54 / 74
53話 龍VS虫とかなんてB級映画だよ
しおりを挟む
先程まで周辺をうろちょろとしていた魔物達が尻尾を巻いて逃げ出した。それだけ、この龍の全力の威圧は凄まじかった。大気がビリビリと震えている気さえする。
だが、俺も負けてやる気はサラサラない。
まだ熟練度は1だが、威圧を開放する。
双方の威圧が衝突する。流石に熟練度低くて押し負けるが、気持ちでは負けてないつもりだ。
弱者の強者を越えんとする覇気は、強者のソレを淘汰する。
「グゥああああ!!!」
龍が咆え、龍の爪と俺の拳が正面衝突する。
双方から放たれる精神的圧力が霧散し、代わりとばかりに物理的圧力が奔流のように押し寄せる。
ギャリギャリギャリ、金属音がして拳が削れる。
弾かれるように双方後ろに跳び、再び距離が開く。
くそ、やっぱし正面からの削り合いは不利か……
たった一度ぶつかっただけでもうボロボロになっている自身の拳を軽く擦る。
多分、痛覚耐性が無かったらもう使い物にならない程痛かっただろうか。あってもまだヒリヒリと痛む。
向こうの爪には傷一つ付いていない辺り、肉弾戦は不利になる。体格差もあるし。
格闘技において、体格差は正義だ。ボクシングなんて五キロ単位で振り分けられている。こっちの世界じゃステータスがあるからそこまでの差はないだろうが、5倍近い体格差で影響が出ない訳がナッシング・バット・シーヴス。
小柄だからこそ、細かい動きで翻弄しつつってことは出来る。が、アイツ自身も普通に俊敏だから難しいんだよなぁ。
「グゥイイアアア!!!」
必殺の意思を込めた爪が、右に左にと次々押し寄せる。
まともに食らうどころか、受け止めてもかなりのダメージを食らいそうだ。なんとか受け流すか躱すかしないと、即お陀仏とは言わないけれども一気にシーソーが傾く。
こっちもAランクに到達はしているし、割と物理特化なステータスはしているが、こんな所でも体格差が幅を効かせる。
重戦士大正義に乾杯している所だが、反撃に出ないことには何も始まらない。
大振りの爪攻撃を回避し、僅かにバランスを崩した龍の懐に潜り込む。
リーチが長いって事は、逆に懐まで潜り込まれれば対応が難しい。槍を想像すればわかりやすい。
おいおい龍さんよぉ…?
そのドテッ腹ががら空きだぜ!!
腕からビキビキという音がしそうな程に力を込めて、無防備な腹部を全力で殴る!!
ガギィ!!!
とても生物の皮膚と皮膚とは思えない様な金属音が鳴り響き、龍が吹き飛ばされる…
いや、殴った時の感触がやけに軽かった。多分、後ろに跳んで衝撃を減らされたんだろう。胴体も硬いからマトモにダメージも通って居ないだろうか。
おい!!そういうのって人間とかそういう理知的な奴の特権じゃねぇのかよ!!なんで細かい技術までちゃんとしてんだよ!!
等と理不尽に怒っていても仕方ない。これで地上のアイツがもっと理不尽なんだと思うとほとほとやる気を失ってくる。いっそこのまま逃げ出して、洞窟の中で暮らしたいとふと思う。
…ダメだ。なぜだか知らないが本能がこの考えを拒絶している気がする。それだけは辞めろと、自分が絶叫しているようだ。
まぁ、俺だってこんな場所にずっといる訳に行かないというのには大賛成なんだ。暑いし。
さて、そろそろ次の段階に移るとしよう。今のところは時間は俺の敵だ。たった一撃でシーソーが一気に傾くような攻撃を躱し続けるのは流石に精神力がゴリゴリと削れてゆく。大きな一撃を食らう前に終わらせたい。
流石に痺れを切らしたらしい龍が大きく爪を振りかぶる。
が、流石にそんな大振りな攻撃は喰らわない。むしろ、俺にとっての好機!
獅子戦の時大いに役立ってくれた『死毒の霧』を放ってから即離脱!
これで毒を吸った龍を、あとは詰めるだけだ。
そう、ふっと気を抜いたのが悪かったのかもしれない。
煙の中から、爪の形をした炎が驀進してくる!?射出したのか!?
あ。死んだかも。
死を幻視し、思考が停止しかけた。
時間がやけに遅く流れているような気がした。
炎の爪は的確に、俺の首を刈り取らんと空気を切り裂き迫る。
なんとか…避け………
俺の胸の辺りを爪が深く切り裂いた直後、『死毒の霧』に引火したのか大爆発が怒った。
だが、俺も負けてやる気はサラサラない。
まだ熟練度は1だが、威圧を開放する。
双方の威圧が衝突する。流石に熟練度低くて押し負けるが、気持ちでは負けてないつもりだ。
弱者の強者を越えんとする覇気は、強者のソレを淘汰する。
「グゥああああ!!!」
龍が咆え、龍の爪と俺の拳が正面衝突する。
双方から放たれる精神的圧力が霧散し、代わりとばかりに物理的圧力が奔流のように押し寄せる。
ギャリギャリギャリ、金属音がして拳が削れる。
弾かれるように双方後ろに跳び、再び距離が開く。
くそ、やっぱし正面からの削り合いは不利か……
たった一度ぶつかっただけでもうボロボロになっている自身の拳を軽く擦る。
多分、痛覚耐性が無かったらもう使い物にならない程痛かっただろうか。あってもまだヒリヒリと痛む。
向こうの爪には傷一つ付いていない辺り、肉弾戦は不利になる。体格差もあるし。
格闘技において、体格差は正義だ。ボクシングなんて五キロ単位で振り分けられている。こっちの世界じゃステータスがあるからそこまでの差はないだろうが、5倍近い体格差で影響が出ない訳がナッシング・バット・シーヴス。
小柄だからこそ、細かい動きで翻弄しつつってことは出来る。が、アイツ自身も普通に俊敏だから難しいんだよなぁ。
「グゥイイアアア!!!」
必殺の意思を込めた爪が、右に左にと次々押し寄せる。
まともに食らうどころか、受け止めてもかなりのダメージを食らいそうだ。なんとか受け流すか躱すかしないと、即お陀仏とは言わないけれども一気にシーソーが傾く。
こっちもAランクに到達はしているし、割と物理特化なステータスはしているが、こんな所でも体格差が幅を効かせる。
重戦士大正義に乾杯している所だが、反撃に出ないことには何も始まらない。
大振りの爪攻撃を回避し、僅かにバランスを崩した龍の懐に潜り込む。
リーチが長いって事は、逆に懐まで潜り込まれれば対応が難しい。槍を想像すればわかりやすい。
おいおい龍さんよぉ…?
そのドテッ腹ががら空きだぜ!!
腕からビキビキという音がしそうな程に力を込めて、無防備な腹部を全力で殴る!!
ガギィ!!!
とても生物の皮膚と皮膚とは思えない様な金属音が鳴り響き、龍が吹き飛ばされる…
いや、殴った時の感触がやけに軽かった。多分、後ろに跳んで衝撃を減らされたんだろう。胴体も硬いからマトモにダメージも通って居ないだろうか。
おい!!そういうのって人間とかそういう理知的な奴の特権じゃねぇのかよ!!なんで細かい技術までちゃんとしてんだよ!!
等と理不尽に怒っていても仕方ない。これで地上のアイツがもっと理不尽なんだと思うとほとほとやる気を失ってくる。いっそこのまま逃げ出して、洞窟の中で暮らしたいとふと思う。
…ダメだ。なぜだか知らないが本能がこの考えを拒絶している気がする。それだけは辞めろと、自分が絶叫しているようだ。
まぁ、俺だってこんな場所にずっといる訳に行かないというのには大賛成なんだ。暑いし。
さて、そろそろ次の段階に移るとしよう。今のところは時間は俺の敵だ。たった一撃でシーソーが一気に傾くような攻撃を躱し続けるのは流石に精神力がゴリゴリと削れてゆく。大きな一撃を食らう前に終わらせたい。
流石に痺れを切らしたらしい龍が大きく爪を振りかぶる。
が、流石にそんな大振りな攻撃は喰らわない。むしろ、俺にとっての好機!
獅子戦の時大いに役立ってくれた『死毒の霧』を放ってから即離脱!
これで毒を吸った龍を、あとは詰めるだけだ。
そう、ふっと気を抜いたのが悪かったのかもしれない。
煙の中から、爪の形をした炎が驀進してくる!?射出したのか!?
あ。死んだかも。
死を幻視し、思考が停止しかけた。
時間がやけに遅く流れているような気がした。
炎の爪は的確に、俺の首を刈り取らんと空気を切り裂き迫る。
なんとか…避け………
俺の胸の辺りを爪が深く切り裂いた直後、『死毒の霧』に引火したのか大爆発が怒った。
2
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説


凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる