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2話 換金
しおりを挟む「ほんっとに高橋 髑髏って男は神の僕が見ても恐ろしいね。ユニークスキル『貸付契約』に『取り立て』に『利息』って、まんま闇金業する気じゃん。」
文脈とは裏腹に神はこの状況を楽しんでいた。
「スキルの"条件が厳しければ威力が上がる"っていう法則にも気づいたみたいだしね。『貸付契約』で相手と契約して、それを破られたら『取り立て』で相手に強制的に守らせる。」
『貸付契約』・・・自分の持っている全てを貸すことが出来、その報酬として相手の全てから支払わせることが出来る。ただし、強制的に契約はできず、互いに同意が必要。
『取り立て』・・・『貸付契約』が発動時のみ発動可能なスキル。『貸付契約』が破られた時に強制的にその契約を成立させる。
「厄介なのは『利息』だね。もし使い方を間違えたら世界が滅んじゃうかも。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「高橋さん、街らしきもんが見えてきました。」
「そうだな。じゃあ、行くか。」
2人は目の前にある街へと向かった。
そこは、開放的な街で検問など存在しておらず、人の出入りが容易に出来るような造りになっていた。
街の規模はあまり大きくなく、田舎か都会か分からないという立ち位置の街だった。
「とりあえず、その持ってるもんを換金するか。足がついたら面倒だしな。」
「うっす。」
2人は貴族から手に入れた金銀財宝、主に財宝を売ってお金にしようとしている。
街の中に入ると、沢山の人々が街を歩いており、見かけより賑わっている様子だった。
ダンッ
「ごめんなさい!」
髑髏の足に5歳くらいの女の子がぶつかり転んだ。
「あ、あ…………」
女の子は髑髏の怖い形相をみて今にも泣き出しそうだった。
「嬢ちゃん、大丈夫かい?危ないから前を向いて歩こうな。」
「あ、大丈夫。ありがとうございます。」
髑髏は女の子に手を差し出し立たせてあげたのだ。
「それで、嬢ちゃん。1つ聞きたいことがあるんだが、物を売りたい時はどの店に行けばいいかわかるかい?」
心なしか髑髏の声が優しくなっていた。
「えっと、あっちの方を真っ直ぐ行って看板があるから、そこを右に曲がればあると思うよ!」
女の子も髑髏から怖いという感情がなくなり、口調が柔らかくなっていた。
「教えてくれてありがとうな。」
「うん!!」
2人は女の子から聞いた通り、真っ直ぐ進み、看板を右に曲がった。
すると、そこには小さな店があった。看板の絵が装飾品のことから、古物商的なところだと髑髏は予想した。
チリーン
「らっしゃい。」
店の扉を開くとおばあさんの小さな声が出迎えてくれた。
「金目のものを換金したいんだが出来るかい?」
「あぁ、出来るよ。」
「じゃあ、これを見てくれ。」
ゴロゴロ
将也はもっている袋から財宝をおばあさんのいる受付へと出した。
「ほぉ、こりゃあ、確かに金目のもんだね。出処に関しては聞かないよ。」
「それは助かるな。まあ、正攻法で手に入れたんだ、やましいことはないけどな。」
「そうかい。これ、全部買い取っていいのかい?」
「あぁ、頼むよ。」
おばあさんは鑑定をするからと言って2人に少し待つように言った。
「ほれ、今回の代金じゃ。」
「ばあさん、教えて欲しいんだが、これってのは安いんじゃないかい?」
「まあ、こっちも商売なんじゃし、それにここでは顧客情報は秘密にするっていうルールもあるもんでね。」
「仕方ねぇか。じゃあ、これで頼むわ。」
2人が売った財宝は10点あり、合わせて白金貨20枚、金貨500枚となった。
「高橋さん、これってどんくらいするんですか?」
「あぁ、わかんねぇな。だが、この金貨ってのは1万円以上の価値があるな。」
「なんでわかるんですか?」
「さっき、通った屋台街での会話を盗み聞いたんだよ。そっから、銅貨ってやつが約100円、銀貨が約1000円ってのがわかって、銀貨12枚の支払いって会話から、金貨は銀貨12枚より価値があるってことがわかった。」
髑髏の予想は当たっていた。だいたい銅貨1枚=100円で銀貨1枚=銅貨10枚、金貨1枚=銀貨100枚、白金貨1枚=金貨100枚である。
つまり銅貨は100円、銀貨は1000円、金貨は10万円、白金貨は1000万円ということになる。
「とりあえずは店だ。店を構えないと話にならないからな。さっきのばあさんが南に向かうと店貸しがあるっていってたから、そこ向かうぞ。」
「うっす。」
2人は古物商のばあさんから聞いた不動産屋に行くことにした。
チリーン
「いらっしゃいませ。」
「店をしたいんだが、そのための店舗が欲しい。」
「あ、はい、少々お待ちください……ね。」
迎えてくれた女性は髑髏を見て怯えていた。しかし、客といこともあってどうにか顔に出さないようにしていたが無理だったようだ。
「条件に合う店舗ですと、こちらの5件がありますが、どうしますか?」
「じゃあ、これで。」
髑髏は店舗借りて、この街でも以前のような稼業をしようとしていたのである。
借りた店舗は月に金貨1枚とこの街の家賃としては安いとされているものを選んだ。
見た目はボロいが内装は悪くなく、地下には収納もあり、住宅街から少し離れたこじんまりとした場所だった。
ガタッ
「よし、マサ。またこっから始めるぞ。」
「うっす。」
ガチャ
「すみません、お金貸してほしいんですけど…………。」
ガチャ
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