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「(あれは子どもか。小汚い格好で物乞いをあの歳でしているとは、嫌な世界だな。)」


 アキラは道端で物乞いをしている1人の少女を見つけた。



トントントン


 少女にアキラは近づき、余ったご飯を差し出した。


「これ食べる?」


フンフン


 そうすると少女は首を縦に大きく振った。


「じゃあ、あげるよ。」

 そう言って、アキラは少女にご飯を渡した。


「少し聞いていいかな?君みたいな子は他にもいるの?」


フンフン

 少女はまた首を縦に振った。


「その子たちはご飯をあげるといえば仕事をしてくれるかい?」


フン

 少女は「多分」といった意味を含めた首の振り方をした。



「そうか、じゃあ伝えてくれないかな。"あの時計の針が1番上で重なる時この広場に集まってくれ"と。」


フンフン


 少女は首を縦に振って了承した。



 そして、アキラはまた元いたベンチに座った。



「おい、兄ちゃん。さっきのはどういう事だ?」

 アキラはごついいわゆる冒険者と呼ばれてそうな人に声をかけられた。


「何がですか?」

「家無しのガキに飯をあげただろう。そして、なにか喋っていたな。」

「あぁ、あれは雇いたいから何人か連れてきてくれっていうのを言ったんですよ。呼んできてくれるように報酬としてご飯を上げただけです。等価交換ってやつですかね。」

「それって、まさか人攫いじゃないだろうな。」

 男の声色が変わった。


「違いますよ。掃除をさせたいなと思ったんです。自分は新しく店を始めようとしたんですが、何せよそ者ですので人手が足りず、どうしようか悩んでいたんです。そして、彼女に会った。ただそれだけですよ。」

「掃除ならギルドに行って依頼するなり方法はあるだろう?」

「でも、それだと手続きなんかで時間がかかるじゃないですか。自分は早く商売を始めたいんです。それに子どもがおなかいっぱいご飯を食べられない世界が嫌いなんですよ。」

「ふっ、兄ちゃんは変わってるな。ここに住んでる奴と来たらああいうのを見たら知らぬ存ぜぬだ。俺も孤児院なんかに金を出してるがそれでも減らねぇんだああいうのは。」


 先程とは一変、男はアキラに心を許したような話口調になった。


「あなたはあの子たちの心配をしてたんですね。優しいですね。」

「まあ、俺はそれでも何もしてやれなかった。心配だけなら誰でも出来るが兄ちゃんみたいな行動は誰にでもできることじゃねぇ。」

「ありがとうございます。どうやら、あなたとはとても気が合いそうです。自分はあそこの店で商売をするので何卒よろしくお願いします。特別にお安くしますよ。」

「あぁ、必ず足を運ぼう。」


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