上 下
1 / 24
序章

1話 スキル無し

しおりを挟む


 ルイ・ルーク、東の大陸にある国のレオナルド村で生まれた田舎町の一人の少年である。

 人見知りでクールだが内に秘めた情熱は誰よりも熱く将来は誰もが憧れる英雄を目指す、ごく普通の男の子である。

 この世界での人族の英雄とは英雄「レクリアム」という名で"神器"を使い、世界に起こった厄災を防ぎ、世界を救ったとされている。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「ルイ・ルーク、貴殿にははない。」


 この世界では7歳になると「スキル」という能力が発現すると人族の中では言われている。

 スキルとはある特定の能力の上昇や特殊な能力を得ることが出来る生命体に起こる超常現象である。

 7歳になると教会等の神を信仰する場所にて神官がスキル「鑑定」を行って与えられた「スキル」の有無、能力を教えてくれる。

 そして、ほとんどのものはスキルを活用し、手に職をつけたりする。

 そんな世界で本物語の主人公であるルイ・ルークは「スキル無し」の判定をくだされたのであった。



「スキル……無し……俺は…俺はレクリアムみたいな英雄になりたかったのに……」


 普段、冷静なルイでもスキルが無いことにとても落胆した。


 スキル無しはこの世界の1%未満の稀有な存在である。

 そしてスキル無しの運命は決まって「絶望」というものだった。


 ルイは既に絶望にまみれながら、家へと帰って行った。


「ルイ、どうだったかしら……」


ポタッポタッ


 家に帰ったルイにルイの母 エリザが声をかけた。

 すると、ルイは我慢しきれずに涙をこぼした。


「まさか、ルイ……。」


ガッ

 エリザはいつも静かなルイから出る涙を見て察し、黙ってルイを抱きしめた。


 その夜


「あなた、ルイにはスキルがなかったのよ。」

「そうか、じゃあ俺の跡を継げばいいさ。」

「そうね、私たちには私たちの幸せがあるものね。」

 ルイの父であるカイは田舎町で農夫をやっている。ルイの父のスキルは「農工」という農業と工業に対する能力値を上げるものだった。



「………」


 ルイは2人が話していることを扉の後で聞いていた。嬉しさと共にさらに悲しさが溢れてきた。


 早朝、ルイは家を出た。

 入ってはいけないと言われている近くの森へ足を運んだ。


「家にいても父さんと母さんに気を使わせちゃうだけだから、俺は強くならなきゃいけない。スキルがなくたって……。」


 ルイが入った森は「準魔素発生地」と呼ばれる魔素が比較的溜まる土地だった。


 魔素が溜まることによって、そこに生息する動植物が魔素を吸収し、変態する。


 魔素には凶暴化する物質や細胞を活性化させる物質が含まれているため、魔素を吸収した動植物は「魔物」、「魔植物」とよばれ、とても危険と言われている。


ガサッ


「うわぁ……なんだ、風で草が揺れただけか。」


 ルイは魔物が出ると言われている場所を怖がりながらも進んで行った。


 30分ほど歩いていると


カチッ


ガンッ


「うわぁ………ぁぁぁぁあああ」


 何の変哲もない地面が抜けて落とし穴に落ちるかのように落ちていった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。 ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。 そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。 しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。 自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。 アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

処理中です...