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ルークの真実

”ルース”VSアーティ その4

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 バルファはかなり追い込まれる。

 折れた剣を見て少し絶望する。

「さーて、どうしたものかねえ」
「チェックメイトだ。バルファ・アルファライド。投降するなら、命までは……」
「投降できるとでも、思うのかい。この戦いは、遊びじゃないんだ。第一、死んだ仲間に顔向けできないっていただろ。私はこの戦いで勝つか、死ぬかの2択しかないんだ」
「……そうか。なら、ここで…」

 バルファは折れた剣を、投げる。アーティは、反応が少し恐れ頬を掠る。

「ーっ」

 やはり避けることができるのか。だが、まだ魔法が残っている。

 バルファは、炎魔法をアーティに飛ばす。

「アトミックフレア」

 その炎魔法魔は、簡単に消すことはできない。

「結界魔法」

 アーティは結界魔法を展開する。だが、その結界は無意味だった。アトミックフレアは結界魔法を貫通してきた。

「なっ。止まらないのか」
「はは、この魔法は、私の最後の切り札だ。この魔法は、結界術師を倒すために考えた魔法だ」
「結界を、無効化だと。そんなことができるのか」

 アーティは、紙一重のタイミングで、アトミックフレアを躱す。

 だがバルファは、同じ魔法を展開する。バルファの情報によると、アーティには、この魔法を防ぐ方法がない。

「お前を倒すのはこの私だあああ」
「僕はまだ、負けてねえええ」

 バルファの飛ばしてきたアトミックフレアを、フラガラッハで切り裂く。

「なっ。魔法を、切り裂いたというのか」
「切り裂いた?いいや違うよ。魔法を、風魔法で君の魔法を粉砕するだけだ」
「くっそ。まじかよ」

 やはり、隠し玉があったか。私はまた、同じ道を歩むことになるのか。

「バルファ様」

 バルファの考えている時に、シーンの声が耳に届く。バルファは一瞬だけシーンを見る。

「そうだな。私達は、この日のために生きてきたんだ」

 バルファは叫ぶ。その声にアーティは、顔をしかめる。

「私の賭けた物は、ここからだああああ」

 その瞬間天井が崩れ落ちる。バルファは、落ちてくる瓦礫を足場にして、上に逃げていく。

「くそ、バルフファアア」

 アーティは、落ちてくる瓦礫をフラガラッハで粉々にしていく。アーティがすべての瓦礫を、粉砕した後飛行魔法で上を目指す。

 その時バルファは、夜空を見ていた。

「美しき夜に、最後の時を…」
「バルファ」
「来たか。アーティ」
「なぜここに来た」
「最後に、夜空を見たかった。私は、ここまでのようだ」

 今いる場所は、教会からこの町を一望できる場所だ。

「死ぬ覚悟があったってことか」
「ああ。私の切り札は、アトミックフレアだったからね。まさか、結界魔法以外で防がれるとは考えていなかった」
「……切り札か」
「最後のわがままを聞いてくれ」
「いいだろう。なんだ」
「私の死を、シーンには見られたくない。ただそれだけだ」

 バルファは、両手を広げ目を閉じる。アーティは、深呼吸をしてバルファのもとに向かう。

「待って」

 その声は、バルファでも、アーティでも、シーンでもない声。だが、この2人は聞いたことのある声。

「まさか、ルーク」
「遅いよ。ルーク」

 そこに来たのは、ルークとミアだった。

「父さん。アーティ先生。何しているんですか」
「なぜ。ルークが、ここにいるんだ」

 驚くバルファに対し、アーティは冷たい目をしていた。

「声をかけたのは、僕だ。ここに来るかの選択肢をしたのは、ルーク。君の息子が決めたことだ」
「なんの嫌がらせだ」
「嫌がらせ?ふざけるな。息子に真実を隠して、お前は死の道を選ぶことが許せないだけだ」
「アーティ先生何を言って…」
「ルーク。ここに来たということは、覚悟をしているということだろ。今からいうことは真実だ。嘘ではない」

 アーティの視線が、ルークに移る。

「”ルース”という組織を率いていたのは、君の父バルファ・アルファライドだ」
「えっ」
「”ルース”は、僕の命を狙ってきていた。だから殲滅をする。意味は分かるよなルーク」
「……だとしても…」
「だからだ。僕の行動は、君に恨まれる道だ。君がいつか真実を知る。その時が、未来か、今かの違いだ。そして、父親を守れなかったという後悔もしてほしくないと考えている。だから君に声をかけた」
「…一つ聞いていいですか」

 ルークは下を見て震えるような声で、アーティに質問をする。

「何だ」
「”ルース”は何が目的なんですか」
「”ルース”の目的か。僕の知っている中では2つある。1つは今言った、ヴィクトリア家の殲滅。もう1つは、貴族政治再開だと考えている。まあ、”ルース”を率いている本人がいるんだ。本人にも確認してみようか」

 アーティは、自分の見解を述べた後、バルファの方へ視線を向ける。

 バルファは、アーティだけ見ている。

「そうだ。さすがだな、ヴィクトリア家は…」
「だ、そうだ。ルーク」
「……」

 ルークは下を向き続けている。

「ルーク。そろそろ時間にしようか。もう夜が明け始める」

 だがルークの足、体、声が全く動かないし出ない。

「アーちゃん。ルークの答えはこれよ」
「……どういうことだ」
「動けない。それが答えよ」
「……ならミア。この場から、ルークを連れて行った方がいいぞ」

 ミアは頷き、ルークの方を見ると、ルークは下を向いたまま、首を横に振っていた。

「ルーク。どうしたいの」
「僕は、見なきゃ……いけない気がします。何があったとしても……」
「と言っていますよ。アーちゃん」

 アーティは、額に手を当てる。ため息を吐きつつ許可をする。

「分かった。好きにするがいい。じゃあ。手間を取らせたな。バルファ・アルファライド」
「……なんか、空気が悪くなった気がするぞ」
「…そうだな。予定とは少し違ったがな」

 アーティは、フラガラッハを構える。

「さようなら。バルファ」
「ああ。さよならだ」

 その瞬間、フラガラッハがバルファの体を切断する。

 そのまま崩れるように、下に落ちる。それをアーティは見届け、フラガラッハに風魔法を発動させ、剣についた血を、取り剣を鞘に戻す。

「ルーク。ミア。終わったぞ。下に、君のお母さんが生きているから行こうか」
「ええ」
「……」

 ミアは軽く頷く。それに対してルークは下を向いたままだった。

 アーティは、ルークの反応だけを見て、ルークを抱き上げる。

「えっ、ちょ」
「ルーク。まだ終わりじゃないぞ」
「えっ」
「シーンさんのもとに行こう」

 アーティは、ルークを抱き上げたまま、下に降りる。ミアはそれに続いてきた。
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