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4 出会い
しおりを挟む私がギルと結婚することは私が6歳の頃に決まっていたことである。今更ながら、彼は私と同じ歳で小さい頃から互いに認知はしていた。
領地が近いことから、よく領主同士、そう私たちの親同士での話し合いのため、互いの領地を行き来していた。
そして、今回は私が初めて彼と話した時の話。
「今日もお花見に行ってもいい??」
「はい、リナお嬢様。今日は良い天気ですので見に行ってもよいですよ。」
私には子どもの頃からナナという側仕えがいた。いわば、お守役だ。今では、私の秘書のような役割だが、当時は活発的だった私のブレーキ役だった。
「あれ、あそこに男の子がいるよ、ナナ。」
「あれは、シュバルツ公爵家の次男のギルドラード様ですね。そういえば、旦那様は本日シュバルツ公爵とお話になるとの事でしたね。」
「ちょっと話しかけてくる!!」
「お嬢様、無礼はしちゃいけませんよ。」
私は同い年くらいの友だちがいなかったから、ギルを見た時から友だちになりたいと思っていた。それに、あんなに綺麗な金色の髪と青い眼に惹かれないわけが無い。
「ねぇ、何してるの?」
「あ、今は花を見てるんです。僕はこの花が好きなんです。」
「これはなんの花?」
キルが見ていた花はとても綺麗な紫色に白の交じった何だか少し不気味に感じるが、それでいて圧倒的な存在感と魅力を持っていた。
「これは実は薔薇の変異種でウイッチローズっていうんですよ。」
「ウイッチローズ?」
「はい。魔女のような魔性の魅力を放っているんです。それに、花びらには幻覚を起こす成分が含まれてるんだとか。」
「えぇ、なんか怖いですねその花。」
リナは花の説明を聞いて、ウイッチローズに少し奇妙な印象を抱いていた。
「でもですね、この花は茎の下の方を折ると………ほらっ。」
ギルがウイッチローズを下から折ると、その花の左は赤色に右側は青色に変色した。
「うわぁ、綺麗……。」
「このウイッチローズの紫色は成分が混ざっていることで出る色なんです。だけど、茎を折ることで成分が分離して、色が分かれるんですよ。」
リナは感動していた。ウイッチローズの色の分離を見たことも去ることながら、ギルドラードの薔薇を持つ姿が美しすぎたのだ。
「リナお嬢様、旦那様がお呼びでございます。」
「………。」
「お嬢様!!」
「あ、分かった今行く!」
リナはギルドラードに見とれていてナナの言葉への反応が遅れた。
「あ、ちょっと待ってください。」
「どうしましたか、ギルドラード様。」
「これを君に。」
「このウイッチローズを私にくれるのですか?」
「うん。」
ギルドラードはリナに先ほど手に取ったウイッチローズを渡した。
「ありがとうございます。本当に嬉しいです。」
「いいんだよ。それと、ウイッチローズの花言葉に"必ず迎えに行くよ"ってのがあるらしいです。」
「素敵な言葉ですね!!」
「ああ、本当に素敵だよ。」
「それでは、またお会いしましょう。」
「うん…………君を必ず迎えに行くよ。」
「へ?最後なんとおっしゃいましたか?」
「いや、なんでもないです。またお会いしましょう。」
「はい!!」
これが私と彼の初めての会話だった。
~おまけ~
紫色の時のウイッチローズの花言葉は「絶対に離さない」
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