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お泊り
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あの後、もう夜になるってことで、家族は帰宅した。
一慶さんは、仕事があるはずなのに、僕を優先して付き添ってくれた。
本来は泊まりの付き添いは、NGなんだけど、斉藤先生たちが自分たちのせいだし、僕たちの精神状態を鑑みて、引き離すのは得策ではないと、泊まれるようにしてくれたみたい。
今、須藤さんと離れると考えると、不安で仕方ないから、止まってくれるのはありがたい。
明日、僕の両親立ち会いのもと、今後についての説明が改めてされるらしい。
母さんがいれば、僕も少しは安心だし、何かあったら、須藤さんをすぐに止められるだろうと言うことで、父さんも来るみたい。
夕食も食べ、レンタルした寝間着に着替え、先生たちも出て行ったあと、一慶さんと僕の二人きりになった。
「一慶さん・・・」
そう呼べば、近くに来る大きなワンコみたい。
「僕は、ビックリしたけど、もう大丈夫です。苦しかったことよりも、一慶さんが近くに来てくれなかったことの方が、悲しかった・・・です。」
「ああ、ごめんね。苦しい思いさせて。近くにすぐ行ってあげなくて・・・」
「うん。一慶さん、一緒にいて。今日は一緒に寝て?ギュッとして寝て?」
「う”っ・・・もっ、もちろん。さあ、寝よう?おやすみ。ゆっくり休んでね。」
____________________
一慶side
やってしまった。
”セックス”という単語に過剰反応してしまった。
斉藤先生の話しはきっと、主治医としての話しだっただろうに。
俺たちのセックスの内容に興味なんてないだろうし、俺が慧くんを大事にするならば何も言わないだろうし、聞かないはず。
そんなことも冷静に判断できなくなるほど、激昂し威圧を振りまいてしまった。
俺の番になんて話しをしようとするんだ!という怒りだけだった。
結果的に慧くんを体も、心もキズつけてしまった。
それなのに、慧くんは怒ってないし、近くに来てくれなかったことが、悲しかったなんて、嬉しい事を言ってくれた。
なんて心が広いんだろう。
俺も見習わなければいけない。
こうやって威圧で影響があったあとは、”アフターケア”が重要なんだと、教わった。
本来ならば、近くで抱きしめたり、頭を撫でたり、ときにはキスしたりして、番を落ち着かせることが重要なんだそうだ。
それをしなかったがゆえに、慧くんは倒れてしまったし、その後も情緒が不安定になりやすいんだそうだ。
慧くんは、気丈にふるまってしるし、本人も無自覚なのかもしれないが、顔色もまだ悪いし、身体も震えていた。
俺は、二度、いや三度も失敗を犯していたのだ。
横で眠る慧くんの顔を見ながら、心で泣いた。情けないな・・・
一慶さんは、仕事があるはずなのに、僕を優先して付き添ってくれた。
本来は泊まりの付き添いは、NGなんだけど、斉藤先生たちが自分たちのせいだし、僕たちの精神状態を鑑みて、引き離すのは得策ではないと、泊まれるようにしてくれたみたい。
今、須藤さんと離れると考えると、不安で仕方ないから、止まってくれるのはありがたい。
明日、僕の両親立ち会いのもと、今後についての説明が改めてされるらしい。
母さんがいれば、僕も少しは安心だし、何かあったら、須藤さんをすぐに止められるだろうと言うことで、父さんも来るみたい。
夕食も食べ、レンタルした寝間着に着替え、先生たちも出て行ったあと、一慶さんと僕の二人きりになった。
「一慶さん・・・」
そう呼べば、近くに来る大きなワンコみたい。
「僕は、ビックリしたけど、もう大丈夫です。苦しかったことよりも、一慶さんが近くに来てくれなかったことの方が、悲しかった・・・です。」
「ああ、ごめんね。苦しい思いさせて。近くにすぐ行ってあげなくて・・・」
「うん。一慶さん、一緒にいて。今日は一緒に寝て?ギュッとして寝て?」
「う”っ・・・もっ、もちろん。さあ、寝よう?おやすみ。ゆっくり休んでね。」
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一慶side
やってしまった。
”セックス”という単語に過剰反応してしまった。
斉藤先生の話しはきっと、主治医としての話しだっただろうに。
俺たちのセックスの内容に興味なんてないだろうし、俺が慧くんを大事にするならば何も言わないだろうし、聞かないはず。
そんなことも冷静に判断できなくなるほど、激昂し威圧を振りまいてしまった。
俺の番になんて話しをしようとするんだ!という怒りだけだった。
結果的に慧くんを体も、心もキズつけてしまった。
それなのに、慧くんは怒ってないし、近くに来てくれなかったことが、悲しかったなんて、嬉しい事を言ってくれた。
なんて心が広いんだろう。
俺も見習わなければいけない。
こうやって威圧で影響があったあとは、”アフターケア”が重要なんだと、教わった。
本来ならば、近くで抱きしめたり、頭を撫でたり、ときにはキスしたりして、番を落ち着かせることが重要なんだそうだ。
それをしなかったがゆえに、慧くんは倒れてしまったし、その後も情緒が不安定になりやすいんだそうだ。
慧くんは、気丈にふるまってしるし、本人も無自覚なのかもしれないが、顔色もまだ悪いし、身体も震えていた。
俺は、二度、いや三度も失敗を犯していたのだ。
横で眠る慧くんの顔を見ながら、心で泣いた。情けないな・・・
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