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33話 クイーン

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「助かった。今日はゆっくり休んでくれ。」

「いえいえ、お役に立てて良かったです。」

「ありがとね。」

「礼を言う。」

「お二人もいい旅を。」


ヒュン


 飛竜はあっという間に空へと消えていった。


「これが王都だね。」

「さすがに辺鄙な街と比べるとレベルが違うな。」

「辺鄙とか言わないの。」

「まあ、あそこは本当に田舎だからね。」

「そんなとこでキングが生まれて、竜騎士にもなったんだから、本当にあの街の英雄だよね。」


 キングが本当の意味での英雄だということを知るのはもう少し先の話である。



「それで、キングどこ行くの?」

「少し街のハズレに場所にいく。そこには、俺の知り合いがいるんだ。性格はクソだけど鑑定と知識は超一流だ。」

「へぇ。」 


 三人はそのを目指して街を歩いた。


 すると


「きゃぁぁキング様!!!」

「キング様、お帰りになられたのですか。」

「あぁ、これはご利益がありますのぉ。」


 キングの人気は絶大だった。


 そしてこちらも



「キング様の後ろにいる左の人めっちゃかっこよくない?」

「ほんとだぁ。あの人もなんか有名な人なのかな?」

「きっとそうに違いないわよ。キング様と一緒に歩いていらっしゃるのよ。」

「そうよね。」



 健はムカついていた。だが、この気持ちは心にしまい、脳の中を真っ白にし、何も見えない聞こえないイメージしながら心を落ち着かせ、冷静を保っていた。


 そして、人混みをやっと抜け、裏路地へ入り少し歩くと、先程から一変した雰囲気を感じる店があったのだ。


「ここ?」

「そうだよ。」


チリィーン


 キングが扉を開けた。


 鈴が鳴り響いた店内には、まるで人の気配はないように思えた。


「俺の後ろに立つな。」


「あらら、バレちゃったわね。

 だけど、なんでわかったのかしら。」


"気配察知Lv5"


気配察知Lv5・・・生きているものの気配の98%は察知できる。また、死んでいるものも.....。



「やめろ、クイーン。客人だ。」


 健の後ろにたっていた人はセクシーなドレスを着たボンキュッボンの少し歳のいってそうな大人なお姉さんだった。


「あら、キング。久しぶりね。」

「おい、気づいてなかったのか。」

「本当に気づかなかったわ。何か、強大な力を持った2人が近づいてくることはわかったんだけど。それに比べたらあなたのは小さすぎて.....」

「まあ、この2人に気を向けるのもわかるよ。だが、一言余計だ。」


「あら、キングがそこまで言うなんて、明日は天地がひっくり返るんじゃないかしら。」

「うるさいおばさ.....」

「その先を言ったら殺すわよ。」


 クイーンと呼ばれていた女性の雰囲気が一気に変わった。


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