テンプレを無視する異世界生活

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サンデウロ大陸編

1077話 助け不要

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「出てこねぇてんなら、斬るぞ。」

「3、2、1」


シャッ


 マサムネは刀を抜き、気配のする背後へ斬りかかった。



「いないな。」





「やはり、レイワのブシというのは恐ろしいな。これは、上に報告しなければ。」




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



「とりあえずはここらに居る無事なヤツらは全員保護できたぞ。」

「こちらも同じく。」

「そうっすね。俺のところも結構やれました。」

「けど、なんかおかしかったですね。」

「あぁ。」

「"全然、感染者がいない。"」


 4人はまだ一人として感染者と思われる挙動不審のものは見なかったのだという。


「それに、ここにはがいなかった。」

「俺も見てないです。」

「私も見ていないな。」

「どうやら、あそこにいそうですよ。」


 そう言って、王族が住んでいるであろうところを指さした。


「ここからは本当に覚悟をしていく必要があるな。」

「有り得ぬ話だが、一つだけ言っておく。もし、我々の命に危機を感じたのならば、逃げることを優先しろ。」

「生きて報告し、対策を練ることが何十万、何百万の命を救うことにもなる。たった、数人の命のためにそれを犠牲になどするな。」

「あぁ、俺もコジロウに賛成だ。」

「俺もコジロウさんと同意見です。」

「俺は反対ですね。」

「皆さんを連れてきたのは俺です。あなたがたの命を守る義務は俺にはあります。」

「ぬかせ小僧。」


 コジロウからは貫禄とオーラがとてつもなく出ていた。

 それに、ほんの少しではあるが、翔は後ずさりしてしまった。


「一度かけた命を救われるなどレイワの人間として恥だ。それも、自分よりも一回りも下の小僧に救われたなどとこの先どの面を下げて生きろというのだ!!」

「今回ばかりはコジロウに賛成だ。必ずしも助けることが、そいつのためだと思うな。」

「俺もコジロウさんに賛成です。自分の命は自分で守るし、守られるくらいなら戦わない方がマシだ。」

「皆さんはなんか勘違いしてませんか?」

「俺は皆さんより強い。だから守る。俺のこの力は自分が好きなように使います。」

「皆さんの生き様を見て、俺は皆さんには死んで欲しくないんですよ。」

「俺はただのエゴイストです。皆さんが助けて欲しくなんかないなんて、俺からしたらどうでもいい。俺が皆さんに死んで欲しくないからですよ。」


 その清々しいまでのエゴイストぶりと翔の圧倒的な気迫、実力に彼らはあてられた。


「それを言われたら適わねぇな。確かに、少し考えれば、俺も大切なやつらにならそうするわな。」

「まっ、今回は助けられる側に回ってあげてもいいですよ。」

「小僧が.....私がお前らを助けてやる。いくらでも負けるが良い。」



「コジロウさん。俺ら4人ならそもそもどんな敵にも負けませんよ。」

「あぁ、そうだったな。」


 4人の背中にはただならぬ闘気が溢れていた。
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