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第一巻 第一章 クラシックの世界からやって来た!
第十八話幕間 エータ参戦!
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リュートが学校に来ない!
あいつ、さてはカノンさんと一緒に家でえちえちなことをしてるのではあるまいな!
そう思ったエータこと四谷瑛太は、リュートの家に潜入することを心に決めたのである!
さて、リュートのアパートにはついたものの、いきなり俺が押し入って、マジでえちえちなことをしていたらどうしようか。
俺は、リュートのアパートの周りをウロウロしている。
次の授業が始まる前に、リュートを家から引っ張り出したいが。
だって、俺のクラスってみんな陽キャラばっかりなんだもん!
俺1人で寂しく授業を受けるなんて実に耐え難い!
せめて、『友達くらいいますよ』アピールをして、クラスのみんなと仲良くなりたいのだ!
加え、カノンさんと仲良くなっていれば、女の子ともお近づきになれるかもしれない!
そんな、下心丸出しな俺ではあるが。
大学に入る前に金髪にしたからなのか、クラスメイトにらかなり警戒されている。
特に女の子から! 話しかけても苦笑いだし、避けられてる気がするのだ!
なんだ、俺はやっぱりモテないのか!?
くそー、やはり黒髪に戻すべきか!?
なんて考えていると、リュートの声が後ろの方から聞こえた!
俺は咄嗟に草むらに隠れると、青髪の女の子と話しながらこっちに向かってきているではないか!
あの野郎、カノンさんでは飽き足らず、あんな美少女まで手玉に取るとは!
と言うか、青髪の女の子が背負って居るのは、昨日リュートの首根っこを掴んで走り去った赤髪の子じゃないか!
俺の美女ランキングのトップにいる彼女だが、なぜか涎を垂らしながら眠っている!
そして、リュートたちはアパート内に入って行く。
まさか、リュートは赤髪の子すらも手玉に取ったと言うことか!
それだけは絶対に許せない! 許せないぞゴキブリ以下の親友よ!
くそ~、俺もその輪に混ぜて欲しい!
そして、赤髪の子とお近づきになって、華々しい大学生活を送りたい!
どうするべきか、もはや突撃すべきか!?
いや、まさかリュートの家の中が酒池肉林の宴があった場合が怖すぎる!
入るべきか、帰るべきか! うおー!
「あの、すみません」
「ふぉい!?」
俺は突然、後ろから白衣の男に話しかけられる!
あまりの驚きに、悲鳴に近い返事をしてしまった!
「俺、別にストーカーとかじゃないですから!」
「ん? 何の話でしょう?」
しまった、思ったことが言葉で出てしまった!
「お尋ねしたいのですが、『リュート』と言う青年の家を知りませんか?」
「リュート? リュートなら、そこのアパートの」
しまった! 見知らぬ人にリュートの家を教えてしまった!
「やはりこの建物でしたか。アイネさん、建物の写真だけを送って『ここにきて』なんて仰るものですから」
白衣のイケメンは、ニコリと笑って俺に返した。
「ねぇお兄ちゃん! この人、どこかで見た事ない?」
白衣のイケメンの後ろに隠れていた金髪の女の子が俺を指さした。
「んー、確かに。どこかでお会いしましたか?」
「いえ、全然。そもそも、誰ですか?」
「失礼。申し遅れました。私、あの病院の院長をしております、賀田風雅と申します」
と、名乗るその人は、めちゃくちゃでっかい建物を指さした。
「え、賀田病院の医院長!?」
「はい。もしかして、通院されてましたか?」
「いや、行った事ないですけど」
「そうでしたか。では、どこで会ったのでしょうか」
賀田医院長は、首を傾げて空を見上げる。
「それにしても、君の名前は?」
「何で名乗らないといけないんですか」
「いえ、よくよく見てみると、あなたには魔力の器があると思いまして。リュート君の関係者とお見受けいたします」
「は? 魔力の器?」
「ねー! この人、もしかして『聖戦』の時に居た人じゃない?! 見た目がそっくり!」
「ほー、なるほど! と言うことは、魔力の器があってもおかしくない!」
「は、え? 何の話ですか!?」
なんか、ラノベの設定を語りだす!
魔力!? マジでイカれてんのかこの人たち!
「それに、かなり強い気を感じます。聖戦では幹部以上の実力者だったと思いますよ」
「すごぉい! ここで会えるなんて、ラッキーだねお兄ちゃん!」
こいつら、なんか怪しすぎる!
早くこの場から離れたほうがいいか!?
でも、リュートの知り合いっぽいし――。
「そうだお兄ちゃん、仲間にしようよ! この人、戦力になるよきっと!」
「同感です。私が鍛えれば、私たちの世界の彼以上に強くなれるかも」
「仲間ってなんだよ! 何なんだお前ら!」
なんか、さっきから言ってることがやばすぎる!
リュートは何でこんな人たちと付き合ってるんだよ!
俺の知らない間に、リュートがどんどん分からんやつになっていくんだが!
「ふむ。説明が遅れましたね。単刀直入に申しますと、私は異世界人です。世界を救済するために、ここにやってきました」
「いや、説明になってないから! そもそも、魔力って何だよ! そこから説明してみろよ!」
「ぴーぴーうるさいなぁ。お兄ちゃんの話を聞いて!」
「ダメですよトッカータ。彼は混乱しているのです」
混乱するだろそりゃ! 急に話しかけられたら、魔力だの何だの言われて!
「ふむ、君は相当強い。君は幅広い魔法を使える素質を持っています。私たちは、あなたのような強く気高い人間を集めています」
「俺が魔法を使える!? 真面目に言ってんの?」
「はい、大真面目です」
賀田医院長の表情は豊かで、悪い人ではなさそうだ。
よく分からないけど、なんかワクワクしてきた。
騙されてやる価値はあるかも。
「我々は、リュート君の協力のもと、世界に降りかかる強大な力を退けるために準備を進めています」
「リュートもなんか魔法の力があるのか?」
「はい。彼は『性欲の勇者』の力を持っています」
「え、性欲?」
「まぁとにかく、彼の力がなければ、世界滅亡の危機を避けられないと言うことです。君も協力してくれませんか?」
協力って言ったって――。
俺は魔法が使えるから、その戦いに加担しろってことだろ?
俺にできるのかそんなこと――。
「不安そうですね。魔法の使い方は後でリュート君と共にお教えしましょう。また、何かお望みがあれば、私が協力いたします。金銭、住居、装備、何なりとお申し付けください」
そういわれてもなぁ……。
お金は欲しいけど、流石にそれは倫理的に良くないよなぁ。
と、俺は急にふとあの赤髪の子のことを思い出した。
「あの、もしかして、カノンさんとか赤髪の子とかも魔法使える人たちの関係者なのか?」
「無論です。赤髪の子とは、テルさんのことでしょうか?」
テル――、彼女の名前か!
テル、めっちゃ可愛い名前じゃん!
「だ、だったら! 俺にテルさんを紹介してくださいよ! だったら、協力しますよ! こう、いい感じに見繕ってください!」
テルさんと仲良くなれるなら、別に俺は何でもいい!
魔法が使えるって話が本当なら、テルさんにカッコつけられるチャンスじゃないか!
「分かりました。なるほど、君はテルさんに恋心を抱いていると?」
「そ、そうっすよ! ちなみに、一目惚れです!」
「ふふ、若いとはいいことですね。さて、それでは君とテルさんがお近づきになれるようにしましょう。条件と引き換えに、私は君の協力を求めます」
「分っかりやした! 四谷瑛太です。エータって呼んでください」
「エータ君ですね。私も気軽にフーガとお呼びください」
「アタシ、トッカータ! よろしくねエータ君!」
フーガ先生とトッカータちゃんか。
なんかよく分からんけど、魔法が使えるようになって、テルさんと仲良くできる!
俺はそれだけで十分だ。
「じゃ、リュートの家に案内します。こっちっす!」
「ありがとうございます」
そうして、俺はフーガ先生たちをリュートの家に招待したのだ。
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