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第一巻 第一章 クラシックの世界からやって来た!

第十二話 エロ本

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 ◆◆◆◆◆◆

 カノンとアリアが俺の家に来た。
 まだ色々と片付けられていない部分が沢山あり、正直ベッドの上くらいしか人が居れるスペースがない。

「シングルベッドでアリアと寝るのかぁ。ちょっと狭すぎよね」

「おいカノン! なんで俺が床で寝ること前提なんだよ!」

「あったりまえでしょ! 私とアリア、2人で床で寝ろっての!? 私たちは王女よ! 雑魚寝なんてまっぴらごめんよ!」

 カノンはプンスカ怒りながらベッドに座る。
 真っ白いドレス姿のカノン。
 多分だけど、ドレスの下はパンツ。

「そういえば、アリアはまだシャワーから出て来ないな」

「そりゃ、全身血塗れだからね。髪も長いし、あと10分くらい出て来ないんじゃ無い?」

「おい、もう30分くらい入ってるぞ! 俺ん家の水道代、請求するからな。王女だから、金は持ってるよな?」

「うわセコイ! 女の子に金を集るとか最低行為よ」

「んじゃ、俺はお前らを泊めない」

「~! 足元見てんじゃ無いわよ!」

 俺はビクッとして目を逸らす。
 まさか、カノンの御御足を眺めてデレデレしていることがバレるとは。

「リュート様ぁ! 櫛ってどこにありますの?」

 ガチャリとドアを開ける音がして振り返ると、そこにはスッポンポンのアリアが!

「ちょっ! 服着ろよ服!」

「え~? あのぼろっちい服を着るんですの?」

「貸してやってるだけありがたいと思えよ!」

「そうよアリア! 汚くても我慢しなさい! それと、リュートを誘惑するな!」

「こほん。誘惑ではありませんわ。誘導ですの。リュート様は、お上品で高貴な私の方が似合ってますの。足組んでだらしなく腕を組むカノンみたいな下劣な女は向きませんこと」

「負け惜しみね。なんだったら、ここで勝負してもいいのよ?」

「やめろ馬鹿ども! 俺の借家で暴れたら外に放り出すぞ! それと、アリア! 櫛なら洗面所の引き出しのどこかにあるから!」

「わかりましたわ!」

 アリアはすてててと浴室の方に走って行く。
 本当、こいつらがいるだけで俺の理性がアラスカあたりまで飛んでいきそうだ。

「ね~リュート! 無いの、エロ本とか」

 と、カノンは段ボールの中身を物色し始める!
 俺は途端、反射で段ボールを思いっきり押さえつける!

「おおお、お、俺の私物は探らないって言っただろ!」

「え~! つまんな~い! ベッドの下とかは?」

「はうあっ!」

 俺はベッドの下を死守すべく、バレーボールを追いかけるが如くスライディング!

「はぁ、はぁ」

「なるほどね。ここが本丸かぁ」

「やめろ、カノン、カノン様?」

 カノンのニヤけ顔が止まらない。
 この女、俺の秘密の花園を俺の前で暴くつもりだ!

 やめろ、やめろぉ!

 ◆◆◆◆◆◆

 全て見られてしまった。
 俺はあまりの恥ずかしさに、物言えずに両手で顔を隠した。

「へ~? お姉さん系がタイプなんだ。しかも、巨乳好き!」

「やめてください。もう、死にたい」

「そんな顔しなくたっていいじゃ無い! リュートは『性欲の勇者』よ! エロ本の収集が趣味でもいいじゃ無い!」

「いやこれはその、友達がくれたから処分に困って仕方がなくもらってやってたと言うか」

「はいはい。ドスケベリュート君はおっぱい飲んで寝まちょうね」

「ばぶばぶ~、じゃねぇわバカノン!」

「あ! またバカノンって言った!」

「うるせえ! やっぱりお前たちを家に呼ぶんじゃなかった!」

「うるさいわね。アリアには黙っとくから、さっさとエロ本をしまいなさい」

「どの口が言ってんだバカノン」

 俺は段ボールに全てエロ本をしまうと、勉強机用の椅子に座った。
 ったく、本当に今日は散々な目にあった。
 テルって女の子が顔面に振ってくるわ、カノンのおっぱいを見てしまって叩かれるわ、アリアの素裸を見るわ。
 最高の瞬間でした、神様ありがとう。

「リュート様~! 先にお湯をいただきました!」

 アリアが俺の古着の服を着て出てくるが、さすがはアリア。
 俺がチョイスしたジャージは最高に似合っている!
 ボイボインな胸、それでいてへそが見える!
 くびれが強調され、尻がナイスな曲線美を描いている!

「ナイスだぜ、アリア」

「え、なんですの?」

 俺のサムズアップの意味を、君は理解できない。

「アリア、貧血は治った?」

「んー、まだクラクラしますわ。もりもりご飯を食べて、1日寝れば全快ですわ!」

「それならよかった。じゃ、次は私がシャワー浴びてくるから。それとアリア、リュートに手出ししたら絶対に殺す」

「分かってますわ。殺されないために善処しますの」

「善処じゃなくて、すんなって言ってんの!」

「プンスカ怒ったら怖いですわ。リュート様、こんな女から私に乗り換えませんの?」

「うわ、何この女! リュート、絶対にダメだからね!」

「うっせぇもういいからさっさと風呂に入って来い!」

「ふん!」

 カノンはぷんぷんしながら浴室の方へ歩いて行った。
 マジで勘弁してくれよ。
 今日は相当疲れたんだから、頼むからこれ以上疲れさせないでくれ。

「あら、リュート様! 段ボールいっぱいにエロ本が!」

「お前ら、それ恒例行事なのか!」
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