テンプレを無視する異世界生活

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サンデウロ大陸編

1055話 限界

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 激しい攻防は続いた。


 長い.....長い.....それは時間にして約1時間もの間


攻撃、防御、攻撃、防御の繰り返しであった。


 しかし、二人の無駄のない剣筋に見てみたものたちは過ぎてゆく時間のことなどどうでもいいと言わんばかりに食いついていたのだ。


「あいつ、いつの間にあんなに強くなったんだ。ムサシと互角は想定外だな。」

「いや、ムサシはまだ本気じゃないよ。」

「あぁ、やつの真骨頂は"二刀流"じゃろうが。」

「そうか、忘れていた。あいつが二本目のそれを抜くところを子どもの時以来見ていなかったものでな。」




キンッ、キンッ



「おい、ムサシ。さっさと本気出せよ。」

「今も本気だ。」

「違ぇだろ。あんまりふざけたこと抜かすんなら頭真っ二つにしてやるぞ。」

「ほぉ、やってみれるものならやってみろ。」



「と、言いたいところだがそうも言ってられないな。」

「マサムネ.....強くなったな。」


シャッ

 ムサシは腰にかけていたもう一本を躊躇いもなく引き抜いた。



ドッ


「なんてやつだ。」


 ムサシが二本目を抜いた瞬間に周りの空気が一変した。


「まるで化け物を見ているような気分ですな。」

「そうですね。プレッシャーは半端じゃないですね。さすがムサシさんだなと思います。」

「おやおや、やはり心変わり致しましたか?」

「いえいえ、全然ですよ。マサムネさんが勝つ確率はおよそ86%ですね。」

「大優勢といってもいいでしょう。」

「ほぉ、それはとても興味深いですね。理由を聞いても?」

「はい、いいですよ。どうせ、次の一撃で終わるので。」

「ムサシさんの一撃は痛い、マサムネさんの一撃は重い。これが二人の決定的な違いなんですよ。」

「痛いっていうのは表面的なダメージであって、即効性が強いものが多いんです。しかし、重いっていうのはじわじわと蝕んでくるんですよ。」

「互角に見えて、完全にムサシさんが現状では押されています。」

「そうは見えませんけどね。」


「あ、じわじわ蝕まれているのはムサシさん自身ではありません。いや、ある意味身体の一部ですかね。」

ですか。」

「そうです。僕の見立てではムサシさんの一本目の刀はあと一回マサムネさんの一撃を喰らえば、綺麗に粉砕されると思っています。」

「ですが、あれはなかなかの代物でかなり鍛えられていると思われますがね。」

「僕もそう思います。以前、一度受けたとお話しましたが、その時に実は刀が刃こぼれしたんですよ。」

「どんなに硬いものを切っても刃こぼれどころか傷一つ付かなかった僕の刀が一瞬でボロボロにさせられちゃいましたよ。」

「そんな攻撃をくらい続けたムサシさんの刀もそろそろ限界に近づいてきてます。」

「なるほど、そういう事でしたか。武器がなくなれば降参せざるを得ないというわけですね。確かにあの方の性格上は絶対に続けないでしょうね。」



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