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サンデウロ大陸編
1070話 ポンデ村
しおりを挟む「ところで話というのはなんだ?」
「それがですね、"人が魔物化"しているという噂があるんですよ。」
「人が魔物化だと。どういうことだ?」
「人が人ではなく魔物になっているということが小さな村の兵から報告されているんです。」
「その兵曰く、人の身体が変形して魔物になって、自分を襲ったとの証言をしているんです。」
「それは、どこら辺での話だ?」
「少し、南へ行った方の"ポンデ村"というところです。」
「あのポンデ油で有名なところか。」
「よくご存知で。」
「それで、そんな噂程度の話なんじゃないんだろ?」
「さすがでございます。」
「私の見立てですと、それは何らかの病気かと思われるんです。それもかなりの確率で。」
「ポンデ村の人口が明らかに減っているのです。300人ほどいた住人は先週には250人へと減っていたとの情報が入ってきています。」
「仮にこれが病だとするならば、ポンデ村の住人達はそれにかかったものを手にかけ、村ごと焼き払われるというこを防いでいる可能性があります。」
「確かに、繁殖性が高い菌ならば、身体を蝕み300人ほどの村なら消せるだろうな。」
「問題はそこではなく.....」
「ポンデ油だろ。これが輸出されることによって、仮に病だとするなるば、違う場所で繁殖し、猛威を振るいいずれは人類へ大きなダメージを与えるってことだ。」
「さすがでございます。まさに、それらが懸念点でございます。」
サコンは翔を本当に敬服していた。
「それで、確認しにいけと?」
「いえいえ、そんなお手間は取らせませんよ。これです。」
懐から瓶を取り出した。
「ポンデ油か。」
「はい。」
「これをお預け致します。これは、2日前にここへと届いたものでございます。」
「ガロンドは非常に技術が発達していると聞きますので、これがあれば何かが掴めるかもしれません。」
「そして、その特効薬を作れた日にはガロンドは生涯安泰の国へとなるでしょう。」
「なるほどな。それで、何が欲しい?」
「そんな、いりませんよ。」
「商人なんだろう。」
「ははっ、バレておりましたか。もし、魔物化が本当で、その特効薬が出来た場合にはこの街の人の分だけでよろしいので、分けては貰えませんか。」
「わかった。約束しよう。」
「ありがたき幸せ。」
「まあ、特効薬を作る日が来ないことを祈るばかりだがな。」
「そうですね。」
この時はまだ翔ですら人類に、いや、世界に多大なる被害をもたらすことを知るよしもなかったのである。
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