テンプレを無視する異世界生活

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サンデウロ大陸編

1057話 ナナ

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 歩いてどのくらいの時が経ったのだろうか。


 約一週間か.....


 つまらなすぎて二十年の時が過ぎたのかと錯覚してしまうほどだな。


 それにしても、やはり童話に出てくる精霊都市というのは噂だったのだろうか。

 世界各国の精霊の聖地とされていて、精霊王がいると言われている場所だ。


 やはり、童話は所詮は童話だったのか.....

 日本でも昔話でいくらかこういう類のものはあり、モデルとされた場所もあったのだが、上手くは行かないみたいだな.....



ピクッ


 翔は何かの気配を感じ、眉を動かした。


「(何かがいる.....。いや、誰かがいるが正しい表現だろうか.....。これは、どこかで感じたことのある魔力だ.....。)」


 翔は少し立ち止まり黙り込んだ。



「思い出した。ナナか?(※205話参照)」

「ふふ、やはり翔様にはバレてしまいますね。」


 木の影から現れたのは高身長の美女だった。


「随分と見違えたな.....。」

「どうですか?」


 この子は昔に出会った精霊が見える精霊子である。昔は小さかったが、随分と綺麗に成長したみたいだ。


「数年でこうも変わるとは驚きだ。」

「精霊子は他の人より成人になる速度が早いらしいです。それでなくても私は成長期が早いので、より大人っぽくなりました。」

「そうだったのか。」

「ふふ。」


 ナナは笑った。


「何かおかしいか?」

「翔様は何もお変わりありませんね。普通の人ならば「なんでここにいるんだ?」とか聞いてきますよ?」

「そうか。では、なんでここにいるんだ?」

「もう遅いですよ。」


 ナナは以前と違い明るくなり、容姿は大人っぽくなっていて、精神年齢に身体がようやくついてきたようだった。


「"精霊王と旅人"を読んでここに来ました。」

「ナナもか。」

「翔様もそれで?」

「あぁ、気になっていたのでな。」

「それより、妹たちはどうだ?」

「あれから、信じられないほどに上手くいってます。リーデルの皆さんには優しくしてもらい、陛下からも仕事を斡旋してもらい、あの歳では稼ぐことが出来ないほどのお金も稼がせてもらい、妹たちも学校へ通い、今では手に職をつけて、婚約者まで見つけています。」


 どうやら、三姉妹は上手くいっているらしい。


 そして、ナナは既に働かなくともいいほどにお金を稼いだのだという。


「何で稼いだんだ?」

「もちろん、私の力を使い。」

「なるほどな。」


 ナナは魔力の薄い人や弱い人と精霊を契約させる仲介役を担っていたのだという。

 貴族では魔力を増やしたい人も沢山いることもあって、かなりの額を稼いだという。

 もちろん、危険分子は排除し、国の後ろ盾のもとにやっていたので安全ではあったそうだ。


「それで、世界を少し見たくなったのです。みんなにはない私のこの目で、私にしか見えない世界を.....」

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