魔法適性ないんですけど1億年も修行したんで異世界でなんとかなりませんかね?

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5話 神族

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フワッ


トンッ




「なるほど、リュウキ殿の武はここまでの強さなのですね。」



 デスバリアは気づいたら地面に倒れていた。



「俺もまだまだだよ。今のも0.04秒は早く対処出来たはずだしな。」

「ちなみに私に今何が起こったのでしょう?」

「二式 鎮守はだ。相手が自分へ向けた力を当たる前に利用して跳ね返す技だよ。相手の力を利用する日本の「合気道」と相手の力を借りるサバルト王国という国の「ステュウ」から着想を得たんだ。」

「なるほど、相手の攻撃は受けずに自分が力を利用して跳ね返すとは……。これまた規格外ですな。」



 デスバリアは龍騎の規格外ぶりに驚いていた。



「ですが、。」

「!?!?」

シュッ


ドンドンドンドンドン



 龍騎の上から闇に包まれた魔法が降ってきた。



「隠蔽魔法に最高位の魔法『黒龍閃』を避けられるとは……。」

「いいや、当たったよ。」


 龍騎の頬を見ると少し擦り傷のようなものがついていた。


「ハハハ、私のあれに触れて擦り傷だけとは。本当に今日は愉快な日ですよ。」

「いや、ちゃんと傷がついたのは300万年ぶりだよ。こっちこそ驚かされたよ。」


 そう言って龍騎はデスバリアの手をとり立たせた。


「そういえば、私の本当の名を教えていませんでしたね。」

「本当の名?」

「えぇ、私の本当の名前は『ゼノ』です。ゼノ・デスバリア・ストローゼです。是非、ゼノとお呼びください。」

「でも、なんで急に本当の名前を教えてくれたんだ?」

「魔族は真の強者にしか教えず、呼ぶことを許しません。リュウキ殿は実力は言わずもがな私以上です。是非、お呼びください。」



 こうして、2人の戦いは平和に幕を閉じた。









「くっそ、まさか隙を見せるなんて思わなかった!!」


 龍騎はとてつもなく悔しがっていた。武術には自信があった、1億年もの間、全てを注いだ武術には圧倒的な自信があった。

 しかし今日、5000年ほどの鍛錬した者に傷をつけられたという事実は龍騎をより一層、武術の深みへと連れていくのだった。



「はぁあ、久しぶりにたくさん寝たな。」


 龍騎は不眠不休で武術を嗜んでいたことからスキル『不眠』を手に入れていたため、普段から寝ることが少なかった。



コンコン


「リリィか、入ってくれ。」


キィィィ


「私だとなぜ分かったんですか?リュウキ様は魔力を感じ取れないと聞いたのですが。」

だよ。気で感じ取ったんだ。」

「気とはなんですか?」

「あぁ、俺がそう呼んでるだけなんだけど、ようは体内にある生命エネルギーの流れかな。指紋と一緒で人によって違うけど、あんまり差は分かりにくいんだ。」

「それをリュウキ様は読み取ることが出来るということですか?」

「まあ、そういうことになるね。」



 リリィが龍騎の部屋に来たのはゼノが呼んでいるということからだった。


「ゼノはなんで俺を呼ぶかわかる?」

「いえ、お呼びしろとだけしか聞いておりません。」

「そうかぁ。」


 玉座の間へ行くとゼノが座っていた。



「リュウキ殿、昨晩はどうでしたかね?」

「あぁ、ゆっくり眠らせてもらった。」

「そうですか、それならよかったです。それより、リュウキ殿はこれからどうなさるおつもりですか?」

「どうするって、確かに考えたことがなかったな。」


 龍騎は異世界に来ることが目的で何をするかはあまり考えていなかった。

 それに、悠久の時間を過ごせたあの場所での武術の研鑽が楽しかったため、人生をかなり謳歌できていたのだ。



「もしかしたら、この世界にリュウキ殿より強い者がいるかもしれないということでお呼びしました。」

「おぉ!!なるほど、それは楽しみだなぁ。」

「それはです。」

「しんぞく??」

「えぇ。神族は神に近しい種族で100年に1人ほどしか増えず、今存在する神族はこの世にたったの8人です。」

「なるほど、神に近い存在か。それでそいつらはなんなんだ?」



 神族とは、前世神だったが何かしらの理由だ下界に降りてきた神が繁栄させた種族と言われており、全ての能力がとてつもなく高いとんでも種族である。




「ですが、伝説レベルで神族を見たものはほとんど居ないと言われています。しかし、数少ない証言の中では「海を半分に割った」とか「星を1つ消した」とか馬鹿げたものが多いですね。」

「なるほどな、それは確かに面白そうだ。それで神族に会うためには何をすればいいんだ?」

「神族の目的は神に戻ることと言われております。ですから、リュウキ殿が神を偽って居れば出会う可能性はあると思います。」

「それは、俺が神と吹聴して全国各地を回って信じさせろってことか?」

「ま、まあ、そうなりますね。」



 龍騎からしたら、このかもしれないレベルの話ですら信じたいと思っていた。

 龍騎が1億年で修行をやめた理由は自分の武術が完成して物理チートで無双できるからではなかった。

 「まだ自分の武術は未完成だ、何か足りないものがある。」

 と思い、それを探しに異世界へと足を踏み入れたのである。




「まっ、それなら探してみるよ。世界を回っていれば、いつか会えるだろう。」

「私たちはいつでもリュウキ殿の味方です。いや、正確には敵には絶対にしたくない ですかね。ハッハッハ。」



 龍騎は当面は神族を見つけることに目標に旅をすることにした。





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「ねぇねぇ、あれってもしかして神かな???」

「いや、どうだろうな。わからないが、とてつもない生命力をもっている。確かに神にも匹敵するだろう。」

「じゃあ、倒すしかないチャンネ」

「そうだな、神を倒して神の座をいただくとしよう。我らが本当の神になるのだ。」





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