虫けら転生録

或哉

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22話 ちょっとくらい驕ってもいいじゃないか

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フハハハハハハ!
もう虫けらなんて言わせねぇ!
どうも最強です。
え?どうしたって?事の顛末を説明しよう。

まず、俺はいつものように毒魔法使って草狩りしてた。
そしたらば毒魔法の熟練度上がって新しい魔法習得したわけよ。
毒刃ポイズンエッジ
字面で分かる。絶対強い。
毒ってのは経皮接種と経口摂取っていう2種類の方法がある。
俺の魔法で今まで出来たのは経皮接種で、皮膚が毒をガードするせいで毒がほぼ効かなかった。経口摂取なら体内に直接毒が入るからかなり強いのだが、今までの毒魔法はぶっかけるしか出来なかったからな。そりゃあんま効かん。
だがしかーし!今回の毒刃ポイズンエッジ、毒を刃状にして発射するという技!
つまり皮膚を切り裂いて体内に直接毒を送り込める=経口摂取と同じような効果を見込める!!
勝ち申した。

ただ、欠点もある。
それが何を隠そうMP問題である。
あれから魔法遣いまくってMPもかなり増えたとはいえ、毒刃ポイズンエッジに使うMPは毒弾の2倍だ。まだ連発なんか出来ないし、MPが自動で回復するとはいえ、効率が悪すぎる。
だが、この魔法を使えばその辺ではねてる角生えたウサギまで狩れるのだ!

尚、肝心の切れ味はペーパーナイフとタメを張るレベルの上に毒が回って死ぬまでにウサギに何度も体当たりとか食らって死にかけた模様。
どう見ても勇者が一巻で初めて倒すような敵を22話で死にかけながら倒す俺って...?

...考えるのはやめよう。
泣きたくなってきた。

まぁ、こんなペーパーナイフが到底通りそうにもないような奴らがここにはわんさかいる。
ウサギを倒せるようになったのは良いが、その死体はどうしようかと思ってたら、色んなもんが寄ってきた。
大砲つけたまんまポ◯モンのカメッ◯スみたいな奴とか。
鎧着たみたいに銀色に輝く装甲持ってるクマとか。
挙げ句ドラゴンとか。
毒付きペーパーナイフじゃ勝てんわ。毒回ってるはずのウサギ貪り食ってケロッとしてるのを見るに毒効いてないんだろうな。ちくしょう。

ちなみに、草の死骸は数分で分解されて、土に還りました。
こうして生命は廻っていくんだね。
でもその草毒に染まってるけど大丈夫?

そんなこんなで、スキルの検証やら、兎狩りやらをして過ごした。
他の魔物達はウサギを倒してくれるヤツ的な存在と思われてるのか、襲わない、若しくは守ってくれる代わりにウサギを倒しておくみたいな奇妙な共存関係が生まれた。どうにもクマや亀は鈍足で、ウサギに追いつけないっぽい。
実際なんか鳥に啄まれてたときに装甲のクマが鳥を倒してくれた事があった。
まぁ、ただの狩りだったのかもしれないが、襲ってこないのは本当に助かった。
くそう、俺だって食って暴食の恩恵を試したいのに。
早く羽化したいなぁとは思うものの、ウサギや草だと経験値が少なすぎてロクにレベル上げが出来ない。他の魔物は倒せないしね。
これが草生えるってやつか。
地道に狩るしか無いですかそうですか。

とか思ってたのがいけなかったんだろうか?

「グオオオオオォォォオ!!!」
見たこと無い色のドラゴンさんだね。
こっちガン見してるね。
尻尾振ったね。バチコーン!!!
ドラゴンの尻尾が俺を直撃し、糸で固定されていた俺の身体もとい繭が吹き飛ばされる。
痛覚耐性のおかげであんまり痛くはないけど、HPが一気に三分の一くらい減った。
咄嗟に鉄躰を発動させて硬くなったのも功を奏したのかもしれないが、今までこんな奴らの攻撃食らっちゃ即死だったんだからすごい成長したよね、じゃなくて。
おいおい、なんだなんだ?
俺とやろうってのか?俺には森の熊さん達が付いてるんだよ!
え?他力本願かっこ悪い?
仕方ないだろ!俺ウサギにすら苦戦するんやぞ!
死にかけるんやぞ!
という訳で、お願い熊さん達!

...しーん。
...誰も来ない。
...え?
...1人で戦うの?これ?

ドラゴンの両目は真っ直ぐに俺を見ている。

...わりぃ。俺死んだ。
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