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デート

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「この服装じゃ目立ちますわ。まずは、街歩きのための服を買いに行きません?」

「あぁ、そうだな。フィアが囲まれてデートにならなくなってしまうだろうから、変装はした方がいいな。」

「ふぇ!?」
あっ、令嬢らしからぬ声を出してしまいましたわ。
私の完璧像が...
 こんな声を出しても、ニコニコと笑っておられる殿下。
心がひろい方だわ。それにしても、恥ずかしいわ。
気を引き締めないと!と気合いを入れる私でした。

服屋へつくと、殿下が先に降り、手を差し出してくれる。
支えられながら降りると、周りからの視線に気づいた。

そうでしょそうでしょ?
殿下は素敵だものね。でも、殿下は渡さないわよ。
殿下のお心は、どなたにあるのかな...
なんて。妻になれるだけ幸せなのに、私欲張りだわ。

~カランカラン~
「いらっしゃいませ。お、王太子様!王太子妃様!!」
いつもは来ないようなお店。いきなり来てしまったから、店員さんたちは大慌てだ。

「突然来てすまない。今日はデートなんだ。街歩きをするから、着替えようと思ってな。見てもかまわないか?」

「も、もちろんでございます!私どもなんぞのお店にきていただき、ありがとうございます。ごゆっくりご覧ください。」

「あら、なんぞだなんて。そんな言い方なさらないで?素敵な服ばかりじゃない。私は気に入りましたのよ?」

「だそうだよ。フィア、好きなの選んでくれ。私が払うよ。」

「あら、私も公爵令嬢。お金はありましてよ?」

「つれないことを言うなよ、フィア。勝手に送るぞ?」
とクスクスと笑う殿下。

「殿下!卒業パーティーも、王城でのパーティーでもドレスをご用意してもらうのに、ここでも買っていただくなんて、出来ませんわ!」

「あぁ、フィア。気にしなくていい。パーティーの件は、王家もちだ。今回は私もちだ。どちらも私払いとて、王家の費用と私のヘソクリとは別だろう?」
と私の頬を撫でる。恥ずかしくて、真っ赤になる。

「まぁ!ヘソクリなんてお言葉、お使いになって。」
と誤魔化してみたが、クスクス笑われただけだった。
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