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番外編
2話 友達
しおりを挟む大天才の友達は意外にも普通の子だった。
彼の名前は成田 旭(なりた あさひ)。成績は中の上、運動神経は一般的なそこら辺にゴロゴロいるような子だった。
当時、翔が通っていた学校は家から一番近い市立校だった。
だから、旭は本当にごくごく普通の学生だったのだ。
そんな彼と仲良くなったきっかけは入学式でのことだった。
入学式では翔の周りはざわつき、憧れや尊敬、嫉妬など色んな目で見られていた。
そんな中、彼だけは違った。
旭は翔に近づき
「君は有名人なの?」
そう聞いたのだ。
翔を知らない日本国民はいないといわれているほど有名だった。
知らないのは赤子や山に篭っているおじいさんくらいだろう。
TVや新聞を見ていれば嫌でも目につく存在だった。
そんな翔に旭は「君は有名人なの?」と聞いたのだった。
それには翔も笑っていた。今まで、同年代には大天才が故に距離をとられ、不気味がられていたのだ。
「君に認知されてないということは俺は有名ではないよだな。」
笑いながらそう言った。
「君の名前は?」
「俺の名前は旭だ。成田 旭だ。」
「旭か。覚えておこう。俺は翔だ。これからもよろしくな。」
翔と旭は手を交わした。
入学式が終わり一週間が過ぎて、翔は初めて登校した。
「翔!やっぱり有名人だったんだ!俺の母さんが教えてくれたんだよ!」
「そんなことないさ。有名になったのだって数年前の話だ。今はそうでもないと思うぞ。」
「いや~それにしてもキサラギの法則の論文は凄かったな!」
キサラギの法則とは翔が作った新たな法則だ。
「あの論文を読んだのか?」
「読んだよ。難しい言葉があったから辞書をひきながらだけどな。」
翔が書いた論文は中学生が理解出来るものではなかった。
最先端をいっている物理学者や化学者が理解出来るかどうかというものであった。
「論文読んだ感想を教えてくれないか?」
「言葉にするのは難しいんだが、強いて言うならこの世の真理に近づいたって感じだな。」
翔は驚いた。なぜなら、翔の書いた論文の本質を捉えていたからだ。
表立っては書いてはいないが、遠回しに翔は神の存在へのアンチテーゼとして書いたものだった。
それは言わばこの世の真理といえるだろう。それをたった中学生に上がったばかりの一人の少年が理解したのだった。
この時、翔は確信した。
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