テンプレを無視する異世界生活

ss

文字の大きさ
上 下
1,113 / 1,116
サンデウロ大陸編

1080話 ストック

しおりを挟む




「マサムネさんの声がしたな。あっちは終わったのか。」


 翔はほんの一瞬で敵を倒した。


「あんた、こん中で一番弱いのによく襲ってこようと思ったな。正直、ここに入った時からあんたの気配だけは隠しきれてなかったぞ。」

「もしかしたら、そういう罠かと思って来てみたが、そんなことは無かったな。」

「お前みたいなやつをこの場所に送るなんて今回の件は早く片付きそうだ。」

「うぅぅ.....」


 今、翔にぶっ飛ばされ地面でノされているのは雇われ中年戦士のストック45歳だ。


「まあ、あんたから情報を聞いてもいいが、どうせ金で雇われて事情も知らず、話せば死ぬという契約でもされているんだろう。」

「な、なんで、それを.....」

「一つ、あんたの付けているペンダントだ。その中にはあんたと一人の女性と子どもが映っている。今回のような頭のおかしいことをするやつがそんな家族想いのようなことはしない。」

「ここから、何らかの理由でここに来たということは断定できる。」

「二つ、上手く隠そうとしていたが、右足に怪我をしている。恐らくは古傷と思われ、今は回復しているが全快ではない。」

「そして、弱いといえど右足のハンデを持ちながらよく戦っていた。」

「恐らく、20年前ならSSランクの冒険者とも肩を並べているくらいに.....」

「このことから、あんたは昔は英雄と呼ばれ活躍していた何者かで、今は落ちぶれて生活をしている。」

「ここに来た理由は金がなくなったからか、もしくはに晒されているかの二択だろう。」

「どうだ、合ってるか?」

「あぁ、合っている。」

「そして、口止めをするためにした契約は"今回の件についての一切を喋ってはいけない"と言ったところか.....。」

「お前は何者なんだ..........。」


 ストックは翔の推理力に驚きを隠せなかった。


 翔はそれを無視し、ストックの腰周りを触った。


「何をする!!」

「これか。」


 翔はストックの腰から下げてある小さな鞄から身分証を取った。


「ストック・リースハーデン。18年前に全盛期だったと言われている西の英雄か。」

「これは、驚いた。」

「なるほど、落ちぶれたのも納得がいくな。」

「俺のことを知っているのか.....。」

「文献で見た程度だけどね。」

「18年前に西の大陸に英雄と呼ばれた一人の男がいて、その男は魔法、武術、両方の才に恵まれ、それを巧みに使いこなした。」

「その戦い方は奇抜で目新しく、今の魔法戦士の新しい土台を作り上げ、一時期はストック流とまで言われるほどに普及させた天才の戦士。」

「またの名を"右足のストック"。」
しおりを挟む
感想 291

あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

転生貴族の魔石魔法~魔法のスキルが無いので家を追い出されました

月城 夕実
ファンタジー
僕はトワ・ウィンザー15歳の異世界転生者だ。貴族に生まれたけど、魔力無しの為家を出ることになった。家を出た僕は呪いを解呪出来ないか探すことにした。解呪出来れば魔法が使えるようになるからだ。町でウェンディを助け、共に行動をしていく。ひょんなことから魔石を手に入れて魔法が使えるようになったのだが・・。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

ギフト争奪戦に乗り遅れたら、ラストワン賞で最強スキルを手に入れた

みももも
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたイツキは異空間でギフトの争奪戦に巻き込まれてしまう。 争奪戦に積極的に参加できなかったイツキは最後に残された余り物の最弱ギフトを選ぶことになってしまうが、イツキがギフトを手にしたその瞬間、イツキ一人が残された異空間に謎のファンファーレが鳴り響く。 イツキが手にしたのは誰にも選ばれることのなかった最弱ギフト。 そしてそれと、もう一つ……。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

処理中です...