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ルークの真実

”ルース”VSアーティ その1

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 想定外だ。本当に奇襲されるなんて。

 最悪なケースに”龍のブレス”での死者が多分出たと思う。それが誰かはわからないが、一人目の時に対策が打てなかったことが後悔となる。

 対策方法は『ドラゴン家の秘宝に関する資料』に書かれていた方法を、まねるだけで代償を無効化することができる。

「ミア。これからの戦いは過激になる。もし、もしだ。ルークが助けを求めたらルーク達ガキを助けてやってくれ」
「ルークを救ったらいいのですか」
「ああ。多分ルークは知らない。いや、知っていてもあいつには、この復讐には参加してほしくはない」
「分かりました。あなたの願いであれば。叶えます」

 二人とも移動魔法”スカイ”を使用しながら敵の本拠地を探す。

 下から魔法が飛んでくる。簡易結界を展開しながら反撃をする。ちなみに使っているのは、ファイヤーボールだ。

「くそ。こんな戦いしてもきりがないぞ」
「どうする?吹き飛ばす?」

 吹き飛ばす。それはつまり”龍のブレス”を使うということになる。

「それは面倒だな。一応多重結界シンオウを使うことになって面倒だからな」
「それもそうだね。なら、空間切断魔法ヒズメ」

 空間切断魔法ヒズメこれは、目の前の空間を歪ませることで、攻撃を避ける技であり、これを前に飛ばすことができれば立派な攻撃魔法にもなる。

「あまり暴れまわらないでくれよ」
「うん。ちょっと、むかついただけだから」

 ミアを怒らせるとかなり面倒なことになると、この時アーティは学んだ。

「でも、この計画のボスってどこいいるんだろう」
「目星は一つだけあるけど、そこに本当に居るのかは分からない」
「でも、そこに行きたいんでしょう」
「ああ。ミア、少し悪いが別行動してもらってもいいか」

 アーティは別行動を提案する。これから向かう先は、戦場であり、”龍のブレス”は手元に置いておきたいが、それ以上にルークのことが心配だったからだ。

「うんいいけど。私はどうしたらいいの?」
「ルークを探してきてほしい。多分、アルファライド家にいるはずだ。そこでルークに一つ聞いてきてほしい」

 ミアの耳元で囁くように伝言を頼む。

「うん分かった。じゃあ。すべてが終わったら合流しようね」
「ああ。ミア頼んだ」
「了解」

 ミアは笑顔を作って、アーティと別々の行動を取る。

「さーてと。まずは、君からかな?」
「へええ。僕達のこと分かるんだ」
「でも名前は知らないでしょ」
「知ってるよ。君はルミーナ・エルフィン。そして君はジャード・エルフィンで合っているだろう」
「へー。驚きだ。何で分かった」
「名前まで知ってるとなると、やはり君が……アーティ・ヴァン・ヴィクトリアだね」

 驚く2人組は、”ルース”幹部クラスの人間2人組。

「そうだ。僕が、アーティ・ヴァン・ヴィクトリア。本人だ」
「やっぱりね。じゃあ。こっちも自己紹介しとくかな。”ルース”のリーダー。ルミーナ・エルフィン」
「”ルース”副リーダー。ジャード・エルフィン」
「僕達2人で君を、絶望に落としてあげる」

 1対2人十差ではかなり不利な状況のスタートとなった。でもアーティは1つだけ確認したいことがあった。

「お前らに聞く。オールド・キール。ミヤード・シルフィトはどこにいる」
「……。ほかのメンツも知っているのか」
「ああ。戦う前にどんな相手なのかを調べるのは、戦闘の基本だと思ってね」
「……。へえええ。でも教えなあああい」

 そう叫びながら2人とも飛び込んでくる。ルミーナの持つ剣炎属性を付与して切り込んでくる。反対側から切り込んでくるのはジャード。ジャードは氷属性を付与した剣を使っている。

「ヴィクトリア家はお前で終わりなんだよおおお」
「そんなに恨んでいるのか」
「ああ。恨むね。お前達一族のせいで独立地域送り、さらに戦争をして、敗戦国となり俺らの未来なんて何も残っちゃいねえんだよおおおお」
「そうだな。戦争に敗れたことは謝ろう。だが、独立地域になったのは、お前らのせいじゃないのか」
「そんなことは関係ねええええ」

 二人の攻撃を華麗によけながら、ほかに敵が狙っていないのかを確認する。

「ビンゴ」
「何言ってるんだ」
「ビンゴと言っただけだ」
「そんなことを聞きたいんじゃねえよ」

 この時アーティは、うっすらと笑みを浮かべていた。


ーーーーーー

 その日ルークは眠ることができなかった。何か嫌なことが起きる。そんな気がした。

「お兄…ちゃん……」
「ルーク…にいい……」

 そんな寝言を言っているのは、ルークの弟であるフィード・アルファライド。もう一人は、ルークの妹シーファ・アルファライドだった。

「フィーとシーは、気持ちよさそうに寝ているなあ」

 ルークは夜空を眺めていた。今日はとてもきれいな夜。

「ふぁああ。心配しすぎなのかな」

 そんなことを呟きながら、窓から外を眺めていると、父親が見える。

「あれ、お父さん?」

 次の瞬間。大きな爆発に近いような音が辺りに響き渡る。

「ふぎゃああ」
「なんだ。なんだ」

 フィードとシーファが目を覚ます。だがルークは、そんなことに構うことはできなかった。

「この音。この破壊力は、”龍のブレス”?」

 ルークはこの時、アーティ先生が”ルース”の殲滅を開始したと、勘違いしていた。
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