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10話 エルフ族

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 クラス対抗討伐戦は総力戦であり、模擬戦場のようなもので1対1ではなく、多人数対多人数の戦いのため、作戦しだいでは強力な戦力も数で倒せるかもしれない、ロマンのある催しなのである。




「って言ってるけど、どう足掻いても勝てないぜ。Aクラスのやつは魔力量マウントとって、魔法ぶっぱされた日には一瞬で殲滅される。」

「だから、負けるはずがないと思ってくれればいいんだが、あの4人がいるAクラスだから、油断してやられるっていうことはまず無いじゃろうて。」

「じゃあ、どうすればいいの?アリアちゃん。」


 アリアは既に作戦を考えていた。



「実戦における魔術の3大要素を答えたみよミミ!!」

「ええっとねぇ、確かぁ「魔法」と「魔技」と「魔道」だよね?」

「そうじゃ。そして、この3つは合わさると非常に強い戦力となる。だから、今回のクラス対抗討伐戦はこの「魔法」「魔技」「魔道」を1人ずつ選び、3人1組になって行動してもらう。それが作戦じゃ。」


 格闘系統の技が多く近距離を得意とする「魔技」、攻撃力は劣るが魔法も使え魔技も扱える中距離の「魔道」、後方支援や回復なども可能な「魔法」の3つの要素を1組にするという至極シンプルな作戦だった。



「たったそれだけ?」

「あぁ、それだけだ。それだけで全然勝てると思うぞ。四天王と呼ばれる4人はわしが食い止めるから、他の16人は主らで倒すのじゃ。」

「え、私たち19人で倒すのAクラス16人を…………。」


 アリアは3人1組の部隊を編成した。

 奇跡的にクラス内での適性は「魔法」7人、「魔技」6人、「魔道」6人とバランスがよかった。


「私だけ余ったのだけど、どうすれば……。」

 1人だけ余った彼女の名前はミストだ。

「ミストよ、主はなにか隠しておろう?というか人族じゃなかろうて。」

「なぜそれを…。」 

「あぁ、簡単な話じゃ。主はありえないくらいに感覚が敏感じゃろ。1ヶ月もクラスにいたら気づくわい。先生が来る時の足音なんかも人じゃ気づけない位置から聞くことが出来たり、何より、魔力の流れが人のそれじゃないからの。」


 アリアは1ヶ月もの間、クラス全員の能力などを見極めていたのであった。


「そう、私はエルフ族よ。」

「やはり、エルフだったか。」

「えぇ、ミスト、あんたエルフだったの!」


 エルフとは森に住んでいる耳の長く、武器は弓を主力とし魔法の得意な種族である。


「え、でも待って、エルフってことは魔法が得意なんじゃ…。」

「ミストは魔力脈が途中で切れておるのだろう。」

「アリア、あなたはなんでも分かるのね。」


 魔力脈とは魔力が流れる体内にある脈の事で、魔力が正常でなければ、魔力を上手く操作できなくなったり、魔力量を保存できなくなるため、魔力量の上弦の増加が見込めなくなるのだ。


「しかし、安心するな。主の魔力脈は治るぞ。」

「え!それは本当!?!?」

「あぁ、本当じゃ。治してもらえ、に。」
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