チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。

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10話 遅かれ早かれ

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「ねぇ、健。思ったんだけど、これじゃあ一生埒が明かない気がするんだ。だから、一発思いっきりくらわせた方が勝ちってどう?」

「あぁ、いいぞ。俺も長い戦いは好きじゃないからな。」


ニヤッ


 相斗が笑みをこぼした。


「ごめんね、健。」


 そう言って相斗は健との間合いを縮め蹴りをくりだした。

 一般からしてみれば尋常じゃない速さではあるが、健にはそれが普通の蹴りの速さくらいに認識された。

 もちろん、かわせないわけがない。

 健は軽々と左から飛んできた蹴りを身体を反らしてよけた。



ドガッ



 だが、なんということだろうか。相斗の蹴りは綺麗に健の頭部へと当たったのである。

 健は倒れた。


「勝者は相斗~」

「やったね。」


「相斗凄いね。3つのスキルを同時に出すのはなかなか出来ることじゃないよ。」

「3つだと?!」

 健は既に起き上がっていた。


「うん。"フェイント"と"錯覚"と"幻惑"の3つを使ったんだ。」

「相手を騙すために使われるスキルだね。確かに、一つだけだったら健の"直感"や"危険察知"に引っかかるかもしれないからね。」

「流石の健もLvカンストスキルが3つも同時に使われたら防ぎようがないよね。経験不足だしね。」


「あぁ、参ったよ。さすがにオートムーブで甘んじてしまっていたな。」

「それにしても、相斗のあの蹴りは独学じゃないだろ?」

「よくわかったね。」

「あの重さはキックボクサーのそれだった。」

「そうだよ。僕はキックボクシングをやってたんだ。」

「やっぱりか。」

「あっちにいた時も強かったのか?」

「まあまあだよ。」



「やっぱり、健は覚えてないのか.....」

 相斗はボソッと口に出した。


「ん?なんか言ったか?」

「いいや。あのままやってたら確実に負けてたなって思っただけ。」

「なんでだ?俺の攻撃は当たらないが、相斗の攻撃は当たっていただろ。」

「矢を避けた時の反応速度でわかったよ。遅かれ早かれ見切られるって。」

「だから、僕はルールを決めて早めに終わらせたんだよ。」


「まあ、何を言おうと相斗の勝ちだよ~。健弱い~。」 


「あぁ、俺は弱い。だから、もう少し修行をすることにするよ。」

「おいおい、冗談でしょ?」


 健は真剣な眼差しだった。


「これは、言っても聞かないんだろうなぁ。」

「相斗も大変だね。」


 こうして、2人は(主に健)はまた修行をすることにしたのである。


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