テンプレを無視する異世界生活

魔族編

234話 帰りたい？

「まさか一日に三人の大賢者に会えるとはな。」

「私はもう引退した身さ。大賢者として活躍していたのは数百年前の話さ。」

「でも、俺が思うにレーダはこの双子を一瞬でのせるほどの力はまだあるようだけど？」

「私も隠居したくなったのさね。だから、二人に技術を教え私の座を継がせようとしてるんだよ。」

「若い子がこれからを担っていくんだからね。」

「本当に地球人の台詞かよ。どっかの頭の硬い白髪大賢者みたいなこと言うのな。」

「まあ、地球よりこの世界での方が生活時間は長いからね。」

「そうかい。」

翔は少し息を置いた。


「レーダは今日本に戻れるなら戻りたいかい？もちろん、姿も元に戻るし魔力も無くなる普通の人生をまた過ごしたいと思うかい？」


レーダは即答だった。


「今はまだいいさ。この子らを一人前にしなきゃいけないからね。少なくともあと10年は帰れないさ。」

「そうか。」


この場の全員が気づいていた。翔が地球に人を飛ばせるのことを。そして、それがいとも簡単に行うことが出来ることを。

だが、あえてそれを口にするものはいなかった。