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介護保険拒否編

在宅介護、介護保険拒否編 8話

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 とにかく自衛しなきゃいけない。
 もし俺の血縁者の中から借金でも相続したら? えらいこっちゃだ。
  テレビなんかで紹介される「実の親との感動の再会」などという馬鹿げた番組があるが幼い頃から鼻で笑っていた。そんな綺麗な物語は俺にはなかった。
 感動は世間に受け入れられるが悲劇はなかなか受け入れられない。そういうもんなんだろう。でも現実だから受け入れるしかない。
 クズの血を引いてクズに育てられている。 自分に自信が持てないのは当然ではないか。 
 介護の話に戻そう。

 本によると介護殺人というのは2週間に1度起きているらしい。介護は大変なストレスになる。特に認知症の場合、世話をしているのに本人に責められる。

  介護は金銭的な問題だけではなく問題行動を止めたり解決することが重要となってくる。
 2021年秋から、俺はネットで自著を宣伝しつつ情報発信をしている。
 SNSをはじめて、アドバイスとやらをいくつかいただくこともあった。
 生活保護を受けたらいい、と言い出す人もいるが、徘徊をどう止めるのだろう? つきっきりで監視したら「生計同一世帯」扱いで保護降りんでしょ。
 精神病院にいれたらいいという人もいたが、本人の意思に反して閉じ込めるには警察沙汰にでもなるしかない。そこまで問題行動を放置しろとでもいうのだろうか?
 そもそも、福祉サービスも医療も拒否している。
 行政もだが本人の「自己決定」が大原則なのだ。本人の意思を無視して、ことを進めたら最悪訴えられる。
 エホバの証人の信者に治療のために輸血をして訴えられた事件をご存じだろうか? 教義に反する輸血されたとして裁判沙汰になったのだ。行政も医療福祉もリスクを背負っている。だから本人の自己決定を超えることはなかなかできない。

 いろんな本に「こうしたらいい」と書いてあるがなかなか実践はできない。教科書通りにうまくいくこともない。
 そもそも介護保険の認定を受けないんだからサービスも受けられない。介護認定を受けたところで介護度というのがあるが、認知症で問題行動を起こしていても体が動く。
 ならば介護度は低いままだ。すると受けられるサービスは限られてくる。若年性認知症の困ったところだ。
 
 家に置いておくと散財、徘徊を繰り返す。母がケガするだけならいい。原付で誰かを傷つけたら? 子供さんでもひいてしまったら?

 車に乗せて連れ出すと「はよせえはよせえ!」
 すぐに興奮して怒り出す。
「何でここ曲がらんのな!!」
 原付に乗ってたから車が通れない細い道でも曲がれると信じてる。
「ここいける、なんでいかん!!」
 駐車場が埋まっていてもおかまいなしだ。一方通行の道も、標識なんて意味がわかんなくなっている。
「お前とは絶対どこもいかん!!」
 車の中で何度も喧嘩した。
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