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ルークの真実

バルファは考える

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 アーティは急いで、バルファの居る場所を探している。

「くそ、どこにいる。どこに隠れている」

 アーティは闇雲に探すのをやめて、情報をいったん整理する。

 僕がバルファだとすれば、どこに隠れる。手に入れた情報をもとに必死に考える。

「くそ。分かんねーぞ」

 アーティは頭をかく。一度目を瞑って、深呼吸をする。そしてもう一度辺りを見る。耳も澄ませる。

「もしかしたら、地下拠点があるのか」

 アーティは一度、町に降りる。強化魔法を使って町を走り出した。


ーーーーーー

 バルファの居る場所にて

「くそ、ルミーナ、ジャード、オールド、ミヤードすまない。俺の選択ミスだ。残ったのは俺らだけか」
「そうですね。後には引けない状態になりましたね」
「チェックメイトには近いだろ。まさか4人で襲って1人に負けるとは想定外だな」
「バルファ様。一つだけ報告です。オールド様とミヤード様は、合流できないと連絡があった後、連絡が取れなくなりました」

 その報告をしたのは、”ルース”の連絡部隊の一人である。

「合流できなかった?何があった。ミアが来たのか」
「いいえ、ミアであれば、オールド様かミヤード様が、伝えると思います。多分想定外のことが起きたと考えるべきでしょう」
「想定外のことか。今のこの状況が想定外なんだがな。だが、そうか、想定外のことか……」

 バルファは少し考える。答えは出てこない。だが、可能性という考えは出てくる。

「アーティ・ヴァン・ヴィクトリアに協力する人間は誰だ。ドラゴン家か…いや、違うな。ラミールフェール家が絡んでいると考えるべきか」
「ラミールフェール家が絡んでいたら太刀打ちできないかもね」
「ああ。アーティ・ヴァン・ヴィクトリアだけならば問題はないが、ディアル・ラミールフェールが絡んでいたら、間違いなくチェックメイトだ」

 バルファは、マグカップを手に取り一口飲む。バルファは、マグカップをテーブルに置き、煙草を取り出す。

「はああ。どうしたものかねええ」

 バルファは、下級炎魔法で煙草に火を点ける。そして、少し考える。

「いや、この件に関しては、ディアル・ラミールフェールは、関わってないと考えるべきか」
「どういうことかしら」
「簡単なことだ。もし、ラミールフェール家が関わってきていたら、間違いなく、内部崩壊をするはずだ」
「内部崩壊ですか」
「ああ。ラミールフェール家は、”ラフル”という組織を持っている。”ラフル”は情報部隊に近い。だとすれば、内部崩壊で解決できるだろ」

 バルファの考えはこうだ。”ラフル”という組織を用いて内部情報を全て握り、”ルース”内で反乱を起こす。これが、”ラフル”という組織のやり方だ。実際に、ドラゴン家は、これを食らったと聞く。

「内部崩壊ですか。確かにそれだと、あり得るかもしれませんね」
「だが、もう一つの考えでは、ラミールフェール家が絡んでいる場合もあるかもしれん」
「もう一つの考えは、何ですか」
「ああ。アーティがここに来た理由だ」

 バルファは吸っていた煙草の火を消す。そしてシーンの方を向いて考えを話す。

「ラミールフェール家が、ヴィクトリア家の持つ、何かしらの情報を得たいと考える場合だ」
「情報ですか」
「戦勝国であるラミールフェール家が、手に入れることのできなかったもの。それは一つだけある。ヴィクトリア家の持つ。全ての情報のありかだ」
「全ての情報のありかですか」
「ああ。全てだ。俺たちがエモン・ヴァン・ヴィクトリアに負けた理由は情報戦で負けたと感じている。もしだ、こちらの情報が流れてなければ、全ての策が潰されるということには、ならなかったはずだ。昔から、ヴィクトリア家は、情報を大切にすると聞く。その情報源を、ラミールフェール家は手に入れることはできなかったと聞く」
「なるほど。では、ラミールフェール家がもし絡むとしたら、その全ての情報のありかを探すということで手を組むということですか」

 シーンの問いに、バルファは少し悩む。

「いや、それだとアーティに得はないな」

 バルファは、考える。アーティに返ってくるメリットがないからだ。だとすれば、アーティとラミールフェール家が組んでいないと考える方が、正解となる。

「なんだ、大きな見落としがあるような気がする」

 バルファの左手は、口元に当てながら考える。

「まて、根本的なものを忘れていたぞ」
「根本的なものですか」
「エモン・ヴァン・ヴィクトリアだ」

 バルファのたどり着いた答えは、信じたくもない仮説だった。
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