転生しすぎて異世界に飽きたので今世で終わりにしようと思います

2 クリアドラゴン

『気配察知』：所有者の察知範囲内に入っている生命体の気配を察知することが出来る。ただし、上位スキル所持者や能力値に大きな開きがある場合は察知できない。




「俺の察知範囲はおよそ数百kmだ。たかだか、数km先のお前の存在に気づかないわけが無いだろ。」



ガサガサ


 木陰から出てきたのは小さなドラゴンだった。

 手に乗れるほどの小さなドラゴンで身体は驚くことに透けていて、後ろの木が透けて見えるほどだった。



「クリアドラゴン。かつて、世界の半分を滅ぼしたといわれる最凶のドラゴン。」



 クリアドラゴンは魔法・物理、全ての攻撃を跳ね返すことが出来ることから、【討伐不可能】とされている。そして、1番恐ろしいのは自らに攻撃をして、それを反射させることによって、四方八方へと攻撃を飛ばす攻撃がある。

 かつてその攻撃で滅ぼされた国の王様がこの攻撃を【無慈悲の咆哮】と名付けた。



「俺の家の近所で暴れられても困るから俺についてこい。」

「キュイ」



 俺はクリアドラゴンをテイムした。


 魔力を持っている生物は魔物と呼ばれ、魔物をテイムするためには職業『テイマー』もしくはスキル『テイミング』が必要でテイムすることが出来るのは、自分より力の弱いものに限る。


 ちなみにこのテイムの世界での強い・弱いの明確な定義は定かではなく、世界七不思議の1つとされている。


 だから、基本的には実力差が明確な魔物のみをテイムするのが定石だ。




「名前はシトだ。これからよろしくな。」

「(よろしくね。)」



 これは『思念伝達』によって、シトが俺の頭に自分の思いを飛ばすことが出来るというものだ。

 いつかの俺はこれを駆使して、テイマーとして名を馳せ、世界の頂点にたち、美味い飯を食べ美女に囲まれ豪遊をした。



「とりあえずはバレないように姿を隠していてくれ。呼ぶ時はスキルを使うからそれまではテキトーに過ごしてて。」

「(わかったよ。木の実食べて遊んでるね。)」



 クリアドラゴンをテイムした理由は簡単だ。手間がかからないし強いからだ。

 かなり希少なドラゴンの中でも超希少で俺の全人生の中でも3回くらいしか出会ったことの無いクリアドラゴンなのだから、存在に気づけばテイムせずにはいられないな。



「もう日が暮れるのか。これは帰らないとこいつ俺の親が心配するな。帰るとするか。」