実話！親ガチャ大失敗！夜逃げ中に生まれて捨てられ老夫婦に育てられた俺はワンオペ認知症介護で人生詰んでます！転生ざまぁはいつですか！

認知症、ワンオペ、在宅介護編

認知症、ワンオペ、在宅介護編 １８話

　余談だが、妄想との会話はメモしてあるがそれは書籍「生きた証（上）」に収録してある。

　 母の認知機能の低下は急に見える。 先生が言うにはもっと前から初期症状が出ていたのかもしれないという。俺が大学に行っている間か。それとももっと前か。事実は分からない。母の倫理観がおかしかったのは、もしかしたら？　前頭側頭型は65歳未満でも発症する病気だ。気づかないうちに発症して進行していた可能性もあるのではないか？ 
　事実は分からない。

　母が体調不良の時は本当に困った。
　食欲がなく食べてくれない。蒸しパンすら食べない。飲み物はリンゴジュースだけ。ジュース1.5 L に漢方成分の入った栄養剤を混ぜる。
　アイスクリームなら食べてくれたので1 L の箱入りを購入。アイスクリームディッシャーで一食ずつ皿に盛り付ける。カロリーを少しでも取って欲しいのでチョコレートシロップをかける。
　果物の桃なら食べてくれることもあったのでアイスと桃だけで1ヶ月過ごしたこともあった。
　風邪などの場合診療所の先生に来てもらったこともあった。
　点滴をしていただき先生には「あなたの人生もあるんだからね」と励ましていただいた。ありがたかった。

　この頃父は蜂窩織炎を繰り返し足の指を4本切り落とすことになった。肺に水が溜まりほぼ片肺しか動いてない時期もあった。動けるのは俺しかいなかった。

「いつか」「誰もが」向かい合うであろう介護の悩みを30年は早く経験したのが俺だった。
　 介護にまつわる本はいくらか読んでみた。介護サービスを上手く利用したケースですら悲惨な結末を迎えるものもあった。
　肉体、精神、経済的に苦しく長い日々だった。どれだけ尽くしても内からも外からも責められる日々だった。
　2015年以降母は認知機能が低下して俺を責めることはなくなっていた。
　終わりが見えない日々。寝不足で頭も回らない。

　こういうものは唐突に終わりが来る。
　ショートステイのロング利用が決まった。最大３０日利用する。一か月に一回家に帰るか、自費で泊まってくる。ほぼ 入所に近い。２０１６年のことだった。

　準備など一切できていない。
　自分が倒れた時のために介護用品は2週間分以上備蓄していた。母があちらに行くんだったらこれどうなるんだろう？　頭のどこかで冷静に考えていた。 介護保険を利用し始めて3年。完全入所ではないが、ついにここまでこれたのだ。