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10話 食の王
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あれから、どれくらい経ったのだろうか。
俺は随分と久し振りの朝日を拝んだ。
見下ろせば、ぐちゃぐちゃの、名状しがたい酷い状態になっている狼の死骸...
骨と皮以外は殆ど内側から喰らい尽くされ、萎んだ風船の様だ。
...これを、俺がやったのか。
狼の傷口から入った俺は、狼の筋肉やら内蔵やらに一心不乱に食いついた。
途端、狼が痛みで暴れ出す。
その度に身体が骨や内府に当たり、鈍い痛みがあった。呼吸も苦しくて苦しくて、誤魔化すように喰らい続けた。
酸欠で死ななくてよかった。
...この世界に来て初めて、勝った。
変則的とはいえ...
内側から喰うって何そのクソゲー。
やられる側からしては理不尽極まりないが、やる側なので無問題。
イピカイェア。
それにしても、疲れた。
達成感よりも、疲労感の方が強い。
誰かに労ってもらいたいが、周りを見渡しても、ゴブリンの遺骸や集落の残骸のみで、生物の息遣いは無い。
周りに魔物が居ないのは良いが、あのゴブ達もいなくなっているのが寂しい。
仮にも、この世界で初めて友好的な関係を築けた相手だったんだ。
どうにも、ブルーな気分だ。
...ええい、いつまでもくよくよはしてられん。
取り敢えず、自分を鑑定眼で鑑定してみる。
→
個体名:(無し)
年齢:0.2歳
性別:雄
種族:ベビーワーム【進化可能】
状態:通常
ランク:F
レベル:57
EXP:72/120
ステータス
HP:14/87
MP:0
物理攻撃:45
魔法攻撃:0
物理抵抗:33
魔法抵抗:12
速度:1
スキル
鑑定眼 不退転 捕食9 噛みつき6 苦味5
恐怖耐性7 酸耐性3 悪食5 我慢2
スキルポイント:0
称号
転生者 魔物喰イ 大物食い 勇者のココロ
ぶっ。なんぞこれ。
どんだけレベル上がっとんねん。そんだけ格上の相手を倒したのか?それとも、魔物って倒すとこんな大量に経験値貰えるのか?
...まぁ、前者だろうな。俺ドチャクソ弱かったし。にしても、レベルが57もあるんだからFランクは低くないか?
後もう一つ、ステータスの上がり悪くないか?1レベル当たりのステータス上がり幅、HP以外1も無いんすけど。つらつら。
だが、そんな事はどうでもいい。
いや良くはないのだが。
【進化可能】だ。
そう、進化が可能になったのだ。どうか、変則進化が来ていますように。
そう思い、【進化可能】をスキルを調べる要領で見てみる。
→進化先
・ワーム:一般的な虫型魔物。Fランク程の強さを持つ。[レベル15以上の虫型魔物]
・ノーマルワーム:何の特徴もない蝶形の魔物。Eランク程の強さを持つ。[レベル20以上の虫型魔物]
・乱喰蟲:暴食の意思を秘めた虫型魔物。詳細不明。[大物食い、捕食、悪食を持つ虫型魔物]
・人間:一般的な人間種。[転生者を持つ、未進化の生命体]『進化時、スキル全消去』
...は?
え?人間?え?人間になれるの?
なら即決じゃん、と、思いかけてふと、そっと添えられた言葉に止まる。
スキル全消去。レベルがそのままなら問題ない、ハズ。レベル57だし、そうそうやられる事もないと思う。それでも不安なのだが、問題は進化と一緒にレベルもリセットされかねないということ。
それだと、死ぬ。間違いなく、死ぬる。
なんだかんだ言って貧弱だろうがスキルにはかなり頼っていたし。
そこで、一つ上を見る。
もう、名前からしてやばいよね。詳細不明だし。
だが、これ以外に選択するつもりは無いし、人間になるとすぐ死にかねない。
リスクを負うよりは、怪しかろうが行くしか無い。
そうだ、多分変則進化だね!知らんけど。
望んだ通りの結果に一応なった...かは分からんな。
ええい、乱喰蟲に進化するぞ!!
と心の中で宣言すれば、途端、意識が...薄れて...
そして、俺は意識を失った。
俺は随分と久し振りの朝日を拝んだ。
見下ろせば、ぐちゃぐちゃの、名状しがたい酷い状態になっている狼の死骸...
骨と皮以外は殆ど内側から喰らい尽くされ、萎んだ風船の様だ。
...これを、俺がやったのか。
狼の傷口から入った俺は、狼の筋肉やら内蔵やらに一心不乱に食いついた。
途端、狼が痛みで暴れ出す。
その度に身体が骨や内府に当たり、鈍い痛みがあった。呼吸も苦しくて苦しくて、誤魔化すように喰らい続けた。
酸欠で死ななくてよかった。
...この世界に来て初めて、勝った。
変則的とはいえ...
内側から喰うって何そのクソゲー。
やられる側からしては理不尽極まりないが、やる側なので無問題。
イピカイェア。
それにしても、疲れた。
達成感よりも、疲労感の方が強い。
誰かに労ってもらいたいが、周りを見渡しても、ゴブリンの遺骸や集落の残骸のみで、生物の息遣いは無い。
周りに魔物が居ないのは良いが、あのゴブ達もいなくなっているのが寂しい。
仮にも、この世界で初めて友好的な関係を築けた相手だったんだ。
どうにも、ブルーな気分だ。
...ええい、いつまでもくよくよはしてられん。
取り敢えず、自分を鑑定眼で鑑定してみる。
→
個体名:(無し)
年齢:0.2歳
性別:雄
種族:ベビーワーム【進化可能】
状態:通常
ランク:F
レベル:57
EXP:72/120
ステータス
HP:14/87
MP:0
物理攻撃:45
魔法攻撃:0
物理抵抗:33
魔法抵抗:12
速度:1
スキル
鑑定眼 不退転 捕食9 噛みつき6 苦味5
恐怖耐性7 酸耐性3 悪食5 我慢2
スキルポイント:0
称号
転生者 魔物喰イ 大物食い 勇者のココロ
ぶっ。なんぞこれ。
どんだけレベル上がっとんねん。そんだけ格上の相手を倒したのか?それとも、魔物って倒すとこんな大量に経験値貰えるのか?
...まぁ、前者だろうな。俺ドチャクソ弱かったし。にしても、レベルが57もあるんだからFランクは低くないか?
後もう一つ、ステータスの上がり悪くないか?1レベル当たりのステータス上がり幅、HP以外1も無いんすけど。つらつら。
だが、そんな事はどうでもいい。
いや良くはないのだが。
【進化可能】だ。
そう、進化が可能になったのだ。どうか、変則進化が来ていますように。
そう思い、【進化可能】をスキルを調べる要領で見てみる。
→進化先
・ワーム:一般的な虫型魔物。Fランク程の強さを持つ。[レベル15以上の虫型魔物]
・ノーマルワーム:何の特徴もない蝶形の魔物。Eランク程の強さを持つ。[レベル20以上の虫型魔物]
・乱喰蟲:暴食の意思を秘めた虫型魔物。詳細不明。[大物食い、捕食、悪食を持つ虫型魔物]
・人間:一般的な人間種。[転生者を持つ、未進化の生命体]『進化時、スキル全消去』
...は?
え?人間?え?人間になれるの?
なら即決じゃん、と、思いかけてふと、そっと添えられた言葉に止まる。
スキル全消去。レベルがそのままなら問題ない、ハズ。レベル57だし、そうそうやられる事もないと思う。それでも不安なのだが、問題は進化と一緒にレベルもリセットされかねないということ。
それだと、死ぬ。間違いなく、死ぬる。
なんだかんだ言って貧弱だろうがスキルにはかなり頼っていたし。
そこで、一つ上を見る。
もう、名前からしてやばいよね。詳細不明だし。
だが、これ以外に選択するつもりは無いし、人間になるとすぐ死にかねない。
リスクを負うよりは、怪しかろうが行くしか無い。
そうだ、多分変則進化だね!知らんけど。
望んだ通りの結果に一応なった...かは分からんな。
ええい、乱喰蟲に進化するぞ!!
と心の中で宣言すれば、途端、意識が...薄れて...
そして、俺は意識を失った。
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