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1話 魔法適正なし
しおりを挟む「ん?異世界で魔法を使いたいじゃと?無理じゃよ、魔法。」
俺の名前は須藤 龍騎、ファンタジー大好きの高校生だ。
異世界生活を夢にみる痛い学生だったが、それが現実となった。死ぬほど喜んだ、死ぬほど喜んだんだが、俺は異世界で魔法は使えないらしい…………。
「まあ、なんじゃ、そもそも地球で使えないものが異世界にいったら使える通りがあるわけないとは思わないか?」
俺に現実を突きつけてくるこのジジイは神様だ。
「確かにそうなんですけど、なんか、他の異世界ものの主人公は使えるじゃないですか!」
「あれはフィクションじゃよ?何をマジにしているんじゃ?」
「そうですけど……。ってことはスキルとかもないんですか?」
「スキルはあるぞ。主が行く世界は第7世代の神が作った世界じゃ、「スキル」というシステムは組み込まれておる。」
「スキルって神様が作ったシステムなんですか?」
「あぁ、そうじゃよ。神も技術進化するからのぉ。ちなみわしは第2世代じゃ。今は世界を創るのはやめて、こうして異世界の案内をしておる。」
どうやら、神にも色々な事情があるらしい。
「それで、異世界にいくにあたっての特典などないんじゃが、努力次第では最強になれるぞい。」
「特典もないんですか……。それで、努力次第ってのはどういうことですか?」
「修練所を用意するから、そこで研鑽を積めばよいのじゃ。環境はよいぞ、重量を変えて強度をいつでも変えられ、食事・睡眠も少なめでよくて、超回復で筋肉痛も10分で治るぞ!!」
「わかりました、そこでなんとかやってみます。」
龍騎は既に疲れていたため二つ返事で修行の件を承諾した。
シュンッ
「そこが、主の修行場所じゃ。頭に思い浮かべると、環境や地形を変えることができる。充分に活用してくれ。」
龍騎は真っ白い世界へと飛ばされた。
「なるほどね、じゃあ、まずは道場!!」
バッ
「うおっ、すげぇ!!」
真っ白い世界から急に龍騎の思い描いた空手道場へも変化した。
「懐かしいなぁこの感じ。俺も中学までは空手やってたから、久々でやるきでるわぁ。」
龍騎は修行を続けた。
そして、早くも5年の月日が流れた。
「99999……100000!!ふぅ、終わった。」
龍騎は1日10万回の正拳突きと3時間の瞑想、5時間のストレッチをして、それが終わると食事を取り、寝るという生活を5年繰り返していた。
「おっ、「正拳突き」のスキルレベルがMAXになった!!」
この世界では技を習得すると「スキル」として登録され、スキルを使用すると「習熟度」が上がり習熟度が上がると「スキルレベル」が上がる。
スキルレベルが上がることによって、そのスキルの効力が高くなる。「正拳突き」だと威力や速度が上がる。
「とりあえずは正拳突きはやめて、次は蹴りかな。なんか、こういうコツコツやるの楽しいな。」
龍騎は元々オタク気質なため、ステータスを上げることや地道な作業というのは嫌いではなかった。
こうして、龍騎は空手の基礎知識を全てマスターした。
そして、全てマスターするのに60年かかった。
「よし、スキル「空手マスター」のレベルがMAXになった。80年かかったのか。老けないし、身体も悪くならないから、そんなにかかったとは思えないな。」
「いやはや、龍騎よ。お主の努力は見張るものがあったぞ。だいたい、この修練所を解放しても5年経たずして異世界へ行くものばかりじゃ。」
神様が80年振りに話しかけてきたのであった。
「あ、神様。話せたんですね、俺ら。」
「なんじゃ、お主以前と見違えて落ち着いておるの?」
「多分ですけど、スキル「瞑想」のレベルがMAXだからだと思います。あとは力がついたので心にも余裕が出来たのかと。」
「それに80年も生きておれば何か悟りもするはずじゃしな。」
龍騎は80年間武に身を削っていたので心身共に強くなっていたのである。
「それで、主はどうするのじゃ?異世界へ行くのかのぉ?」
「いや、まだやってみます。次は人を傷つけないように「合気道」をやってみたいのですが、やり方がどうも分からないので独学でやってみようかと。」
「それなら、これをやるぞ。」
そう言って神様がくれたのは「神様が教える武術図鑑」というものだった。
地球に存在しないありとあらゆる武術なども記載されている全8万ページの超大作であった。
「これはまた、面白そうですね。」
驚くどころか龍騎は好奇心を見せていた。
「では、やってみますね。」
龍騎は早速取り掛かった。
そして、100年の月日がたった。
「とりあえず、合気道はこんなもんかな。スキル「合気マスター」もレベルMAXになったし。」
そして、また100年がたった。
「うん、「柔術マスター」レベルMAX!!次!!」
こうして、1万年の月日がたった。
「ふぅ、とりあえずは地球に存在する武術はマスターしたぞ。それでもまだこの図鑑の20%くらいか。でも、身体操作は他の武術にも応用できたから、効率は良くなってる。このまま、読破するぞ!」
更に10万年の月日がたった。
「終わった。全て終わった。あぁ、悲しいな。達成感とともに生きがいを失ってしまった気がする。」
全てを読破し、全ての武術をマスターした龍騎は燃え尽き症候群になっていた。
そんな時、神様が声をかけてきた。
「主、ここまでやるとは驚きじゃぞ。とんだ武術オタクじゃな。それで、やり切ってしまいモチベーションが下がってる頃じゃと思ってな。武術はいつでも守破離が大事じゃぞ。お主の体と心の強さと知識と経験を使い、自らの技を作るのじゃ。」
「なるほど!!確かに、今の俺ならできるかもしれません。ありがとうございます、師匠!!」
「いや、わしはただの神じゃ。」
こうして、龍騎は納得するまで自らに鞭をうち、自分の武術を作り上げた。
そこまでに約1億年がかかった。
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