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19話 瞬殺

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「では、倍率を見てみましょう!」

「おっ、今回は誰が入れたんだ。」

 普段はキングが勝つことを知っているため、賭け自体が成立しないことが多い。

 だから、倍率が発表されるだけで会場が盛り上がる。


「キングが0.0001、相斗が20000となっております。」

「圧倒的な支持率ですキング!!」


「どこのマヌケがアイトに入れたんだろうな。」

「あいつが勝ったら俺は5億キュールを手にするってわけか。」

「お前かタケル!!」

「賭けたのはタケルさんだったんですね。それにしても、5億って.....全部賭けちゃったんですか!!!」

「あぁ。」

「あぁ。 じゃないでしょ!せっかく、アイトさんが稼いだ25000をドブに捨ててどうするんですか!!」

「あいつ、そこまで弱いと思われてんのか。可哀想に。」

「いいや、アイトは悪くねぇ。キングが強すぎるんだ。あいつのレベルは今は750を超えてるんだそうだ。」

「勇者様で800前後で人類最高で1000ちょいだ。」

「若くして750を超えているキングに勝てるものは人類でも片手で収まるだろう。」

「へぇ、そんな強いやつがこんな所にいるのか。」

「あぁ。キングはこの街の出身だからな。そのおかげでこの街を襲うやつなんて誰一人としていねぇよ。おかげで俺らが暇で仕方ないさ。」




「君、アイトくんだっけ?なかなかカッコイイ顔をしてるね。」

「ありがとう。キングもカッコイイよ。」

「それはありがたい。」

「今日はお互い頑張ろう。」

「そうだね。」


 2人は握手を交わした。


「きゃぁぁイケメン同士が握手してるわ!!」

 一部の女性は大歓喜だった。



「では、準備はいいか?」

「はい。」

「おっけー。」

「正々堂々と戦うように!」

「はじめ!!!」



「いやぁ、君のお友達は強かったね。あのジョニーさんを一撃とは。なかなかだよ。」

「まあ、健は強いからね。」

「決勝で当たらせてあげたいのはやまやまだけど、勝たせる訳にはいかないんだ。」

「うん、大丈夫。」



ドンッ


「勝たせてもらわなくても勝つから。」


バタッ


 気がつけばキングが倒れていた。


「あいつ、蹴り使ったのかよ。」


 会場は静まり返った。

 目の前で起こっている光景が理解できなかったのである。

 今までスマートに無傷で勝ってきたキングが目の前で倒れているのだ。

 それに、相斗が何をしたのか速すぎてみんなには見えていなかった。

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