18 / 71
嵐の後に
しおりを挟む
ハルカちゃんが隣に居ると言うありえない状況に戸惑っていつつも、こんなに慕ってくれて居る事に胸が一杯になる。
「ハルカちゃん、学校はどうするの?」
とりあえず、今日は私の部屋で一緒に寝ることになって、お客さん用の布団を敷いていると
ハルカちゃん、あっさりと休む、とだけいう。
「ユキちゃん、髪切ったんだね」
長い沈黙の後に、ハルカちゃんうつむいたまま言葉を紡ぐ。
「お腹が目立たないうちに結婚式挙げるんだって。絶対騙されてるのに」
そっか。テル結婚するんだな。もう関係ないと思っていてもキツイ。
心の傷は、眼に見えないから生々しくても気が付きにくいのかな。傷を負ってる本人であっても。
「ハルカも式には参加したくないって言ったの。お姉ちゃんもね」
ふたりとも私に良くしてくれた。それだけでもういい気がする。
でも、アヤメさんも参加しないって意外だった。常識的な人だから、家にかかわることで軽率なことはしないって思ってたんだけど。
「お姉ちゃんは地元の友達にいろいろと調べさせてるって言ってた。シロだってはっきりわかるまでは家族とは認めないし式には出ないって。そしたら、バカ女がそこまでして出てもらわなくって結構ですって」
性格変わったの? なんか私が知ってるあいちゃんじゃない気がしてる。
今後付き合っていかなきゃならない未来の義理の姉にそこまで言うか?
ウエディングハイってやつなのかなぁ人格変わるっていうし。
「ハルカちゃん、テルはあいちゃんを選んだし、私もそれを受け入れた。もし、あいちゃんのお腹の子が誰の子であってももう壊れたものは戻せないし戻る気もない。それだけは理解してほしい。今の生活が気に入ってるの」
その言葉に、ハルカちゃんは何か言いたそうにしていたけど、私の気持ちを察してくれたのか口をつぐむ。その顔はどこか大人びて見える。
「ユキちゃん、また遊びに来てもいい?」
「もちろんだよ。その代わり、テルにバレないようにしてね、ここにいる事」
夜は静かに更けていった。
次の日は、本来ならハルカちゃんは学校に戻らないといけなかったんだけど事情が事情なのでテルのお母さんが連絡して休ませてくれたのだそうだ。私がどんな街で過ごしているのか見て回りたいって。
商店街の後片付けを手伝おうと思ってたんだけど、と伝えると一緒にやる、とやる気満々で言い出したハルカちゃんを止めることも出来ず、商店街へ。
すると、いつものたまり場に井戸端会議のおばあちゃんたちがすでに何人か来ていた。
「ユキちゃん!昨日はお疲れさん~」
おばあちゃんたちは朝から元気いっぱいだった。
「ありがとうございました!大盛況でしたね!!」
「ところで、今日一緒にいるお嬢ちゃんは妹なの?」
さすがおばあちゃんたち、目ざといデス。
幼馴染のハルカちゃんです、と紹介するとかわいいねえ、とはやし立てられた。
にぎやかでテンションの高いおばあちゃんたちに面くらいながらハルカちゃんも苦笑いする。
するとおばあちゃんたちのボスが、爆弾を投下した。
「うちの子に、テレビ録画させてたんだけど、魚六のマサキ君とイイ感じだったねぇ」
そのひと言に、昨日の状況がよみがえってくる。
甘えてくる大人の色気の破壊力に思わず赤面すると、余計におばあちゃんたちのテンションが上がる。
まるで週刊誌の記者のように矢継ぎ早に質問が飛んでくるけど、企画頼まれただけですから!と逃げることにした。
その様子に、ハルカちゃんも、じっと私を見つめる。
「ユキちゃん、もしかして、昨日の男の人といい感じなの……?」
慌てて両手をぶんぶん振って否定するが、自分でもわかる。ドツボにはまってる。絶対に挙動不審だ。
「ユキちゃん…………ごめん。もう、関係ないんだもんね。気にする権利、お兄ちゃんには無いわ」
と、肩を落とす。
タイミング悪く、そんな時にマサキさんとタカシさんのコンビに出くわしてしまった。
「やぁ、昨日はお疲れさん」
にっこり笑顔のタカシさんが手を振る、その横のマサキさんもちょっと挙動不審だ。
「昨日は、その、どうも」
明らかにハルカちゃんに視線が行き、固まっているのがわかる。
すごい形相で初対面の女子高生に睨まれたんだからちょっとしたトラウマかも。
「ハルカこそごめんなさい。ちょっと気が動転してて」
うつむきながらそういう。
「ところで彼女、誰なの?」
タカシさんが興味津々で話しかける。
「幼馴染のハルカちゃん。何も言わずにエミさんとこに手伝いにきたもんだから心配してくれてたらしいんだよね。昨日のテレビに映ったのを見て、ここまで探しに来てくれたの」
そして、当たり障りのない会話をして、マサキさんとタカシさんは後片付けの様子を見回っていた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
夕方まで色んなところを見て回り、ハルカちゃんは満足したのか帰る、といったので駅まで送っていく事にした。 ハルカちゃんは、またね、とだけ告げると改札を抜けていった。
ちょっとだけ背中が大きくなったように見えた。
「ハルカちゃん、学校はどうするの?」
とりあえず、今日は私の部屋で一緒に寝ることになって、お客さん用の布団を敷いていると
ハルカちゃん、あっさりと休む、とだけいう。
「ユキちゃん、髪切ったんだね」
長い沈黙の後に、ハルカちゃんうつむいたまま言葉を紡ぐ。
「お腹が目立たないうちに結婚式挙げるんだって。絶対騙されてるのに」
そっか。テル結婚するんだな。もう関係ないと思っていてもキツイ。
心の傷は、眼に見えないから生々しくても気が付きにくいのかな。傷を負ってる本人であっても。
「ハルカも式には参加したくないって言ったの。お姉ちゃんもね」
ふたりとも私に良くしてくれた。それだけでもういい気がする。
でも、アヤメさんも参加しないって意外だった。常識的な人だから、家にかかわることで軽率なことはしないって思ってたんだけど。
「お姉ちゃんは地元の友達にいろいろと調べさせてるって言ってた。シロだってはっきりわかるまでは家族とは認めないし式には出ないって。そしたら、バカ女がそこまでして出てもらわなくって結構ですって」
性格変わったの? なんか私が知ってるあいちゃんじゃない気がしてる。
今後付き合っていかなきゃならない未来の義理の姉にそこまで言うか?
ウエディングハイってやつなのかなぁ人格変わるっていうし。
「ハルカちゃん、テルはあいちゃんを選んだし、私もそれを受け入れた。もし、あいちゃんのお腹の子が誰の子であってももう壊れたものは戻せないし戻る気もない。それだけは理解してほしい。今の生活が気に入ってるの」
その言葉に、ハルカちゃんは何か言いたそうにしていたけど、私の気持ちを察してくれたのか口をつぐむ。その顔はどこか大人びて見える。
「ユキちゃん、また遊びに来てもいい?」
「もちろんだよ。その代わり、テルにバレないようにしてね、ここにいる事」
夜は静かに更けていった。
次の日は、本来ならハルカちゃんは学校に戻らないといけなかったんだけど事情が事情なのでテルのお母さんが連絡して休ませてくれたのだそうだ。私がどんな街で過ごしているのか見て回りたいって。
商店街の後片付けを手伝おうと思ってたんだけど、と伝えると一緒にやる、とやる気満々で言い出したハルカちゃんを止めることも出来ず、商店街へ。
すると、いつものたまり場に井戸端会議のおばあちゃんたちがすでに何人か来ていた。
「ユキちゃん!昨日はお疲れさん~」
おばあちゃんたちは朝から元気いっぱいだった。
「ありがとうございました!大盛況でしたね!!」
「ところで、今日一緒にいるお嬢ちゃんは妹なの?」
さすがおばあちゃんたち、目ざといデス。
幼馴染のハルカちゃんです、と紹介するとかわいいねえ、とはやし立てられた。
にぎやかでテンションの高いおばあちゃんたちに面くらいながらハルカちゃんも苦笑いする。
するとおばあちゃんたちのボスが、爆弾を投下した。
「うちの子に、テレビ録画させてたんだけど、魚六のマサキ君とイイ感じだったねぇ」
そのひと言に、昨日の状況がよみがえってくる。
甘えてくる大人の色気の破壊力に思わず赤面すると、余計におばあちゃんたちのテンションが上がる。
まるで週刊誌の記者のように矢継ぎ早に質問が飛んでくるけど、企画頼まれただけですから!と逃げることにした。
その様子に、ハルカちゃんも、じっと私を見つめる。
「ユキちゃん、もしかして、昨日の男の人といい感じなの……?」
慌てて両手をぶんぶん振って否定するが、自分でもわかる。ドツボにはまってる。絶対に挙動不審だ。
「ユキちゃん…………ごめん。もう、関係ないんだもんね。気にする権利、お兄ちゃんには無いわ」
と、肩を落とす。
タイミング悪く、そんな時にマサキさんとタカシさんのコンビに出くわしてしまった。
「やぁ、昨日はお疲れさん」
にっこり笑顔のタカシさんが手を振る、その横のマサキさんもちょっと挙動不審だ。
「昨日は、その、どうも」
明らかにハルカちゃんに視線が行き、固まっているのがわかる。
すごい形相で初対面の女子高生に睨まれたんだからちょっとしたトラウマかも。
「ハルカこそごめんなさい。ちょっと気が動転してて」
うつむきながらそういう。
「ところで彼女、誰なの?」
タカシさんが興味津々で話しかける。
「幼馴染のハルカちゃん。何も言わずにエミさんとこに手伝いにきたもんだから心配してくれてたらしいんだよね。昨日のテレビに映ったのを見て、ここまで探しに来てくれたの」
そして、当たり障りのない会話をして、マサキさんとタカシさんは後片付けの様子を見回っていた。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
夕方まで色んなところを見て回り、ハルカちゃんは満足したのか帰る、といったので駅まで送っていく事にした。 ハルカちゃんは、またね、とだけ告げると改札を抜けていった。
ちょっとだけ背中が大きくなったように見えた。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
ああ、本気さ!19歳も年が離れている会社の女子社員と浮気する旦那はいつまでもロマンチストで嫌になる…
白崎アイド
大衆娯楽
19歳も年の差のある会社の女子社員と浮気をしている旦那。
娘ほど離れているその浮気相手への本気度を聞いてみると、かなり本気だと言う。
なら、私は消えてさしあげましょう…
とある『家族』の物語
小山田 華
大衆娯楽
妹、姉、父親、母親、親友、いとこの視点で『井澤家』について語ります。
楽しい話ではありません。ラストは想像にお任せになります。
ジャンルで悩みましたが、大衆娯楽にしました。
※ヤンデレ注意。
ホームドラマ/家族とは/恋愛要素薄い/姉妹差別/ご都合主義/狂愛/
小説家になろうさんに投稿済
祭囃子を追いかけて
壺の蓋政五郎
大衆娯楽
鎌倉の小さな町に四百年続く例大祭がある。戦時中の一時期には中断されたが町の復興と共に再開されずっと続けられている。その小さな町に生まれ育った子ども等は必然的にこれを継いで行かなければならない。選択肢はなく消防と氏子という親達の繋いできたやりかたでこの町を守り繋いでいく使命がある。北川賢治もその一人である。しかし大事な時期に酔っ払い運転を二度続け半年の実刑となった。北川家は今年の例大祭の当番である。これだけはきっちりとやりきらなければならない。お祭りに掛ける男達とそれを支える女達、そして祭の主役に憧れる子供たちが祭囃子を追いかける。笑いと涙の物語です。
お前が悪い!会社の女子社員と3年も浮気をして別れない卑怯な夫に我慢の限界!なら、私も好きにします。
白崎アイド
大衆娯楽
浮気をしておいて、まったく浮気をした事実を認めない夫。
浮気をやめてと注意してもやめないところも憎たらしい。
そんな卑怯な夫に、私は天罰を下します。
アローン・ミラージュ/Alone Mirage
こまちーず
大衆娯楽
悪魔に育てられた最強の傭兵、グレイス・B(ブラッドリー)・ウィルバーホース。彼は特殊部隊を除隊した後、フリーランスの傭兵として危険な任務を請け負い、傭兵稼業の最前線で活躍していた。単独で次々に任務をこなしていくグレイスは、いつしか『単独の蜃気楼/アローン・ミラージュ』と呼ばれるようになった。ある日、自宅を訪れたCIAエージェントのデイビッド・カーターに依頼され、カタールの砂漠に建設されたテロ組織【アル・アドル】のアジトに囚われているアラブの富豪を救出するという内容の任務を請け負う。しかし、その仕事には隠されたもう一つの狙いがあり──。
雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!
コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。
性差とは何か?
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる