虫けら転生録

或哉

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26話 七大罪は伊達じゃない

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疲れた。
あの後、食料横取りに来た奴らと争奪戦して、なんとか殆どの肉を勝ち取った。
何箇所か食いちぎられていたりするから完全勝利とは行かなかったが。ちくせう。
それはともかく、漸く暴食の運転ができる...!!

今までは食いたくても口がないから生殺しのような状況だったが、成体(?)になって口が出来た=モノが食える!
久々の食事だ、いっただっきま...
ガチン。硬ぇ。

鱗はそりゃ硬いよね。解体しないと。だが、面倒だ。
こんなときのために、コチラのスキル、鋼の牙!なんと、鉄ほどにも硬いものを難なく咀嚼できるのです!肉の筋を食いちぎるのにも便利!すごぉい、嬉しいぃ、社長ありがとぉ。
本来は噛み付き系統の攻撃の時に威力を高めたり反動ダメージを減らしたりするんだろうが。虫けらの応用力なめんなよ。

というか鱗剥がせばいいだけのお話なんだけど。面倒じゃん。
バキベキ、と食事とは思えない咀嚼音を立ててドラゴンの鱗、肉を喰らう。
うん、まじい。なんか苦いのは毒のせいかな。
あと血生臭い。血抜きなる作業は必須だったね。やり方知らんからコレばっかりはどうしようもない。それにしても、美味いもんが食いたい。

ラーメン、カレー、ハンバーグ。
今思えば前世の食って恵まれてたんやね。
そのせいで求めるレベルが上ったって言えばそれはそうだけど。
でも、前世に戻りたいとは思わんのよね。前世の記憶は曖昧な事が多いし、漠然とした不安がある。何より、ようやっと人生ならぬ虫生も波に乗ってきたんだから、ここでチェンジは勿体ないというか。
ぶっちゃけ虫の姿であることとこの世界とに、だいぶ馴染んで来ている俺がいる。まるで元からこの姿だったかのようだ。今生は生まれてからずっと虫だけどね。

とかなんとか考えながらもぐもぐしてたら、いつの間にか全部食い切っていた。俺の2倍も3倍も大きかったのに、成程たしかに暴食だ。ごちそうさまでした。

さて、本題に入ろう。暴食の真の力は食った相手の力を吸収することなのだ!知らんけど。
大丈夫。暴食なんて明らかに強そう(小並感)な名前、ちゃんと強いスキルに決まってる。はず。多分。絶対。メイビー?
居るのかどうかも分からない神サマに祈りつつ、鑑定眼。



個体名:(無し)
 年齢:1歳
 性別:雄
 種族:混蟲カオスインセクト
 状態:疲労(大)
 ランク:C
 レベル:6
 EXP:14/55
 ステータス
 HP:105/532+30
 MP:17/161
 物理攻撃:698+20
 魔法攻撃:572+20
 物理抵抗:908+10
 魔法抵抗:815+10
 速度:461+20
 スキル
 鑑定眼 不退転 魔力の使い手 魔力操縦5 暴食 気配察知1 危険察知3 糸術1 鎌術1 鋼の牙2 転がる3 鉄躰4 風属性魔法1 毒魔法5 魔術吐息1 身体再生10 自己再生4 苦味10 強力2 魔力2 生命3 守護1 迅速2 恐怖耐性9 痛覚耐性9 環境耐性6 風耐性2 炎熱耐性1 氷雪耐性1 酸無効 毒無効 悪食10 忍耐3 冷静8 演算2
 穴掘り 木登り 
 スキルポイント:0
 称号
 魔物喰イ 大物食い 暴食 悪食王 勇者のココロ 狡猾な者 混沌なる者 異端児 転生者




はい。来ました。
俺の時代来たわ。
全く知らんスキルが幾つか追加されてる、多分さっきのドラゴンのスキルなんだろう。魔術吐息とか風魔法とか。暴食パイセンパネェっすわ。
一年。苦渋の一年を過ごしました。
本当に辛かった。だが、逆に考えよう。たった一年でドラゴンを倒せるほどになったのだ。インフレの予感がするが、凄い成長率ジャマイカ!
こんなちっこいかわいい虫けらだった頃が嘘のよう。いや、虫けらって蔑称で呼んでるのにかわいいはおかしいか?どうでもいい?はいすいません。

とりあえず、今日は色々有りすぎて身体も心もクタクタだ。鑑定眼さんも疲労(大)って言っている事だし、まだ明るいけど穴でも掘って寝るとしよう。
いや、面倒だし周りには草くらいしか魔物は見えないし、木に登ってでもいいか。
かさかさと木に登って、一応重なり合う葉に身を隠しながら、眠りについた。

面倒だから。
きっかけはそんな些細な事であった。
世界と比べればまだちっぽけな虫けらのこの判断が、ほんの少し、だが間違いなく、運命というものに干渉した。

その場所に、後に世界を動かす者の片割れとなる存在を積んだ馬車が近づいていく...
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