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家族の悲鳴編

家族側の悲鳴 6話

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 介護殺人は2週間に一度起きている。皆がそうとは言わないが、理不尽な目にあって余裕がなくなってる。繰り返すが家族に報酬はない。決して対等な状態ではない。

 ここまで説明しなきゃいけないのか? わからないのか? 研修ではこの程度の話もしないのか? この苛立ち、悲しみはどうすれば伝わる?

 受け取る側に準備がなければ受け取れない。
 受け取らない人間はいかなる場合も受け取らない。

 本当に伝えたい人たちに、伝えたい言葉は届かない。

 学ぼう、だとか。プロとして、だとか。
 そういう意識の高い人は、俺の言葉は受け取らなくても「知っている」
 知らない、知る必要はない、そんな時間もない。そういう人には届かない。

 自分の痛みには敏感で、他人の痛みに鈍感なのは、心の傾向の話でプロ意識云々の話をこえてしまう。
 家族側も「自分のことで精いっぱい」の人ほど横暴になってしまう。

 嫌な奴は嫌な事した後、すぐ忘れる。
 誰かにとても嫌な思いをさせたとしても、嫌な奴は覚えていない。びっくりするぐらい、すぐ忘れる。感覚が違いすぎる。

「悪いことしたな」と思い返せるような奴は嫌な奴にならない。
 職員だろうが家族だろうが「嫌な奴はずっと嫌な奴」のまま生きていく。指摘されても「嫌な奴」に自覚はないから逆切れする。
 被害者意識だけは持ち続け、加害者意識を持つことはない。

「悪くない」から「反省しない」
 こればっかりはどうしようもない。

 俺は実生活が忙しく、またストーカー被害や事故から心身ともにダメージをおって声をあげることはほとんどできなかった。親の世話もトータル16年、2021年から情報発信している。

 もう疲れたからほんとは何もかも忘れて逃げ出したくなる。どうせ届かないなら無駄じゃないか。
 親の医療費、のちにかかる葬式代もちゃんと確保しなければ。
 たいした金にもならんことで何万字も書いて、自分の時間を削って発信するとか。
 地元なら「何遊んどんな」と説教コースだよ。
 定年で自宅にいる人らが「家で遊んどる」と馬鹿にされる地域だ。金儲け以外の時間は全部「遊び」とみなされる、閉鎖的な田舎なのだ。

 介護に手当くれ、とか。俺は在宅介護終わってるから、一銭も得にならない。得にならんことを必死こいて。バカじゃねえの? 自分でもたまに思うのだ。
 もうクソみたいな施設にお世話になることもないし、何もかも忘れて過ごしても誰にも責められないよ。

 俺は特殊な立ち位置だ。
 福祉大卒でサービス提供側の立場にも立てる。20代から10年以上の認知症ワンオペ在宅介護経験。この二つを兼ね備えている人間はおそらく少ない。俺はこの立場から情報発信するしかないと思っている。
 義務でもないのに、責任なんかないのに。

 人生の中で障害者福祉、児童福祉、高齢者福祉の三分野にわたって経験したのだ。
 実績も人望もないおっさんだが発信を止めるわけにはいかない、ように思う。
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