上 下
144 / 171
3章

130

しおりを挟む
「こちらへどうぞ。」

そう言って、応接間に案内する。
お茶とお菓子を出し、紅茶を飲み、ハンスの上がっていたん息が戻ったなと思った頃に話しを始める。


「それで、今日はなにがありましたか?」


「そうでした!ノア様拝んでいたら、忘れていました!侯爵から言伝てです。この間、王都在住のバーン伯爵が妙なことを言っていたと。その時は半信半疑だったが、今朝方そのバーン伯爵が侯爵領に着いたと。強行な行程ならば、夕方くらいには、そちらに着くだろうと。もちろん侯爵はなるべく引き留めてはいますが、いつまでもつか分からない、とのことです。」


「ほうほう。なるほど。して、その妙なこととは何ですか?」


「それが・・・あの。辺境の平民になるのを待つだけのノア様をもらってやるとか、なんとか・・・」


「は?」

あ、やべ。素がでちった。

「どういうこと?」


「はい。ここ最近王都でもノア様の話題で持ちきりでして。ノア様を嫁にとか、夫にとか、そういった話しが出ています。そこで、いち早く獲得にと思ったバーン伯爵と、令息が、先程のようなことを夜会で言っておりました。それで、今回は婚約の話しをするため、こちらに向かっていると思われます。」


「はああ。やっぱりきたか。あー、早く籍抜いてもらえばよかった。」

と、少しの間天を見上げた。


「ふう。父上に早馬を出す。トーマス、準備を。」


「はい。承知しました。」


「それで、この件なんですが、どうやら王族方々にも耳に入ったそうで・・・」


「なに?」

少し威圧がかかってしまい、ハンスがビクっとした。


「ああ、すまない。それで、王族の方はなんと?」


「それは、まだ・・・」


「そうか。イーマス、部屋の準備を。念のため4部屋。それから、料理長を呼べ。」


嫌だが、追い返すにしても、今日きたら夜追い返すことになる。
そしたら、こちらが悪く言われかねない。
今日ついてしまえば、どんなに嫌でも、1泊は許すしかないだろう。
伯爵夫妻、子息に1部屋ずつ。


それに、もしかしたら・・・
噂の真実を確かめに、かの方々も来るやもしれんからな。


「ほううう。」

顔を赤らめたハンスはなんだか、熱っぽい視線を向けてくる。


「どうした?」


「さすが、ノア様。ほれぼれするほど、的確な指示。感服です。」

ハハハ・・・苦笑いしか出ない。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【完結】僕は今、異世界の無人島で生活しています。

コル
ファンタジー
 大学生の藤代 良太。  彼は大学に行こうと家から出た瞬間、謎の光に包まれ、女神が居る場所へと転移していた。  そして、その女神から異世界を救ってほしいと頼まれる。  異世界物が好きな良太は二つ返事で承諾し、異世界へと転送された。  ところが、女神に転送された場所はなんと異世界の無人島だった。  その事実に絶望した良太だったが、異世界の無人島を生き抜く為に日ごろからネットで見ているサバイバル系の動画の内容を思い出しながら生活を開始する。  果たして良太は、この異世界の無人島を無事に過ごし脱出する事が出来るのか!?  ※この作品は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さん、「ノベルアップ+」さん、「ノベリズム」さんとのマルチ投稿です。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

処理中です...