発展科学の異端者

ユウ

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5章

72.ノール連邦武闘派神山派

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 この国は腐っている。王が、世界を支配するこの国は科学武装師が世界を支配していた。

 科学武装師は、世界から見ても英雄に近い存在であり、モンスターが現れたら科学武装師が討伐する。討伐できなければ、科学武装師が馬鹿にされる。いわゆる、便利屋に近い存在になりかけていた。だが、この国だけは違った。

 科学武装師が、大切な市民に武力という力を見せつけた。それからこの国は最悪な方へと転がり始める。

 それから時が経ち、この国は2つの武闘派に分かれた。武闘派神山派と武闘派ピアー派。これから世界は大きく動く。その答えは単純だった。

 ノール連邦がグラジア大国に宣戦布告をしたからだ。しかも、魔物との戦争の直後のことだった。

「龍気様」
「……。なんだ」

 龍気と呼ばれた男は、武闘派神山派の神山龍気だ。神山は、タオルを頭からかぶって汗を拭く。

「後1時間ほどで、グラジア大国に到着します」
「そうか……」

 神山は、少しだけ考える。これから行うことは、世界犯罪になることだ。だが、これを行うことには大きな意味がある。

「これから命令することは、失敗したら死だ。それでも付いてくるだろう」
「はい」
「なら、命令だ。グラジア大国北側は、モンスターブレイクにより、立ち入り禁止エリアになっている。まずそこを叩く」
「……なるほど。そう動きますか」

 モンスターブレイク。それは、ゲートから現れたモンスターの集団を封じ込めることができなかったことで、モンスターが群れを起こしている。通常であれば、再度科学武装師を募り討伐に当たるが、グラジア大国が選んだ道は、モンスターの隔離だった。

「モンスターブレイクの討伐で、侵略戦争のきっかけとするということだな」
「そうだ。まずは拠点が必要だ。だとすれば、国が捨てた土地を狙う」
「ですが、そこは森林エリアでしたよね。作戦はどうしますか。焼き払います?」
「勘弁しろ。マルロク。そんなことをしたら、言い訳が立たんだろ。第一拠点として、森林は好都合だ。そこは壊さず、叩き落す」
「では、どうするんですか」
「決まっているだろ。俺が行く。邪魔はするな」

 神山はニヤリと笑いながら、剣を取る。

「さあ。楽しませてもらおうか。俺の気分がかなりいい」

 船の外に、神山は出る。そして海風を浴びながら、集中力を高めていく。

「じゃあ。先に行く。ここは任せるぞ」

 神山は小型ボートに乗り込み、森林エリアへ向かう。

「さあ。俺はもう負けない」

 それから、1時間後

「ふぅぅぅ」
「龍気様」
「遅かったな。一応ここら辺一帯のモンスターは狩っておいた。さああ、作戦会議と行こうか」
「かしこまりました」

 神山は服についた血を見ながら、考え事をする。

「この程度のモンスターなら、国家で挑めば勝てたろうに……。グラジア大国の戦力も底が知れるな」

 神山は空を眺めながら、今後の作戦を考え続ける。ノール連邦からの指示はグラジア大国のトップの抹殺。

「さて、こんな仕事が来るなんて、なんて嬉しいことだろうな」

 神山はこの戦いを楽しむつもりだ。この戦いが、世界を大きく巻き込むことを誰も知らなかった。
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