運命の番は後天性Ω

yun.

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ヒート編

向かう

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「慧くん、待たせてごめんね。おまたせ。」


「えへへっ、やっと一慶さん会えましたあ~」


「うんうん、ひとりにしてごめんね。」


「えへへ、だいじょーぶですっ。」

と敬礼する慧くん。
かわいいな。


「行こうか。」


そう言って、外へ出ると紫苑が駆け寄ってきた。
きっと待っている間に、抑制剤をのんだのだろう。
慧くんのヒートはまだのようだが、ヒート前症候群の症状がこれだけでているのだから、いつヒートになってもおかしくはない。
しかも紫苑も、αだからな。
ランクてきには、俺よりも低いだろがな。


駆け寄ってきた紫苑は俺たちの前で止まり、微動だにしなくなった。
慧くんに向けていた顔をあげて紫苑を見れば、驚いた顔をしながら一点を見つめている。


紫苑の視線の先をたどると、そこにいたのは慧くんのお友達の安川さんがいた。
その安川さんも、目を見開き呆然としている。

その二人の反応を見て俺はすぐにピンときた。
俺も体験したばかりだったせいもあるのだろう。


「紫苑。」

声をかけても、聞えていないようだ。
だが、これ以上は待てない。


!!」

先程より大きな声を出すと、ハッとした紫苑が気づいたようだ。


「大声出して悪いな。俺と慧くんはとりあえず、慧くんの家に一度よってから、俺の自宅に帰るよ。悪いが、車は乗ってくぞ?」


「あっ、すみません。あ!いえ、送ってきますよ!」


「ははっ、いいよいいよ。俺にも最近その状況は覚えがあるからな。きっとそうだろ?」


「はい、たぶん・・・運命かと・・・」


「だろうな。運命の相手と出会ったばかりで、引き離すような無粋なことはしないさ。車は乗ってくが、今日はここでいい。落ち着いたら連絡するから、そのときにでも。」


「ありがとうございます!」
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