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天災編
小ネタ 阿劉 影虎⑧
しおりを挟む俺には一人の弟子が出来た。無礼で何を考えているかよく分からないやつだが、才能や頭の良さは評価に値するやつだ。
「確かに翔は強い。だが、お前の攻撃は俺には当たらない。何故かわかるか?」
「そうだな。経験、読み、技 というとこか?」
「確かにそれも影響はしている。しかしだ。1番の要因は相性だ。」
「お前にとって俺は最悪な相手といってもいい。というか、現存する武術で阿劉流に勝てるものは存在しない。何故なら、それらを対策するために作られた流派だからだ。」
阿劉流は暗殺術として使われていくうちに、勝てる武術というのではなく、負けない武術へと進化していったのだ。
「だが、それはあくまで暗殺のみを生業としてるうちの家系のやり方だ。俺のやり方は違う。」
「負けない武術なんかじゃない。"誰も勝てない武術"だ。」
「故に決まった型というのはない。」
「つまり、完成してない武術ってことか。」
「そうだ。戦う相手がいる限り、真の阿劉流は完成しない。」
「しかし、ある程度の基礎はある。」
「かかってこい。」
影虎は翔に攻撃するよういった。
ヒュッ
シュッ
蹴りや突きを打ち込んだ。
だが、全てが尽くかわされた。
「なんで今かわされた?」
「距離か。」
「そうだ。俺とお前の間合いが一定だったんだ。」
「これは、インファイトタイプのやつの時に主に使う阿劉流 颯歩。」
相手が動いた速さと距離を完全に一緒にするものだ。
そうすることによって、移動距離や次の一手に対応できるようになっている。
「これをマスターするのに約半年ってところか。」
「質問だ。」
「なんだ?」
「相手と能力差がある時にはこれは有効じゃないだろ?」
「確かにな。相手が自分より速かったりした場合はこの限りではない。」
「じゃあ、全力の速さで殴ってみろ。」
ヒュン
翔の拳が影虎へと飛んでいった。
「?!?!」
「これじゃあ、痛くねぇな。」
影虎に拳は当たった。
しかし、それは翔から打たれる前にだった。
「向かってくる相手に近づくのは簡単だろ?これは、阿劉流 無包だ。」
相手の攻撃が出る前にゼロ距離で攻撃を受け止め、ダメージを受けないというものだ。
「そうか。簡単な話だったな。」
「じゃ、まあ、これが出来るように鍛えてやるよ。」
「いや、大丈夫だ。もう出来る。」
「は?何言ってんだ。見ただけだろうが。」
「俺は一度見たものは忘れない。師匠のように鮮やかにとはいかないまでも、それなりには出来ると思う。」
「そこまで言うならやってもらおうじゃねぇか。」
影虎は翔と同じ速さほどに調整した突きを放った。
スッ
「おいおい、マジかい.....」
本当にやりやがったよ。
これは一朝一夕で出来る動きじゃねぇぞ。
影虎は一発。たった一発の突きだけでそれがわかった。
じゃ、これはどうだ。
影虎は先程の3倍ほどの速さで突きを打った。
これは、無包は簡単に見えて諸刃の剣だ。
少しでもタイミングを間違うとまともに喰らったり、隙が生まれたりする。
颯歩とは比べ物にならない度胸と修行がいるぜ。
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