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20話 トムじい
しおりを挟む「何が起こったんだ.....。」
「あの小僧が蹴りを首に一発入れたんじゃよ。」
「トムじい!」
「あんたは武器屋の。」
「まさか、そんなことが.....。だけど、トムじいがそう言うなら本当なのか.....。」
どうやら、この武器屋のじいさんは信頼されているらしい。
「間違いはない。あの小僧とそこの小僧を鑑定したが一切の情報が入ってこんかったわい。」
「トムじいさんの鑑定が弾かれるってお前らなにもんだよ。」
「おい、タケル、アイト。本当のことを教えてくれ。」
「本当も何も俺らは全部言った。東の方にある日本っていう場所からきた道に迷った旅人だよ。」
「これは、まだ話してなかったが、22年間の間びっちりと修行してたな。」
「それも休まずな。」
「22年だと!嘘をつけ。お前らいっても10代後半だろうが。」
「年齢的にはそうだ。だが、修行した場所が怪我もしない、身体が衰えることも無い、腹も空かないところなんだよ。」
「そんな嘘無理があるぞ!」
街の人からは疑いの目が絶えなかった。
「だが、それも信用できるやもしれない。」
「何だって?」
「普通に考えてみろ。あのキングがやられたんだ。あのキングがだぞ。普通の強者がやられたくらいなら疑ったかもしれないが、確実に歴史に名を残すキングを倒したんだ。」
「並大抵の努力でないことくらいはわかるだろう。もしかしたら、契約上詳しいことはいえないとかかもしれないだろ。」
「とにかく、普通のことはしてないのはわかるだろ。」
「確かにそうだ。あのキングが普通の10代に負けるはずがないもんな。」
兄貴がこの場を収めてくれた。
「だが、この試合の信憑性は少しな.....」
そりゃあ、疑われるのも無理がない。みんなの英雄が瞬殺されたんだからな。
だから、あいつには言い聞かせたのに、一撃で決める馬鹿がいるか。
「もうそんなこと本人に聞いてみればいいだろ。」
「え?」
「いったいなぁ。」
キングが起き上がった。
「キングが起きたわ!」
「おぉ、キング!大丈夫か!なんか変なことされたんじゃないか?あれは本当に蹴りだったか?」
「わからない。」
「え?」
「わからなかったんだ。あれが蹴りだったかは。」
「そうか。では、何か不正がされた可能性も.....」
「それはないな。俺は間違いなくアイトくんに負けたよ。」
「一瞬だが、首元に恐怖を感じたんだ。それが蹴りかどうかは視認できなかったが、間違いなくアイトくんの技ではあったよ。」
「完敗だよ。強いな。」
「ありがとう。」
この試合はキングの一声で有効試合となった。
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