4 / 5
一人目
嫉妬④
しおりを挟む┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
これが読まれているということは私、アリア・ヒルデハイマーは既にこの世を去っていることでしょう。
私は幼少期は父の教えに逆らわずに従順で手のかからない娘として生きてきました。
そんな私は5歳の頃にアルカイド公爵家と政略結婚をさせられるとの事で将来の結婚相手であるキース・アルカイド様と出会いました。
彼と出会い、今まで無色透明だった私の世界に彩りが加えられました。この方が私の結婚相手で心底良かったと思いました。
しかし、私はそんな素晴らしいキース様の隣に立てるほどの女性ではありませんでした。なので、私は彼の横に立っても恥ずかしくない女性になるために努力をしました。
キース様は侯爵家ですから、貴族との交流もあるでしょうから、礼儀作法から毅然とした態度、ありとあらゆる必要な能力を身につけ、彼のような美麗な容姿の方のお隣に立つために食事を制限したりいたしました。
そして、遂に私は貴方の隣に立っても恥ずかしくないほどの女性へとなりました。しかし、そこに現れたのがあの忌まわしき女のクロエです。
貴方は静かで優美な方が好きと仰っていたにもかかわらず、品のない笑い方をして馴れ馴れしく接するクロエを好きになっていると知った時、私の中で貴方への思いは憎しみに変わりました。
あの女さえいなければ、貴方の隣に私が立っていた。
いえ、違うでしょうね。クロエがいなくても貴方は私のことを認めはしなかったでしょう。
私はクロエを殺そうとした時にアルト・パーロックと手を組みました。
その時に貴方のことを知りました。貴方は本当のキース・アルカイドでは無いということを。
本当のキース・アルカイドは小さい頃に難病を患い、3歳の頃に命を引き取ったそうです。
しかし、アルカイド侯爵は息子がいなくなったことがしれれば、自分に何かが起こった時に他の領主から狙われると思い、孤児であった戸籍も名前もない貴方をキース・アルカイドとして育てたそうですね。
貴方の領主は貴族に殺され、貴方は貴族を恨んでいる。そして、皮肉にも貴方は貴族になってしまった。
だから、貴族の私を好きになることはなく、平民であるクロエを好きになった。
そして、私は貴方に殺されたのでしょう。恐らく、アルト・パーロックが私を呼び出し、貴方が自身の手で私を殺めたことでしょう。
アルト・パーロックが私を裏切ったように見えたでしょうが、あれは私がアルト・パーロックにそうするように言ったのです。
貴方の本当の血は孤児であり、貴族ではない。
この国では貴族では無いものが貴族を殺せば、どんな理由であろうと死刑になります。
私はアルト・パーロックと協力して貴方が本当の貴族ではないこと、そして、貴族である私を殺めたことを呼び出される前に国王陛下へと告発しに行きました。
貴方はすぐにでも処刑がされるでしょう。
貴族という身分に縛られ、自由が許されなかった私からは貴方は自由で何よりも美しく映っていました。
そんな貴方やそんな貴方の心を射止めたクロエに嫉妬をしてしまったのでしょう。
私の不自由で歪んだ愛は死で償います。
本当にごめんなさい、愛しています。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「この者は身分を偽り、キース・アルカイドという貴族の名を語り、その上で貴族である子爵家のアリア・ヒルデハイマーを剣で刺し殺した。貴族偽証罪、貴族殺害罪の2つの罪によって、この者を打首とする。」
後にアルカイド家はヒルデハイマー家とパーロック家に攻められ滅ぼされた。
ヒルデハイマー家は侯爵家になり、アルト・パーロックはパーロック家の跡を継いだ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?
もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。
王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト
悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。
聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
異世界恋愛短編集
葵 すみれ
恋愛
今まで投稿していた異世界恋愛短編をまとめました。
◆英雄となった幼なじみに婚約破棄された見習い聖女は、白い花を胸に抱いて追放される
◆悪役令嬢は真実の愛なんて信じない
◆後宮の雑草令嬢は愛を令嬢力(物理)で掴み取る
◆何もしなかった悪役令嬢と、真実の愛で結ばれた二人の断罪劇
◆白い絹とレースの手袋は幸福をもたらさない
◆お前を愛することはないと夫に言われたので、とても感謝しています
◆「あなたの謝罪にそんな価値があるとでも?」~婚約破棄された令嬢はやり直さない
※小説家になろうにも掲載しています
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる