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神編
1016話 新たな誕生
しおりを挟むかくして翔はガロンドを出ていくことを決めた。
もちろん、国を捨てるわけでもなく、これから行かなくなる訳でもない。
魔法一つですぐに行けるし、家や研究室だってこれまでと同じように使える。
ただ、王という役職と権力を捨てて、1人のガロンドの旅人という地位になるだけだ。
しかし、世間はそう簡単には翔を一般人にはしてくれない。
世間からしてみれば翔はガロンドの王であり、一流の冒険者であり、唯一無二の研究者であり、謎多き大天才としてこの世界でも認識されているだろう。
「そんなわけで俺はこの国を出ていくことにした。みなはこの事を旅立ちや裏切りなどとは思わないでくれ。むしろ、これは一歩の前進だ。」
「王という権力を捨てた今、残されるのは己の力のみ。みなと同じように一国民としてこの国には貢献していくつもりだ。」
「そこでだ。如月 翔、最後の王命だ。」
「次に王位に立つもの達に力を貸してあげてくれ。」
「彼らは王の器があれど、まだ未熟な者共だ。私からしたら正直、右や左もわからぬ赤子のようなものだ。そんな彼らを君たちが助けてやってくれ。」
「彼らが道を違えようとした時には、正してやってくれ。ただし、彼らもまた優秀だ。」
「ここにいる全員が納得するような国に新たに進歩させてくれるのだろう?」
翔は重役の方を向いて、にっかりと悪い顔で笑っていた。
重役の皆は少し脇を締めながら、身を構えた。
「では、こんな堅苦しいことはもう終わりだ。」
「これからはガロンドの"新時代"の始まりだ。宴の準備だ!!」
「うおぉぉぉぉぉお!!!」
そこから、三日三晩の宴が続いた。
この期間だけはみんなは仕事から離れ、朝から晩まで飲み食いし、語り明かした。
これが後にガロンドの伝統の"王祝祭"として歴史に刻まれるのは別の話である。
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