上 下
19 / 60
第一巻 第一章 クラシックの世界からやって来た!

第十八話幕間 エータ参戦!

しおりを挟む

 ♠︎♠︎♠︎♠︎♠︎♠︎

 リュートが学校に来ない!
 あいつ、さてはカノンさんと一緒に家でえちえちなことをしてるのではあるまいな!
 そう思ったエータこと四谷瑛太は、リュートの家に潜入することを心に決めたのである!

 さて、リュートのアパートにはついたものの、いきなり俺が押し入って、マジでえちえちなことをしていたらどうしようか。
 俺は、リュートのアパートの周りをウロウロしている。
 次の授業が始まる前に、リュートを家から引っ張り出したいが。
 だって、俺のクラスってみんな陽キャラばっかりなんだもん!
 俺1人で寂しく授業を受けるなんて実に耐え難い!
 せめて、『友達くらいいますよ』アピールをして、クラスのみんなと仲良くなりたいのだ!
 加え、カノンさんと仲良くなっていれば、女の子ともお近づきになれるかもしれない!

 そんな、下心丸出しな俺ではあるが。
 大学に入る前に金髪にしたからなのか、クラスメイトにらかなり警戒されている。
 特に女の子から! 話しかけても苦笑いだし、避けられてる気がするのだ!
 なんだ、俺はやっぱりモテないのか!?
 くそー、やはり黒髪に戻すべきか!?

 なんて考えていると、リュートの声が後ろの方から聞こえた!

 俺は咄嗟に草むらに隠れると、青髪の女の子と話しながらこっちに向かってきているではないか!
 あの野郎、カノンさんでは飽き足らず、あんな美少女まで手玉に取るとは!

 と言うか、青髪の女の子が背負って居るのは、昨日リュートの首根っこを掴んで走り去った赤髪の子じゃないか!
 俺の美女ランキングのトップにいる彼女だが、なぜか涎を垂らしながら眠っている!

 そして、リュートたちはアパート内に入って行く。
 まさか、リュートは赤髪の子すらも手玉に取ったと言うことか!
 それだけは絶対に許せない! 許せないぞゴキブリ以下の親友よ!

 くそ~、俺もその輪に混ぜて欲しい!
 そして、赤髪の子とお近づきになって、華々しい大学生活を送りたい!
 どうするべきか、もはや突撃すべきか!?
 いや、まさかリュートの家の中が酒池肉林の宴があった場合が怖すぎる!
 入るべきか、帰るべきか! うおー!

「あの、すみません」

「ふぉい!?」

 俺は突然、後ろから白衣の男に話しかけられる!
 あまりの驚きに、悲鳴に近い返事をしてしまった!

「俺、別にストーカーとかじゃないですから!」

「ん? 何の話でしょう?」

 しまった、思ったことが言葉で出てしまった!

「お尋ねしたいのですが、『リュート』と言う青年の家を知りませんか?」

「リュート? リュートなら、そこのアパートの」

 しまった! 見知らぬ人にリュートの家を教えてしまった!

「やはりこの建物でしたか。アイネさん、建物の写真だけを送って『ここにきて』なんて仰るものですから」

 白衣のイケメンは、ニコリと笑って俺に返した。

「ねぇお兄ちゃん! この人、どこかで見た事ない?」

 白衣のイケメンの後ろに隠れていた金髪の女の子が俺を指さした。

「んー、確かに。どこかでお会いしましたか?」

「いえ、全然。そもそも、誰ですか?」

「失礼。申し遅れました。私、あの病院の院長をしております、賀田風雅と申します」

 と、名乗るその人は、めちゃくちゃでっかい建物を指さした。

「え、賀田病院の医院長!?」

「はい。もしかして、通院されてましたか?」

「いや、行った事ないですけど」

「そうでしたか。では、どこで会ったのでしょうか」

 賀田医院長は、首を傾げて空を見上げる。

「それにしても、君の名前は?」

「何で名乗らないといけないんですか」

「いえ、よくよく見てみると、あなたには魔力の器があると思いまして。リュート君の関係者とお見受けいたします」

「は? 魔力の器?」

「ねー! この人、もしかして『聖戦』の時に居た人じゃない?! 見た目がそっくり!」

「ほー、なるほど! と言うことは、魔力の器があってもおかしくない!」

「は、え? 何の話ですか!?」

 なんか、ラノベの設定を語りだす!
 魔力!? マジでイカれてんのかこの人たち!

「それに、かなり強い気を感じます。聖戦では幹部以上の実力者だったと思いますよ」

「すごぉい! ここで会えるなんて、ラッキーだねお兄ちゃん!」

 こいつら、なんか怪しすぎる!
 早くこの場から離れたほうがいいか!?
 でも、リュートの知り合いっぽいし――。

「そうだお兄ちゃん、仲間にしようよ! この人、戦力になるよきっと!」

「同感です。私が鍛えれば、私たちの世界の彼以上に強くなれるかも」

「仲間ってなんだよ! 何なんだお前ら!」

 なんか、さっきから言ってることがやばすぎる!
 リュートは何でこんな人たちと付き合ってるんだよ!
 俺の知らない間に、リュートがどんどん分からんやつになっていくんだが!

「ふむ。説明が遅れましたね。単刀直入に申しますと、私は異世界人です。世界を救済するために、ここにやってきました」

「いや、説明になってないから! そもそも、魔力って何だよ! そこから説明してみろよ!」

「ぴーぴーうるさいなぁ。お兄ちゃんの話を聞いて!」

「ダメですよトッカータ。彼は混乱しているのです」

 混乱するだろそりゃ! 急に話しかけられたら、魔力だの何だの言われて!

「ふむ、君は相当強い。君は幅広い魔法を使える素質を持っています。私たちは、あなたのような強く気高い人間を集めています」

「俺が魔法を使える!? 真面目に言ってんの?」

「はい、大真面目です」

 賀田医院長の表情は豊かで、悪い人ではなさそうだ。
 よく分からないけど、なんかワクワクしてきた。
 騙されてやる価値はあるかも。

「我々は、リュート君の協力のもと、世界に降りかかる強大な力を退けるために準備を進めています」

「リュートもなんか魔法の力があるのか?」

「はい。彼は『性欲の勇者』の力を持っています」

「え、性欲?」

「まぁとにかく、彼の力がなければ、世界滅亡の危機を避けられないと言うことです。君も協力してくれませんか?」

 協力って言ったって――。
 俺は魔法が使えるから、その戦いに加担しろってことだろ?
 俺にできるのかそんなこと――。

「不安そうですね。魔法の使い方は後でリュート君と共にお教えしましょう。また、何かお望みがあれば、私が協力いたします。金銭、住居、装備、何なりとお申し付けください」

 そういわれてもなぁ……。
 お金は欲しいけど、流石にそれは倫理的に良くないよなぁ。
 と、俺は急にふとあの赤髪の子のことを思い出した。

「あの、もしかして、カノンさんとか赤髪の子とかも魔法使える人たちの関係者なのか?」

「無論です。赤髪の子とは、テルさんのことでしょうか?」

 テル――、彼女の名前か!
 テル、めっちゃ可愛い名前じゃん!

「だ、だったら! 俺にテルさんを紹介してくださいよ! だったら、協力しますよ! こう、いい感じに見繕ってください!」

 テルさんと仲良くなれるなら、別に俺は何でもいい!
 魔法が使えるって話が本当なら、テルさんにカッコつけられるチャンスじゃないか!

「分かりました。なるほど、君はテルさんに恋心を抱いていると?」

「そ、そうっすよ! ちなみに、一目惚れです!」

「ふふ、若いとはいいことですね。さて、それでは君とテルさんがお近づきになれるようにしましょう。条件と引き換えに、私は君の協力を求めます」

「分っかりやした! 四谷瑛太です。エータって呼んでください」

「エータ君ですね。私も気軽にフーガとお呼びください」

「アタシ、トッカータ! よろしくねエータ君!」

 フーガ先生とトッカータちゃんか。
 なんかよく分からんけど、魔法が使えるようになって、テルさんと仲良くできる!
 俺はそれだけで十分だ。

「じゃ、リュートの家に案内します。こっちっす!」

「ありがとうございます」

 そうして、俺はフーガ先生たちをリュートの家に招待したのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

処理中です...