1,087 / 1,116
サンデウロ大陸編
1054話 ムサシの初めて
しおりを挟む「手加減は出来ないからな。」
「言ってろ。お前の方こそ死んでも知らねぇぞ。」
「では、二人とも準備はいいか。」
「万全だ。」
「いつでもどうぞ。」
二人は互いの目をしっかりと見ている。
二人に「怪我はさせるなよ」などと野暮なことを言うものはいなかった。
「では、開始。」
「てか、待って。こんなかにいたら俺らやばくない?」
「はっ、あいつらの攻撃程度どうてことはない。」
「いやいや、そんな強がり言ってないでさ!!」
「大丈夫だ。」
「死んだらみんなのせいだかんな!」
「黙ってみろ。」
コジロウが二人の戦いを見るようにみんなに指示した。
二人は依然として動く気配がない。
「先に打たせてやるよムサシ。」
「なに、構わん。先に打つといいマサムネ。」
互いのプライドが先手を許さない。
と思っていたのだが、
「そうか、一撃入れさせてくれるのか。それなら、遠慮はしないぜ。」
マサムネは悪い顔をしてムサシへと近づいた。
「そりゃそうだよね。まともにやってムサシに勝てる確率なんてかなり低いからね。一撃入れればマサムネのだったらいい勝負するだろうね。」
「いや、お前はあいつを舐めすぎだ。」
「いやいや、さすがのムサシでも喰らったらさすがに無傷とはいわないでしょ!」
「ちげぇよ。舐めてるのはマサムネの方だ。あいつの一撃をまともに喰らって立ってられるほどムサシは強かねぇぞ。」
「というかマサムネさんが強いだけですけどね。」
「あいつはここ数年で見違えるほど成長した。多分だが、魔法も含めた一撃ならレイワにいる誰よりも強いだろう。」
「ま、見れば分かることよ。」
トットット
マサムネはムサシへとゆっくりと近づいていく。
「避けるなよ、ムサシ。約束だからな。」
「あぁ。」
この段階でムサシは少し嫌な予感をしていた。底知れない何かを。常に勝ち続けていたムサシがマサムネに恐れることはなかった。
しかし、今日というこの日、この瞬間だけは自分に近づいてくるマサムネに悪寒を感じていたのである。
マサムネはムサシに一撃喰らわせられる距離へと近づいた。
「独眼流 梵天」
炎を纏った刀がムサシを一刀両断しようとしていた。
「おいおい、どうしたんだお前。」
「まさか、あのムサシが!!」
「マジかよあいつ。」
「ほぉ、初めて見ましたね。ムサシさんが後ろへ引く姿は。」
ムサシはマサムネの一撃をかわしたのだ。
「なんだ、さっきのは嘘だったのか?俺に一撃を入れさせてくれるんじゃないのか?」
ムサシを煽る感じにマサムネは言った。
「あいつが後ろに引いたところなんてあったか?」
「いや、ないな。命を落としかけたあの時ですら一歩も引かなかった。あいつは恐怖に打ち勝ち続けていた。」
「そんなあいつが.....」
「へぇ、いいもん見れた。」
ムサシが後ろに引くということはどんなことよりも信じられなかった。
常に前に進み続けて、格上相手でも怯まず進み続けてきた圧倒的なムサシがマサムネの一撃をかわしたのであった。
「マサムネ、すまない。」
「お前にはやる気でいかなければ失礼になってしまうな。」
「俺とお前は対等だ。」
そう言いながらムサシは刀を抜いた。
「ばーか、俺の方が上だよ。」
マサムネも構え直した。
0
お気に入りに追加
2,209
あなたにおすすめの小説
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
転生貴族の魔石魔法~魔法のスキルが無いので家を追い出されました
月城 夕実
ファンタジー
僕はトワ・ウィンザー15歳の異世界転生者だ。貴族に生まれたけど、魔力無しの為家を出ることになった。家を出た僕は呪いを解呪出来ないか探すことにした。解呪出来れば魔法が使えるようになるからだ。町でウェンディを助け、共に行動をしていく。ひょんなことから魔石を手に入れて魔法が使えるようになったのだが・・。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。
ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。
高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。
そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。
そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。
弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。
※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。
※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。
Hotランキング 1位
ファンタジーランキング 1位
人気ランキング 2位
100000Pt達成!!
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移
龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。
え?助けた女の子が神様?
しかもその神様に俺が助けられたの?
助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって?
これが話に聞く異世界転移ってやつなの?
異世界生活……なんとか、なるのかなあ……?
なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン?
契約したらチート能力?
異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな?
ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない?
平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。
基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。
女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。
9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。
1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
転生発明家は異世界で魔道具師となり自由気ままに暮らす~異世界生活改革浪漫譚~
夜夢
ファンタジー
数々の発明品を世に生み出し、現代日本で大往生を迎えた主人公は神の計らいで地球とは違う異世界での第二の人生を送る事になった。
しかし、その世界は現代日本では有り得ない位文明が発達しておらず、また凶悪な魔物や犯罪者が蔓延る危険な世界であった。
そんな場所に転生した主人公はあまりの不便さに嘆き悲しみ、自らの蓄えてきた知識をどうにかこの世界でも生かせないかと孤軍奮闘する。
これは現代日本から転生した発明家の異世界改革物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる