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15話 父は勇者で母は魔王で、息子の俺は転生者★
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ちょっと...情報過多じゃなかろうか。
何が言いたいかと言えば、至極簡単な事。
転生したら、父親が元勇者で、母親が元魔王で、その間に生まれた子供である俺は転生者だった、と。
なんだかどっかで聞いたことあるような。
いや、きっと気の所為に違いない。
俺は優秀だから、言語が違うことを理解するや否や、直ぐにスキルポイントで『言語理解』を取得した。
そしたらば聞こえちゃったんですヨ。
「それにしても...数年前まではまさか勇者の貴方と子供を持つことになるとは思わなかったわ...アルク。」
「あはは、ボクもだよ。直接会うまで魔王は邪悪で人の生き血を啜り、人類の不幸を希う化け物だって聞いていたから...ミレンに会って、間違いだったって気づいたよ。」
わぁ...なんか凄い奇遇な...
あぁこら、赤ん坊の前でちゅっちゅすな。情操教育に悪いだろ。
ってなことがあってあれから5年、当たり前ではあるけど俺は5歳になった。
そう、5歳。
5歳児なんだ。
だからお母さん、授乳させようとするのはやめて。
「ちょ、ミレン?そろそろハークも5歳なんだからとっくに授乳は卒業してる頃だと思うんだけど」
「そ、そうだよお母さん、もう恥ずかしいから...」
ソレを聞いてころころと笑いながら、あたかも残念に思っているかのように嘯く。
「あら、もうハークちゃんも子供じゃないのね...」
お母さんは無邪気な人だ。元魔王なのに。
まぁ、地球の魔王像は偏見というものだったんだろう。
魔王がいい人な話もあるが、それみたいな感じ。
元勇者のお父さんも、すごく優しくしてくれる。
勇者と魔王の子であるが故に常識外れなことを言われる事もある...3歳で魔物狩りに連れて行くとか。
しかも「危なくなったらお父さんとお母さんが助けにいくからね~」と。
3歳児に1人で魔物倒せと。
まぁ、俺は遺伝なのかなんなのか、生まれつき魔法が使える。
勇者であるお父さんや魔王のお母さんには勿論到底敵わないものの、俺だってBランクなんだぞ。
下手な魔物には負けない。
とはいえ...今三人で住んでいる所は、魔王城のあった近くの魔の森。
住んでる魔物は全員Cランク以上という中々に鬼畜環境なのだよ。
だから毎日魔物達と死闘を繰り広げている。生暖かい両親の視線とともに...
俺が一体の魔物に苦戦している間に魔物の遺体の山を築き上げる両親には畏敬の念を禁じえないと共に、いつか越えて見せる。そう決めた。
そうして更に5年。
俺は既にAランクに到達して、Sランクにすら届くかという所だ。
ナイフや寝袋、そこそこの量の金銭と、必要なものをカバンに詰め込み、肩に掛ける。
「それじゃ、父さん、母さん、行ってくるよ。」
ずっと前から、話し合っていた。
十歳になったら、家を出て街へ行くと。
「本当に行っちゃうのね...」
「体調には、気をつけるんだよ」
尚心配する両親に笑いかける。
「空間魔法で帰ってこれるから大丈夫だよ。きっと帰って来るから。」
と、そこへ、空気の読めない無粋な翼竜...ワイバーンが飛来する。
Cランクの中でも上位の魔物で、ベテラン冒険者でも苦労するそうだ。
だが...俺の敵にはならない。
「炎舞刃」
火属性魔法の上位スキル、獄炎系魔法スキルによる炎の刃は、堅牢な翼竜の鱗を軽々と両断する。
「行ってきます!」
笑って手を振り、人の街へと駆け出していった。
「いつか来るって、わかっては居たのに...やっぱり寂しいわね...」
「...これがハークの為なんだよ。ハークは...天才だ。いつかこうなる運命だったんだよ」
「それでも...貴方もやっぱり寂しい、でしょう?アルク。」
「...今度...久しぶりに変装でもして街に行こうか。」
「そうこなくっちゃ!流石私の旦那様♪」
森の中の小さな家のドアは、そっと閉じられた。
何が言いたいかと言えば、至極簡単な事。
転生したら、父親が元勇者で、母親が元魔王で、その間に生まれた子供である俺は転生者だった、と。
なんだかどっかで聞いたことあるような。
いや、きっと気の所為に違いない。
俺は優秀だから、言語が違うことを理解するや否や、直ぐにスキルポイントで『言語理解』を取得した。
そしたらば聞こえちゃったんですヨ。
「それにしても...数年前まではまさか勇者の貴方と子供を持つことになるとは思わなかったわ...アルク。」
「あはは、ボクもだよ。直接会うまで魔王は邪悪で人の生き血を啜り、人類の不幸を希う化け物だって聞いていたから...ミレンに会って、間違いだったって気づいたよ。」
わぁ...なんか凄い奇遇な...
あぁこら、赤ん坊の前でちゅっちゅすな。情操教育に悪いだろ。
ってなことがあってあれから5年、当たり前ではあるけど俺は5歳になった。
そう、5歳。
5歳児なんだ。
だからお母さん、授乳させようとするのはやめて。
「ちょ、ミレン?そろそろハークも5歳なんだからとっくに授乳は卒業してる頃だと思うんだけど」
「そ、そうだよお母さん、もう恥ずかしいから...」
ソレを聞いてころころと笑いながら、あたかも残念に思っているかのように嘯く。
「あら、もうハークちゃんも子供じゃないのね...」
お母さんは無邪気な人だ。元魔王なのに。
まぁ、地球の魔王像は偏見というものだったんだろう。
魔王がいい人な話もあるが、それみたいな感じ。
元勇者のお父さんも、すごく優しくしてくれる。
勇者と魔王の子であるが故に常識外れなことを言われる事もある...3歳で魔物狩りに連れて行くとか。
しかも「危なくなったらお父さんとお母さんが助けにいくからね~」と。
3歳児に1人で魔物倒せと。
まぁ、俺は遺伝なのかなんなのか、生まれつき魔法が使える。
勇者であるお父さんや魔王のお母さんには勿論到底敵わないものの、俺だってBランクなんだぞ。
下手な魔物には負けない。
とはいえ...今三人で住んでいる所は、魔王城のあった近くの魔の森。
住んでる魔物は全員Cランク以上という中々に鬼畜環境なのだよ。
だから毎日魔物達と死闘を繰り広げている。生暖かい両親の視線とともに...
俺が一体の魔物に苦戦している間に魔物の遺体の山を築き上げる両親には畏敬の念を禁じえないと共に、いつか越えて見せる。そう決めた。
そうして更に5年。
俺は既にAランクに到達して、Sランクにすら届くかという所だ。
ナイフや寝袋、そこそこの量の金銭と、必要なものをカバンに詰め込み、肩に掛ける。
「それじゃ、父さん、母さん、行ってくるよ。」
ずっと前から、話し合っていた。
十歳になったら、家を出て街へ行くと。
「本当に行っちゃうのね...」
「体調には、気をつけるんだよ」
尚心配する両親に笑いかける。
「空間魔法で帰ってこれるから大丈夫だよ。きっと帰って来るから。」
と、そこへ、空気の読めない無粋な翼竜...ワイバーンが飛来する。
Cランクの中でも上位の魔物で、ベテラン冒険者でも苦労するそうだ。
だが...俺の敵にはならない。
「炎舞刃」
火属性魔法の上位スキル、獄炎系魔法スキルによる炎の刃は、堅牢な翼竜の鱗を軽々と両断する。
「行ってきます!」
笑って手を振り、人の街へと駆け出していった。
「いつか来るって、わかっては居たのに...やっぱり寂しいわね...」
「...これがハークの為なんだよ。ハークは...天才だ。いつかこうなる運命だったんだよ」
「それでも...貴方もやっぱり寂しい、でしょう?アルク。」
「...今度...久しぶりに変装でもして街に行こうか。」
「そうこなくっちゃ!流石私の旦那様♪」
森の中の小さな家のドアは、そっと閉じられた。
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