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天災編
小ネタ 阿劉 影虎 最終回
しおりを挟むドンッ
「痛ッ」
翔の鼻から血が出た。
「思ったより突きが速かったか。師匠の突きのノビを侮ったな。」
こいつは恐ろしい。
失敗はしたもののほぼゼロ距離だったぞあれ。
開いた大口を閉じさせようとしたのだが、それをいとも簡単に.....
近づいてくる度胸に対応してくる動体視力
これは鍛えるかいがありそうだな。
「師匠、もう一回頼む。次は決める。」
「あぁ、いいわ。次は絶対に出来るからな。」
「なぜ言いきれる?」
「お前は確信してだろ?出来るって。」
「あぁ。」
「それと同じ理由さ。お前なら出来る。だから、こんな技で時間を取るな。お前にはもっと凄い技を教えてやるよ。」
┈┈┈┈┈一年半後┈┈┈┈┈
「今日で終わりだ。」
「では、約束通り。」
「わかってる。」
俺は翔と最後の修行の時に決闘することを約束していた。
「武器はどうする?」
「それは任意で。」
「わかった。」
影虎は何も持たずに構えた。
「いいんですか?」
「あぁ、いいぞ。」
本当の強者同士の戦いというのは長引かない。
それこそ、一撃に命をかけていると言っても過言ではないからだ。
一撃を喰らえば相手を沈められる特訓をしてきているのだから。
そういった意味でも翔はかなりの強者といってもいいだろう。
現役を退いた俺の祖父と同じかそれ以上の実力は持っていた。
だが、それだけでは俺には絶対に勝てない。
ドンッ
「俺の勝ちだな。」
「参りました。」
影虎が翔へと寸止めした。
その間はなんと"0.5秒"
その0.5秒の間に様々な技が使われていた。
俺らの体感では約2時間半くらいはあっただろうか。
バスケットボールのプロは相手をドリブルで抜く前にイメージをする。
そして、相手と自分のスキルを照らし合わせ、抜けるか抜けないかを考えてから行動に移す。
だが、試合中にいちいちそんな事をじっくりとなど考えてはいられない。
瞬時に考え行動に移す。
それと同じようなことがここでは行われた。
この技は相手にはいるのかどうか
相手からの攻撃をかわせるのかどうか
そんな状況で考え勝ちをしたのは影虎だった。
「落ち込むな。お前は確実に俺を追い込んだ。あんなに考えさせられたのは親父と戦った時以来だ。」
「落ち込んでない。むしろ、今は清々しいよ。一年半頑張っても勝てない人から教えて貰ったことなら信じられるってさ。」
「負け惜しみかよ。」
「うるさい。」
「じゃ、これで終わりだ。翔、頑張れよ。」
「あぁ。」
翔は玄関まで歩いていった。
「あ、そうだ。」
「ほら、これ。」
翔は影虎へ何かを投げた。
「なんだこれは?」
「刀だ。」
「名刀 影虎」
江戸時代初期に作られた名刀。
その値段、実に8000万円。
翔は笑いながら
「あんたずっと欲しそうにしてたから。」
「はっ、最後までいけ好かねぇやつだな。」
影虎は笑ってそう返した。
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