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41話 獅子は羽虫が飛ぶのを気にしない
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獅子の双頭から次々と必殺の威力を秘めた炎弾が放たれる。
炎熱耐性持ってるし行けるべって一発受けた。めっちゃ吹き飛ばされた。HP半分以上削れた。死ぬかと思った。まぁ、虫だし炎には弱いよね、うん。
...耐性貫通でも持ってるのかな?キツ。
空中機動の二段ジャンプで二連続の炎弾を躱し、反撃とばかりに毒刃を叩き込んで...
ブルン、と首が振るわれ、毒の刃が掻き消える。
うそーん!!なんで!?アイエエエナンデ!?ニンジャナンデ!?
兎にも角にも我が遠隔メインウェポンたる毒魔法が通らんと厳しい。いや、待て。あれから毒魔法の熟練度も上がった。また有用な魔法があるハズ。実際、前ちろっと見た時には死毒がどうとか中々に良さそうな魔法があった。
だが、そうなると難点はこのMPってやつである。
実は俺まだその魔法を試してない。つまりMPをどれだけ消費するか分かってないのである。今の俺のステでは毒刃だと10~20発は打てるからまだ大丈夫だろうが、新魔法でいきなり増えると倒しきれない恐れがある。そもそも効くのか?中々当たらず、当てても効くかは分からないって何そのクソゲー。
もうやだ逃げたい。よし、戦闘回避!という訳にもいかんのだよなぁ...
周辺に肉壁くんこと動く鎧も見当たらんし、押し付けられるような相手がおらん。何より、あの獅子さんは間違いなく俺に狙いを定めて居る。
まぁ、正直絶対勝てない相手ではないと思う。あの龍はマジで無理の底が知れないバケモンだが、コイツはまだやれる相手だ。いずれはあのバケモンも倒さなきゃならないかも知れないんだ。
...戦るしかないか。覚悟を決めて、再び獅子に向き直る。
獅子も示し合わせたように連射を止め、暫しの静寂が訪れた。
一際強い風が吹き、木の葉が舞い散る。
カサリ。舞い上がった最後の木の葉が小さな音を立てるのを合図に、この戦い一番の激戦が始まった。
炎弾が連続で放たれる。
ただ、ソレはもう何度も見ているから躱すのは容易。ギリギリを狙って躱し、右の鎌を獅子の背に突き立て...る直前に獅子が身を翻して躱し、獅子が牙に蒼い炎を纏い喰らいついて来る。
が、ソレを空中機動で地面に鎌が突き刺さる前に躱し、糸を放って相手の動きを止めようと試みる。が、それは案の定炎を纏う牙に食いちぎられた。
一見互角。だが、俺の攻撃は当たってもあまりダメージを与えられないだろうが、獅子の攻撃は当たれば致命傷なのだ。だから向こうはリスク無用で突っ込んで来るし、こっちはミスを恐れて中々踏み出せない。この差は微々たる物っちゃそうだが、こういうギリギリの戦いに於いて、非常に大きく影響してくる。
頭の横を獅子の爪が掠め、触角の片方が千切れ飛ぶ。身体再生で直ぐに再生は出来るが、再生するまでの間感知力が僅かに低下する。触角は虫の優秀な感知器官であるが、千切れやすいのが難点だ。頭を躱したつもりでいても当たってしまい、と言うこともある。
そして、ギリギリの戦いでは、こういうほんの僅かな差が趨勢を決する。
0.1秒、はたまたソレより短い刹那の時間。触角が片方失われた分の反応が遅れた。
その刹那は、蒼い炎弾が着弾するのに十分過ぎる時間であった。
爆発が起き、俺の身体がまるで紙のように吹き飛ばされる。
大木により掛かる様になって、俺の身体は動かない、ソレを確認し、それでも獅子は油断せずに止めを刺すべく炎を纏った牙で俺の身体を食いちぎる。
その身体からは...大量の糸が吹き出した。
ハッハ!引っかかったな!スキル『脱皮』により自分の皮を剥いで、その中に糸を詰めて作った即席のデコイ。騙されてくれて助かった。本物の俺は空中機動により空に飛び上がっている。
形勢逆転だ。
獅子が戸惑う一瞬の隙を突いて、糸術で獅子を拘束する。既に燃えてるのもあって一瞬だけしか動きは止められないが、その隙は俺の鎌が獅子の首に届くまでに十分過ぎる時間であった。
全力を込めて、たてがみの生える獅子の首を狙い、両の腕の鎌を振り抜いた。
パキン。
嘘の様に軽い音を立てて、俺の両腕の鎌が折れた。
炎熱耐性持ってるし行けるべって一発受けた。めっちゃ吹き飛ばされた。HP半分以上削れた。死ぬかと思った。まぁ、虫だし炎には弱いよね、うん。
...耐性貫通でも持ってるのかな?キツ。
空中機動の二段ジャンプで二連続の炎弾を躱し、反撃とばかりに毒刃を叩き込んで...
ブルン、と首が振るわれ、毒の刃が掻き消える。
うそーん!!なんで!?アイエエエナンデ!?ニンジャナンデ!?
兎にも角にも我が遠隔メインウェポンたる毒魔法が通らんと厳しい。いや、待て。あれから毒魔法の熟練度も上がった。また有用な魔法があるハズ。実際、前ちろっと見た時には死毒がどうとか中々に良さそうな魔法があった。
だが、そうなると難点はこのMPってやつである。
実は俺まだその魔法を試してない。つまりMPをどれだけ消費するか分かってないのである。今の俺のステでは毒刃だと10~20発は打てるからまだ大丈夫だろうが、新魔法でいきなり増えると倒しきれない恐れがある。そもそも効くのか?中々当たらず、当てても効くかは分からないって何そのクソゲー。
もうやだ逃げたい。よし、戦闘回避!という訳にもいかんのだよなぁ...
周辺に肉壁くんこと動く鎧も見当たらんし、押し付けられるような相手がおらん。何より、あの獅子さんは間違いなく俺に狙いを定めて居る。
まぁ、正直絶対勝てない相手ではないと思う。あの龍はマジで無理の底が知れないバケモンだが、コイツはまだやれる相手だ。いずれはあのバケモンも倒さなきゃならないかも知れないんだ。
...戦るしかないか。覚悟を決めて、再び獅子に向き直る。
獅子も示し合わせたように連射を止め、暫しの静寂が訪れた。
一際強い風が吹き、木の葉が舞い散る。
カサリ。舞い上がった最後の木の葉が小さな音を立てるのを合図に、この戦い一番の激戦が始まった。
炎弾が連続で放たれる。
ただ、ソレはもう何度も見ているから躱すのは容易。ギリギリを狙って躱し、右の鎌を獅子の背に突き立て...る直前に獅子が身を翻して躱し、獅子が牙に蒼い炎を纏い喰らいついて来る。
が、ソレを空中機動で地面に鎌が突き刺さる前に躱し、糸を放って相手の動きを止めようと試みる。が、それは案の定炎を纏う牙に食いちぎられた。
一見互角。だが、俺の攻撃は当たってもあまりダメージを与えられないだろうが、獅子の攻撃は当たれば致命傷なのだ。だから向こうはリスク無用で突っ込んで来るし、こっちはミスを恐れて中々踏み出せない。この差は微々たる物っちゃそうだが、こういうギリギリの戦いに於いて、非常に大きく影響してくる。
頭の横を獅子の爪が掠め、触角の片方が千切れ飛ぶ。身体再生で直ぐに再生は出来るが、再生するまでの間感知力が僅かに低下する。触角は虫の優秀な感知器官であるが、千切れやすいのが難点だ。頭を躱したつもりでいても当たってしまい、と言うこともある。
そして、ギリギリの戦いでは、こういうほんの僅かな差が趨勢を決する。
0.1秒、はたまたソレより短い刹那の時間。触角が片方失われた分の反応が遅れた。
その刹那は、蒼い炎弾が着弾するのに十分過ぎる時間であった。
爆発が起き、俺の身体がまるで紙のように吹き飛ばされる。
大木により掛かる様になって、俺の身体は動かない、ソレを確認し、それでも獅子は油断せずに止めを刺すべく炎を纏った牙で俺の身体を食いちぎる。
その身体からは...大量の糸が吹き出した。
ハッハ!引っかかったな!スキル『脱皮』により自分の皮を剥いで、その中に糸を詰めて作った即席のデコイ。騙されてくれて助かった。本物の俺は空中機動により空に飛び上がっている。
形勢逆転だ。
獅子が戸惑う一瞬の隙を突いて、糸術で獅子を拘束する。既に燃えてるのもあって一瞬だけしか動きは止められないが、その隙は俺の鎌が獅子の首に届くまでに十分過ぎる時間であった。
全力を込めて、たてがみの生える獅子の首を狙い、両の腕の鎌を振り抜いた。
パキン。
嘘の様に軽い音を立てて、俺の両腕の鎌が折れた。
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