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第一章 チート勇者の存在
13.アップデート
しおりを挟む「……ギルディア、グラディエーターと言う職業に不満を持った事は在りませんか?」
「え、うぅん……。そんな事なんて考えた事なかったな。何せ、生まれた時からグラディエーターになる様に最高神様から御告げを頂いてた訳だし……」
女神様が急に職業の話を持ちかけて来るとは、もう何となく話の流れは分かってはいるが、俺にとってグラディエーターってのは誇りであり人生であり誓いなんだ。
急に転職しろなんて……。
「ギルディア、貴方に転職して頂きたく思います」
ほら、やっぱり。
「私は何故、ギルディアとクロフィアに未来の風景を見せて、死する事も分かった上で連れて行ったか。それは、『最強勇者』をどう攻略するかを肌身で感じて欲しかったからです。勿論、ただ時間旅行をする為だけではありませんよ」
フィローラ様は胸元に手を当てて少しだけ頬を膨らませる。
しまった、胸元を覗いてたのバレたか。
ちゃう、これは姉貴の体!
マジで頭がおかしくなりそうだ!
「……近接攻撃は意味無し、即死攻撃も戦う日にHPが100万を超えてたら意味無し。即死攻撃は『999999ダメージを与える』って効果だからな。取り敢えず正攻法で挑むのは俺達に分が無い事は理解したぜ。だったら、俺はどんな職業をなれと?」
俺は立ち上がって別の角度から姉貴の体に視線を差し込むが、もうサービスは終了してしまったのか、フィローラ様は頬を膨らませたまま俺を睨み付ける。
「理解が早くて助かります。私も最初は『魔法系スキルでの猛攻』を考えましたが、それでは人手が足りません。勇者と名の知れた彼に攻撃を仕掛けようと考えている者など私達以外に居ないでしょう。それを遂行せよと戦士に尋ねようものなら、私達は反逆罪で追われる身となり話が進まない。故に、柔軟さと特攻スキルが必要となるでしょう」
フィローラ様は怒りで興奮しているのか、早口になる。
俺は何か策が有るのだと決め込み、彼女が言う言葉に対して取り敢えず肯定する事にした。
が、本当に『女神の恩恵』を乱雑に扱う人間に俺達は勝てるんだろうな?
「疑いの目ですね、淡い茶色のオーラが見えますよ」
「そりゃそうだろ。で、俺は何に転職すれば良いんだ?」
「はい、これから貴方に呪文を掛けます。いわゆる、『アップデート』と言う魔力です」
彼女は俺の前に立ち、両手を胸の前に組んでスッと目を閉じた。
すると、彼女の体は神々しく光だし、ある時の様に風景が白くなって、世界が照らし出されていく!
「……この呪文は既にクロフィアとこの体、ギルカーナの体にも付与しています。私たち三人のみが得た力です、他言はしない様に」
それだけを言い残し、フィローラ様は空の彼方へと姿を消して行った。
……ってか、アップデートって何だよ?
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