はその比ではないくらいに歓声を浴びる。」

 近くの本に触りながら続けた。

「確かに、人類が一番強かったのは3000年前の勇者誕生の時と言うのは聞いたことがある。

 あぁ、あの時は皆が勇者を目指し、力の底上げがされたものだ。」

「じゃあ、今はなんでこんなに低いんですか?意欲が無くなったからと言って、急に弱くなるもんなんですか?」

「その勇者は死んだのじゃよ。勇者はなぜ居る。」

「えっと.....なんでですか?」

「勇者はために存在する。この世に戦わない勇者など存在はしない。」

「もしかして、戦死したんですか?」

「いや、違う。先代の勇者は強すぎた。」

「存在する悪という大きな悪を潰していった。」

「結果、この世界には人類を脅かす存在はいなくなった。」

「じゃが、その悪にも子どもがいる。

 大体、人類を脅かす、魔族やらは3200~4000年で最盛期を迎えると言われている。

 今は大体、3100年ほどたっているだろう。」

 3人は気づいた。

「つまり、人類に敵はいなくなって、安心しきり人類の戦力自体が低下している。」

 相斗がそう言って、続いて健がいった。

「しかし、人類の力は下がり続けているにもかかわらず、人類の敵は強くなり続けてる。

 そして、そいつらが恨みを持ち仕掛けてくるのはそう遠くない未来。」


「なるほどな。少しはわかった気がするな。」



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