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神編
1002話 恐怖
しおりを挟むアイント身体は黒い何かで覆われ、装甲のようなものへと変化した。
「これはあまりスマートではないから好きじゃないんだが、文句は言ってられない。」
「私も二皇のプライドというものがあってね。そこらの人間の貴様をただ一方的に攻撃するというのは好きじゃないんだ。」
「一撃。一撃のみ攻撃を受けてやろう。」
「後悔はするなよ。死んでも知らないぞ。」
「あぁ、その時は誇りとともに死をも受け入れよう。出来るのならばな.....」
翔は紫狼丸を取り出した。
そして、アイントの前までゆっくりと歩いて近づき、振った
バキッ
「やはり耐えられなかったか。すまなかった。」
翔は折れた紫狼丸を収納魔法に入れ、アイントとは距離を取った。
一振りされ、アイントは全くの無傷だった。
しかし、振り下ろされる瞬間にアイントはどこから湧き上がってきたのかわからない「恐怖」を感じていた。
アイント自身もそれがなぜ湧いたのかわからなかった。
だが、「このままではいけない。」と本能が自分に訴えかけてくるのを感じた。
「さぁ、始めようか。」
翔は黒光りの柄のみを持ちそう言った。
アイントは何も話さなかった。
翔が持っているものに刃がなかったことに何ら疑問を持たなかった。というよりは、持っている余裕がなかったのだ。
生まれて恐怖したことなど極少ないアイントにとって、恐怖とは本当の意味での「恐怖」だった。
しかし、目の前にいるのは自分よりも明らかに弱いと思われる人間。
この時のアイントはこの恐怖を終わらせるために「殺さなければ」と考える他なかったのである。
シュン
翔は斬りかかった。
しかし、翔は柄のみしか持っていない。
たが、振りきった時、アイントの胸部の装甲に少し傷がついたのである。
「やはり、硬いな。」
「それにしても、なぜ黙りこくっているんだ。先程まではあれほど饒舌だったのにな。」
翔は笑いながらアイントにそう言った。
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