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2話 1億年の賜物
しおりを挟む「はっ!!!!」
ドドドドドンッ
「やっと、やっと完成した…………。」
バタッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「これでお別れですね。」
「あぁ、そうじゃな。お主がいた1億年はとても退屈しなかったぞ。」
「いやぁ、ただ武術を追求していただけですよ。」
「あそこまで追求しようなどというものもそうはおらん。その力、存分に異世界で発揮してくれよ。」
「はい。」
神様と龍騎を言葉を少し交し、龍騎は異世界へのゲートをくぐった。
ジュワン
「ここが異世界か。ってか、身体がすごい軽いな。久しぶりに普通の重力で過ごすからな。」
龍騎は神様が用意した山の上の小屋へと飛ばされた。
神様からの餞別として、小屋が与えられ、1ヶ月分の食料が備わっているのだという。
「神様にああ言ったものの、本当に大丈夫かな。」
異世界へ行く前に神様とこんな会話をしていた。
「主を転移させるところなんじゃが、どこがよい?人間の街の外れで地球と同じように人間世界に溶け込むか、人間のいない場所でゆっくりとスローライフを過ごすか…………」
希望の所へと飛ばしてくれるとの事だったので龍騎は魔族のいる地を希望した。
そう、龍騎はヒーローよりヒールが好きなのである。
魔族は人間と敵対しているものが多く、人間にあまりいい印象を持つものが少ない。そして、闇魔法を得意とするということから、龍騎は魔族のいる地に行きたいと願った。
「まあ、あやつのことじゃから、魔王と喧嘩しても今じゃいい勝負をするじゃろうから、心配はしとらんが、少々気になるのぉ。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ガチャ
「ふぅーーー。これが、生の異世界の魔素か。異世界きたって感じだな。」
魔法を使うためには魔臓という臓器が必要で異世界に住むものの大半は魔臓がある。
しかし、龍騎には魔臓が存在しない。
魔臓は魔素を空気中から取り込み、魔力に変換して身体に循環させる働きがあり、魔力が体内にあるから、魔法を出せるという構造となっている。
なので、理論上は龍騎が魔素を感じることは出来ないのである。
だが、龍騎にはそれが出来るのだ。
~9000万年前~
「今日は初めて魔法を使う訓練人形を出すか。」
訓練人形とは、神様が修練所に付けた昨日の一つで、自らが想像した生物の人形を出すことが出来る。
その人形に動きのパターンや攻撃力などステータスを設定でき、自分に合ったレベルの相手と戦うことが出来るシステムである。
「えっと、まずは人型で魔力持ち、魔法はめんどくさいから全属性、レベルは達人かな。」
訓練人形には難易度があり、下から見習い、1人前、達人、師範代、神 と5段階あり、達人は自分の能力の1.5倍の能力で状況判断などの精度が高いとされている。ちなみに、神は能力の100倍に設定されている。
「それで、重力は俺は34倍で人形は等倍でいいか。」
ポチッ
『訓練人形が投下されます。戦闘不能にしてください。』
ボッ
「おっ、火の魔法か!」
訓練人形は龍騎にバランスボールほどの大きさの火の玉を放った。
「こんなん遅すぎて避けるの簡単すぎだな。」
ザッ
龍騎はあっさりと交わした。
それから、2時間ほど龍騎は人形の魔法を交わし続けた。
「うーん、全然遅くて話にならないな。それなら、魔法に耐えられるかやってみるか。」
龍騎は魔法人形の撃つ魔法を全て受け止める修行を始めた。
初めは火の魔法をくらえば火傷をし、氷の魔法をくらえば凍傷を起こしていたが、30年間もの間、魔法をくらい続けた結果、龍騎は魔法を消すことが出来るようになっていた。
「はっ!!はっ!うわっ!」
ボンッ
「少しタイミングをミスるとやっぱりまだ当たっちゃうな。」
魔法を物理で相殺するためにはタイミングが重要なのである。
本来、魔法というのは物理ではどうしようも無いのだが、この世界を創った神様の設計ミスにより、あるタイミングで0.01秒の誤差なく攻撃をすれば、相殺できるということを龍騎は知らず知らずにやっていたのである。
この世界の創造様もこの欠陥には気づいたが、それをなせる者がいないことから直さなかった。
そして500年の月日が経ち、龍騎は目をつむってでも完全に魔法を無力化する事に成功した。
「500年か、意外にはやかったな。1000年くらいはかかると思ったんだがな。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おっと、お客さんが来たみたいだな。」
外に出て数分、龍騎に近づく何かを龍騎は感じていた。
「この生命力の高さは魔族かな?空を飛んでるから恐竜みたいな魔物ってのもあるか?まっ、なんでも歓迎だ。久しぶりの生き物だからな。」
龍騎は異世界に来たことよりも他の生命体と会うことを楽しみにしていた。
ドンッ
龍騎の感じていた気配が龍騎の目の前へと降りてきた。
「貴様、何者だ!ここは我らデスバリア様の領地としってのことか!!!」
目の前に現れたのは羽の生えた悪魔のような姿でかなりの露出をしていたお姉さんだった。
「久しぶりに女の人と話すから緊張するな。俺は龍騎っていうんだ、よろしくな。」
龍騎は1億年もの間まともにコミュニケーションをしていなかったため、絶望的なコミュニケーション能力だった。
「無礼な!我はデスバリア様直属の配下であるアリエッテだ。口を慎めよ、人間。」
「そうなのか。そのデスバリア様ってのは魔王なのか?」
「いかにも、我らが主デスバリア様はこの北の大陸を支配している魔王が1人であるぞ。」
「そんなすごい人なら会ってみてぇなぁ。」
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